セフィ
「 マオ、期待以上の成長振りだよ。
今迄のスケート技を惜しみ無く十分に活かして滑れていたね 」
生首状態のオレに対して、そう声を掛けてくれたセフィは、オレの額に口付けをしてくれた(////)
オレはデコチュウよりも、口にして欲しかったけど、黙っとく。
デコチュウも嬉しいけど、セフィに褒められた事が何よりも嬉しいんだ♥️
バラバラになってしまったオレの肉体は、古代魔法の力で1ヵ所に集まる。
氷上でオレの肉体は〈 テフ 〉の力ちからが能はたらいて、元もと通どうりになった。
マオ
「 斬きられた瞬間が全然、分からなかったよ 」
セフィ
「 そうだろうね。
この刀かたなは≪ 日に本ほん ≫と言う≪ 島しま国ぐに ≫の刀かたな鍛冶師達が作った叡智と技術の結晶、特殊な “ 妖よう刀とう ” だからね 」
マオ
「 よ…妖よう刀とう??
普通の刀かたなじゃないってのかよ?! 」
セフィ
「 普通の刀かたなを使ったら、斬り合いしている最さい中ちゅうに刃はこぼれして折れてしまうよ 」
マオ
「 何なんでだよ? 」
セフィ
「 マオもボクも人間ではないからだよ。
人間との力ちから加減とは明らかに違うからね。
刀かたなに負ふ荷かが掛かってしまうよ 」
マオ
「 コーティング魔法マジックを使えば良いいじゃんかよ… 」
セフィ
「 コーティング魔法マジックの耐久性にも限界が有るんだよ、マオ。
この妖よう刀とうを強化する為に態わざ々わざ幻げん夢むさんに大量の血液を集めてもらったんだよ 」
マオ
「 え…… 」
セフィ
「 見てごらん、マオ。
あんなに激しく斬り合ったのに全まったく刃はこぼれしていない 」
マオ
「 ………………一体何どれだけの人間から血を抜いたんだよ…… 」
セフィ
「 さぁ?
事情を話したら張り切ってくれていたからね。
学校のプールくらいじゃないかな? 」
マオ
「 どんだけぇ~~?! 」
セフィ
「 2刀とう分ぶんだからね 」
マオ
「 ………………知りたくなかったぁ~~~~。
でも幻げん夢むさんならや・り・兼・ね・な・い・ぃ~~!!
因ちなみにさ、その物ぶっ騒そう極きわまりない妖刀を作った≪ 日に本ほん ≫っていう≪ 島しま国ぐに ≫は── 」
セフィ
「 海底だよ。
本ほん当とうに小さな≪ 島しま国ぐに ≫でね、≪ 日にっ本ぽん国こく ≫の北ほっ海かい嶌とうくらいかな 」
マオ
「 それでも結構な広さだな……。
何なんで沈んじゃったんだ? 」
セフィ
「 大おお津波が起きてね、近隣の≪ 島しま国ぐに ≫も一緒に沈んでしまったよ。
その代わり、別の≪ 島しま国ぐに ≫が浮上して来きたんだよ 」
マオ
「 へぇ?
それって、どんな≪ 島しま国ぐに ≫なんだ? 」
セフィ
「 行った事の有る≪ 島しま国ぐに ≫だよ。
その≪ 島しま国ぐに ≫の島と民みんは≪ 日に本ほん ≫の末裔になるよ 」
マオ
「 そう…なのか?
≪ 日に本ほん ≫と一緒に海底に沈んだんじゃないんだ…… 」
セフィ
「 大おお津波は先代のセロフィートが起こしたモノだからね。
人間なんて流してしまえば良よかったのに、魔まが差したんだよ 」
マオ
「 魔まが差して……。
善意じゃないんだな~~ 」
セフィ
「 人セロ形フィートに善意も悪意も無いよ。
人セロ形フィートの使命は≪ 地球テッラ ≫の寿命を全まっとうさせる事だからね。
破壊を繰り返して繁栄する人間は数かずを減らす対象だから、本来は1人も助ける必要はないんだよ。
見捨てても良よかったのに── 」
マオ
「 色んなセンダイさんが居いるって事だな。
ははは…… 」
笑えない話はなしだ。
人セロ形フィートにと・っ・て・破壊と繁栄を繰り返す人間は、替えの利く使い捨ての玩具おもちゃ的なモノだけど、本来は駆除対象だもんな……。
人セロ形フィートに魔まが差して救われた人間達の末裔にが暮らしている≪ 島しま国ぐに ≫か──、何ど処こだろう??
マオ
「 セフィ~~降参!
分からないから教えてくれよ 」
セフィ
「 もう降参するの?
早いよ、マオ。
──頑張った御褒美に教えてあげるよ 」
マオ
「 御褒美はセフィとイチャイチャしたいんだけど! 」
セフィ
「 マオ…(////)
はいはい。
それこそ “ 魔まが差したら ” ね── 」
マオ
「 酷ひどぉ~~ 」
セフィ
「 ≪ 台たい圀こく ≫ だよ 」
マオ
「 えっ??
台たい圀こく??
≪ 台たい圀こく ≫ってあ・の・ゾンビだらけになった≪ 台たい圀こく ≫の事かよ? 」
セフィ
「 そうだよ。
懐かしいね、マオ 」
マオ
「 ………………ゾンビング祭りの≪ 台たい圀こく ≫か……。
彼処あそこの事は記憶から消したままでいたかったよ…… 」
セフィ
「 マオは本ほん当とうにゾンビが嫌きらいだよね 」
マオ
「 誰かさんのお・蔭・でな! 」
セフィ
「 それは困った “ 誰かさん ” だね(////)」
マオ
「 嬉しそうに言うなよ(////)
自覚してて惚とぼけるなんて、性しょう悪わるだぞ! 」
セフィ
「 ふふふ…(////)
人セロ形フィートには褒め言葉だよ、マオ 」
マオ
「 そだったな~~ 」
セフィ
「 さて、ウォーミングアップは此こ処こ迄にして、抜刀術の稽古を始めようか 」
マオ
「 おぅ──。
居合術はしないのか? 」
セフィ
「 居合術かい?
マオは氷ひょう上じょうで正せい座ざをしたいの? 」
マオ
「 そういう訳じゃ──。
抜刀術よりも安全だろ 」
セフィ
「 抜刀術も決まりを守れば安全だよ。
それにマオは居合術より、抜刀術の方ほうが向いているし 」
マオ
「 そうかな? 」
セフィ
「 今回のイベントはスケートに興味を持ってもらう為も有るけど、古古武武道術にも興味を持たせる切っ掛け作づくりでも有るんだよ 」
マオ
「 それなら居合術でも良いいんじゃないか? 」
セフィ
「 仮想の相手を刀かたなで斬るのを見せても観客は興奮しないよ。
セロカ会員を対象にしたサービスイベントだからね 」
マオ
「 仮想の相手より生身の相手と斬り合う方ほうが盛り上あがる──って事だな 」
セフィ
「 古古武武道術の認知度は低いからね。
古古武武道術を通とおして平和ボケしている現代人達に護身術の必要性が伝われば良いいんだけどね 」
マオ
「 セフィ…………どうしちゃったんだよ。
平和ボケした現代人に護身術の必要性を伝える運動をするなんて──。
まるで善人じゃんか!
オレ、嬉しいよ(////)」
セフィ
「 ガッポリ出来るからね。
それ以外の理由は無いよ 」
マオ
「 え……ガッポリ出来るのか??
出費が増えるだけな気がするけど…… 」
セフィ
「 人件費が掛からない分ぶん、丸まる々まる儲けになるんだよ。
必要な資金は〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成すれば良いいし、偉い人達が内緒で隠し持ってる裏うら金ガネも使えるからね 」
マオ
「 そだな……。
《 セロッタ商会 》が金銭面めんでも人材面めんでも困った事なんて1度も無いもんな── 」
セフィ
「 休憩は此こ処こまで。
抜刀術の稽古から始めるよ 」
マオ
「 分かった。
復習みたいなもんだな 」
セフィとオレはスケートリンクから上あがるとスケート靴ぐつを脱いだ。