✒ 動画配信 2
──*──*──*── ダンジョン
──*──*──*── スケートリンク場
天然のスケートリンクの氷上で1人の人物が華麗に優雅に滑っている。
まるで氷上の精霊みたいだ。
「 誰だろう? 」と思ったけど、此処は≪ ダンジョン ≫の中だから、セロしか居ない。
セロって、スケートも出来たんだな。
いや、セロは何でも出来るパーフェクトマンなんだけど……。
今回のセロは背が低いから〈 器人形 〉を使ってるみたいだ。
セノコン
「 セフィ様ぁ~~。
マオ様を御連れ致しましたエリ 」
セノコンが声を上げて、セロの名前を呼ぶと滑っていたセロが近付いて来る。
まるで翼が生えているみたいな錯覚をしてしまいそうだ。
セフィ
「 有り難う、セノコン。
動画撮影は頼むね。
マオキノと協力して素晴らしい動画に仕上げてくれる事を期待しているよ 」
セノコン
「 御任せくださいませエリ!
全身全霊、魂を込めて、動画撮影に当たりますエリ!! 」
セノコンは素晴らしい敬礼を披露すると、マオキノの居る方へ移動して行く。
良く良くスケートリンクを見渡してみると、キノコンの姿がチラホラ見え隠れしている。
どうやら既に動画撮影の準備は滞りなく済んでいるらしく、最後の打ち合わせをするみたいだ。
オレが知らないだけで、御膳立てと根回しは完璧って事か。
段取りの9割り8分は終わってるらしい。
セロが携わってるんだから、当然と言えば当然か。
色んな種類の動画撮影用のカメラを持ったキノコン達が、オレにレンズを向けている。
何か怖いぃ~~。
パパラッチに取り囲まれた被害者みたいな心境って、こんな感じなのかな……。
セフィ
「 マオ、オーダーメイドでマオ用のスケート靴を用意したらから履いてね。
先ずは歩き方から始めよう。
コツさえ掴めれば、直ぐに滑れる様になるよ 」
マオ
「 ははは……。
だと良いけどな…… 」
久し振りのセフィだ。
懐かし過ぎるセフィだ。
物腰が柔らかくて友達感覚で接する事が出来るこのセフィが好きなんだよなぁ~~。
何せ、スパルタじゃないからな!
器人形には色んなタイプの “ セフィ ” が居て、どんな “ セフィ ” をセロが選ぶのか完全にセロ任せのギャンブルなんだよな。
今回は大当たりのセフィで良かったぁぁぁぁあ♥️
スケート靴の正しい履き方から丁寧に教えてくれる。
くぅ~~~~(////)
オレが女だったら、間違いなくセフィに惚れちゃうなぁ♥️
セフィ
「 スケート靴を履いた感じはどうかな?
違和感は無い? 」
マオ
「 う~~ん?
未だ、分からないかな。
オーダーメイドなら足に合う筈だし、大丈夫じゃないかな? 」
セフィ
「 そんな事は無いよ、マオ。
オーダーメイドでも細かな微調整は必要になるよ。
滑れる様になれば、自ずと自分に合う微調整が分かる様になるからね 」
マオ
「 先は長そうだな…… 」
セフィ
「 先ずは足に馴染む様に歩いてみようか。
ブレードに付けているカバーを外さず、歩いてみよう 」
マオ
「 …………このまま歩くのか?
不安定なんじゃ…… 」
セフィ
「 大丈夫だよ。
マオは体幹が確りしているし、姿勢も良い。
バランス感覚も抜群だから直ぐに慣れるよ 」
マオ
「 そ…そんなに褒められちゃったら照れるな(////)
頑張って歩いてみようかな? 」
セフィ
「 何事に対しても前向きな思考は大事だよ。
偉いね、マオ 」
マオ
「 たははぁ~~(////)」
やっぱり、このセフィが断トツで好きだなぁ♥️
セフィが手を握って歩くサポートをしてくれる。
目線の高さが同じセフィ、最高ぉ~~(////)
もう、このまま押し倒しちゃいたい♥️
セフィ
「 普通のスケート靴にスケートカバーを30分以上嵌めているとブレードが錆びてしまうんだよ 」
マオ
「 へぇ?
錆びちゃうなんて大変だな 」
セフィ
「 使わない時は布カバーを付けて保管しておくけど、マオの為に用意したスケート靴とブレードカバーにはコーティング魔法を掛けて強化しているから、痛んだり,壊れたり,錆びたり,欠けたりしないから安心して滑れるよ 」
マオ
「 有り難な、セフィ 」
セフィ
「 どう致しまして。
マオの為だからね、出来る事はするよ。
ちゃんと歩けているね。
両足に違和感は無い? 」
マオ
「 今の所は大丈夫かな。
普通に歩けてるし、歩き易いよ。
ちゃんと足にフィットしてくれてるみたいだし 」
セフィ
「 それは良かった。
次は走ってみようか 」
マオ
「 走る?
このままでか? 」
セフィ
「 そうだよ。
普通はスケート靴を履いて走りはしないけど、コーティング魔法を掛けてるから走っても平気だよ。
走った後はスキップしてみようね 」
マオ
「 スキップ迄するのか? 」
セフィ
「 タップやステップを踏んでみるとかね。
コツを掴むのが上手いマオだから、何れも出来るよ 」
マオ
「 …………分かったよ。
其処まで言うなら挑戦してみるよ。
セフィだから信じるんだからな! 」
セフィ
「 有り難う、マオ。
マオに意欲が有ってボクも嬉しいよ 」
マオ
「 じゃあ、走ってみるぞ! 」
そんな訳で、オレはセフィに言われるまま、ブレードカバーを嵌めた状態のスケート靴のままで走ったり、スキップしたり、タップやステップを踏んだりする事になった。
他にも色々と試されるかも知れないな。
でも、セフィと一緒だから頑張れるんだ♥️




