⭕ 第3回、動画撮影
マオキノ
「 セロ様,マオ様──、準備が整いましたエリ 」
マオ
「 分かった。
えぇと、これから撮るのは再来月分になるんだよな? 」
セノコン
「 はいですエリ。
マオ様の大食い動画を3回に分けて編集しますエリ。
来月からの配信を予定してますエリ。
1回目の配信は、セロ様の手品動画を配信予定ですエリ 」
マオ
「 その後はオレの大食い動画が3週続く訳だな。
絶対に文句の嵐でコメント欄が荒れるぞ 」
マオキノ
「 荒れたらチャンスに変えれば良いだけですエリ。
其処等辺の対処はボク達に御任せくださいませエリ★ 」
マオ
「 ………………住所を特定しては、夜な夜な喰べに行ったりしないよな? 」
マオキノ
「 マオ様、あんまりですエリ!
幾らボク達の大好物が人間だからって、そんな事はしませんエリ! 」
マオ
「 そ……そうか?
疑って御免な? 」
マオキノ
「 発言には気を付けて頂きたいですエリ! 」
セノコン
「 拉致って監禁しつつクスッと笑える楽しい拷問ショーの動画撮影をしますエリ。
配信して社会的に抹消するくらいで止めときますエリ 」
マオ
「 喰べるのも駄目だけど、拉致も監禁も駄目だろ! 」
セノコン
「 マオ様、チャンネル登録とイイネを稼ぐ為には多少の犠牲には目を瞑ってくださいませエリ。
見せしめとなる公開処刑は外せない胸熱イベントですエリ。
配信者からの視聴者プレゼントですエリ 」
マオ
「 そんなプレゼントを配信したら炎上確定で荒れると思う……。
セロ──、黙ってないで何か言ってやれよ! 」
セロフィート
「 悪質な視聴者だけにしときなさい 」
マオ
「 そうじゃなくて── 」
マオキノ
「 マオ様、視聴者は動画配信にスリルとショックとサスペンスを求めてますエリ。
視聴者の期待に応えるのが粋な配信者ですエリ 」
マオ
「 求めてないと思いたいな~~ 」
セロフィート
「 それより、今回は何を撮影します? 」
マオ
「 そうだな……。
未だ考えてないけど、取り敢えず始めてみるか── 」
オレはキーボードの1ヵ所を軽く指で叩く。
マオ
「 ──画面の向こうに居る視聴者さん、御早う!
今日わ,今晩わ!
第5回目の【 セロに聞いてみよう! 】を始めます!
オレは助手のマオ!
此方がセロです! 」
セロフィート
「 視聴者の皆さん、1週間振りです。
如何御過ごしでしたか? 」
マオ
「 3週もオレの大食い動画が続いて御免な?
今回は大食い動画じゃなくて──、セロの手品です!
記念すべき1回目も手品だったから、ガッカリするかも知れないけど、一寸した不思議を感じてくれたら嬉しいな! 」
セロフィート
「 マオ、手品は良いですけど何をします? 」
マオ
「 トランプを使おう!
テッテレ~~~~♪
セロカ君のトランプを使った手品を披露しようよ 」
セロフィート
「 グッズの宣伝を入れるとは考えましたね 」
マオ
「 今からセロには1人神経衰弱をしてもらいたいんだ 」
セロフィート
「 はい?
1人で神経衰弱をします? 」
マオ
「 そっ!
1度も間違えないで、最後までカードをひたすら捲り続けるんだ。
最後にジョーカーを捲ってフニッシュさ!
どうだよ、セロには簡単な手品だろ? 」
セロフィート
「 ははぁ…。
それは確かに不思議さをアピール出来そうですね 」
マオキノ
「 “ 編集してるんだろ ” 的な心無いコメントが来そうな手品ですエリ~~ 」
マオ
「 生配信じゃないんだから当たり前だろ。
それぐらい百も承知の助佐エ門だよ。
TVのマジックショーから依頼が来るかも知れないだろ? 」
セロフィート
「 はいはい。
では視聴者の皆さんに不思議の御裾分けをするとしましょう 」
マオ
「 トランプはオレが切るよ。
シュンシュンに教わって練習したんだ! 」
セロフィート
「 お手並み拝見しましょう 」
オレはケースからセロカ君トランプを出して、カードを切る。
中々上手く切れてると思うんだよな。
マオ
「 ──どうだよ!
オレのカード捌きはさ! 」
セロフィート
「 頑張れましたね、マオ 」
マオキノ
「 テーブルを御用意してますエリ 」
マオ
「 有り難な、マオキノ 」
オレはマオキノが用意してくれたテーブルの上に切ったカードを裏返した状態で1枚1枚を丁寧に並べた。
マオ
「 ふぅ──。
52枚を1人で並べるのは大変だな……。
セノコン、並べるシーンはカットしてくれよ 」
セノコン
「 早送りしますエリ 」
マオ
「 カットで良いじゃんか 」
セノコン
「 マオ様が不正をしないで並べた事を視聴者へ伝える必要が有りますエリ 」
マオ
「 どうやって並べながら不正をするんだよ……。
オレはイカサマ師じゃないんだぞ。
出来るかよ! 」
マオキノ
「 それもそうですエリ。
不器用なマオ様にはイカサマ師の様に華麗な不正は出来なさそうですエリ 」
マオ
「 余計な御世話だよ!
セロ、神経衰弱を始めてくれよ 」
セロフィート
「 はいはい。
では始めるとしましょう 」
マオ
「 セロ、最初は♥️と♣️のペアで捲ってくれよ。
13まで捲れたら、♦️と♠️のペアで捲ってくれよ。
最後はジョーカーな 」
セロフィート
「 注文が多いですね 」
マオ
「 種と仕掛けが有ってこその手品だろ?
セロには楽勝じゃんか 」
セロフィート
「 はいはい。
マオの注文を聞くとしましょう 」
そう言ったセロは、テーブルの上に並べられたカードを丁寧に裏返し始める。
オレの注文通りに♥️と♣️のペアで捲ってくれる。
1回も間違える事も無く、♦️と♠️のペアに突入して、次々と捲ってくれる。
最後に引っくり返したジョーカーのペアでフニッシュだ。
セロフィート
「 マオ、どうでした?
画面の向こうで見ている視聴者さん達へ不思議を御裾分け出来ました? 」
マオ
「 う~~ん、多分な!
視聴者にはどんな風に見えてるか分からないけど、不思議は届けれたんじゃないか?
だってさ、トランプに触ってないセロが1度も間違えずに神経衰弱を終わらせたんだぞ。
十分に不思議を感じてもらえるんじゃないのか? 」
セロフィート
「 そうだと良いですね 」
マオ
「 えぇと──、じゃあ今回は、この辺で御開きだな。
──視聴者の皆、最後まで見てくれて有り難な!
次回の【 セロに聞いてみよう! 】で会おうな! 」
オレはバイバイしながらキーボードの1ヵ所を軽く叩いた。
マオ
「 ふぅ~~。
次は6回目だよな。
何を撮影しよっか? 」
マオキノ
「 マオ様、ボク達と一緒にオタ芸を踊りますエリ 」
マオ
「 絶っ対に嫌だ。
アレだろ、ペンライトだかライトペンだかを持って振りながら激しく踊るアレだろ?
絶っ対に嫌だからな! 」
マオキノ
「 マオ様と一緒にオタ芸を極めたいですエリ~~ 」
マオ
「 嫌だよ( ≧□≦ )!! 」
セロフィート
「 良いではないですか。
ワタシもマオのオタ芸を見たいです♪ 」
マオ
「 セロぉ~~!
勘弁してくれよぉ~~ 」
セロフィート
「 ふふふ。
マオキノと確り練習してください。
マオの勇姿を見たいです 」
マオ
「 止めてくれよ…… 」
セノコン
「 次の準備をしますエリ。
休憩してくださいませエリ 」
セノコンとマオキノは次の動画撮影の準備を始めた。