✒ 動画配信 3
ブレードカバーを嵌めた状態のスケート靴で散々動く回ったけど、両足が疲れた感じはしない。
両足に痛みを感じる事も無いし、疲労を感じないなんて不思議だ。
これも古代魔法の力なんだろうな。
マオ
「 凄いよなぁ~~。
結構動いたのにさ、両足は痛くないし、疲れないし、未々余裕で動けるなんてさ! 」
セフィ
「 両足に掛かる負担を減らす軽減魔法も掛けてるからね。
自動的に両足を解してくれるマッサージ魔法も累ね掛けしているよ。
スケート靴の重さも軽減魔法で羽毛と同じにしているよ 」
マオ
「 このスケート靴は羽毛と同じ重さなのか?
通りで軽い筈だよな 」
セフィ
「 次はブレードカバーを外して、氷上を歩いてみよう 」
マオ
「 愈々だな!
妙にドキドキするよ 」
セフィからブレードカバーの外し方を丁寧に教えてもらう。
ブレードカバーの外したスケート靴で、氷上に立ってみる。
セフィが手を握ってくれているけど、中々不安定で、両足がガクガクと震えていて上手く立てない。
セフィ
「 その状態で、ゆっくりと歩いてみよう。
動画撮影は始まっているけど、気にしないで──マオのペースで歩こう 」
マオ
「 お…おぅ…… 」
セフィが手を引いてサポートしてくれる。
「 コツを掴めば滑れる様になる 」ってセフィは言ってくれるけど──、その “ コツ ” ってのがイマイチ分からないんだよな~~。
でも、セフィがコーチしてくれるんだから、頑張るぞ!
何とかセフィの手を借りなくても氷上を歩ける様になった。
序でに滑れる様にもなった。
未だ、一直線にだけどな。
これからセフィに色々と教わりながら、少しずつ色んな滑り方を覚えて行く事になるんだろう。
はぁ~~~~先が思いやられるなぁ~~。
こんなんでスケート靴を履いて抜刀術なんて出来るのかよ。
なんて思っていた時が、オレにも有った。
今や2時間前のオレが懐かしく思う。
オレって身体を動かす事に対しては、異様に順応性が高いんだよな。
記憶は無くしてるけど、〈 皇 〉だからかな?
不老不死でも有るし、どんなに転んで怪我をしたって、痛いけど直ぐに治っちゃうもんなぁ~~。
ビビっていたオレは、もう居ない。
今のオレは一直線だけじゃなくて、バック滑り,ジグザグ滑りも出来る様になった。
クルッと回れる様にもなったし、簡単なジャンプも出来る。
ジグザグにバックしながら軽いジャンプを出来た時なんて、キノコン達が胞子を撒き散らして喜んでくれる始末だ。
キノコンの胞子は危険だから恐いんだよなぁ~~。
胞子を飛ばすのを止めてほしいけど、氷上が涎まみれになるのに比べたらマシか……。
はしゃいているキノコン達は運動会で活躍する我が子を撮影する親みたいだ。
滑る事に完全に慣れたオレは、セフィの指導を受けて色んなジャンプに挑戦する。
抜刀術にジャンプが必要になるかは分からないけど、飛べるに越した事は無いもんな。
そんなこんなで、スピードを上げて正面からジャンプをしてみる。
回転ジャンプだっ!!
飛んでるオレは、自分が何回転してるか分からない。
でもちゃんとクルクルと回れてる感覚は有る。
氷上に着地すると、外野で動画撮影をしているキノコン達が、興奮して大量の胞子を撒き散らしている。
知らない内に楽器を持ったキノコン達が喜びと感激を表現する様に演奏をしている。
一体全体何に対してキノコン達は、大盛り上がりしてるんだろう?
まるで吹奏楽部──いや、オーケストラを間近で聴いてるみたいだ。
マオ
「 セフィ──、キノコン達は何を喜んでるんだ?
回転ジャンプしただけだろ。
成功したから喜んでくれてるのか?
一寸大袈裟じゃないかな(////)」
セフィ
「 そんな事は無いよ。
マオは回転ジャンプで6回転したからね。
人間のスケーターでも4回転半が最高だよ。
5回転ジャンプを成功させたスケーターは居ないからね 」
マオ
「 6回転?
6回もクルクル回ってたって事か? 」
セフィ
「 そうだよ。
上達したマオなら、8回転ジャンプは余裕の筈だよ。
人間じゃないからね 」
マオ
「 そだな。
人間には制限や限界が有るけど、人間を捨てて不老不死になったオレには、制限や限界なんて無いみたいなもんだし?
8回転ジャンプか~~。
挑戦してみようかな。
正面からの6回転ジャンプが出来たから、次はバックからの6回転ジャンプをしてみるよ 」
セフィ
「 マオなら直ぐに出来るよ 」
マオ
「 色んな種類のジャンプを組み合わせて滑ってもみたいな 」
セフィ
「 体力の有るマオなら余裕だよ 」
マオ
「 う~~ん……でもさ、抜刀術を披露するのにジャンプする必要は有るのか? 」
セフィ
「 出来ないより出来る方が選択肢も増えるよ。
どんな演出にするかにも依るし、出来る様になったジャンプを活かせると良いね 」
マオ
「 そだな──。
態々抜刀術を披露しなくても、6回転ジャンプを披露するだけでも十分過ぎる程、客寄せパンダの役目は果たせるよな? 」
セフィ
「 そうだね。
最後の最後にサプライズとして締めに6回転ジャンプを披露するのも良いかもね 」
セフィは笑顔で微笑んでいる。
今、此処で抱き締めて押し倒したいんだけど、氷上でしちゃ駄目だよな(////)
バリバリ動画撮影されてるしぃ~~。
一体どんな風に動画の編集がされるのか、楽しみかも知れない。




