エピローグ『七夕の夜は甘い夜』
夕食後。
今、俺はリビングのソファーでアイスティーを飲みながら、スマホでラブコメの短編のWeb小説を読んでいる。
ちなみに、優奈は夕食の後片付けをしている。今日も、優奈は俺が作った夕食を美味しそうに食べてくれたな。嬉しかったなぁ。
Web小説を読み終わった直後、
「後片付け終わりました」
と、優奈のそんな声が聞こえた。
声がする方に顔を向けると、優奈がキッチンを出てソファーに向かって歩いてきていた。
「ありがとう、優奈。お疲れ様。アイスティー淹れておいたよ」
「ありがとうございます。いただきます」
優奈はニコッと笑ってお礼を言うと、俺のすぐ隣でソファーに腰を下ろした。自分の前にあるマグカップを手に取ってアイスティーを一口飲む。
「ほんのりと甘くて美味しいです。冷たいのもいいですね」
「美味しくできていて良かったよ」
夕食に続いてアイスティーも優奈に美味しくいただいてもらえて嬉しい。それもあって、気付けば優奈の頭を優しく撫でていた。
俺に頭を撫でられるのが気持ちいいのか、優奈は柔らかい笑顔になって。本当に可愛いな。
「さてと。これから何をしようか。期末試験も終わったし、金曜日だから、さすがに今夜は勉強するのはお休みでいいかな」
「そうですね。……私、和真君としたいことがありまして」
「俺としたいことか。どんなことだ?」
俺がそう言うと、優奈は頬をほんのりと赤らめる。……何をしたいのだろう?
「……久しぶりにえっちしたいです。最近は期末試験の勉強をしていてご無沙汰だったので……」
俺を見つめながらそう言ってきた。優奈の可愛らしい声に乗せられた「えっちしたい」という言葉にドキッとさせられる。
頬を赤らめるからどんなことをしたいのかと思っていたら……えっちか。納得だ。
確かに、優奈の言う通り……最近は期末試験対策の勉強をしていたから肌を重ねていなかったな。今月に入ってからはまだ一度もしていない。キスしたり、抱きしめ合ったり、お互いに胸に顔を埋めたりするなどのスキンシップはしているけども。
「どうですか? 和真君」
上目遣いでそう問いかけてくる優奈。俺をえっちしたい気持ちにさせたいのか、俺の太ももを優しくさすってきて。上目遣いも可愛いし、優奈の顔の赤身がさっきよりも強くなっているのが可愛い。太ももをさすられているのもあって、もっとドキッとさせられる。
「ああ、いいぞ。最近はしてなかったし……俺も優奈とえっちしたい」
優奈のことを見つめながら俺はそう返事した。
「ありがとうございます!」
優奈は嬉しそうな笑顔でお礼を言った。俺とえっちしたい気持ちが強いことが窺える。
「何日か前から、試験が終わった今日の夜に和真君とえっちしたいと思っていたんです」
「そうだったんだ」
「ええ。あと……今日は7月7日で七夕でしょう? なので、七夕の夜にえっちできたらいいなって思いまして」
「七夕の夜は夫婦である織姫と彦星が一年に一度会える日だもんな。確かに、そういう日にえっちして、優奈と触れ合えたらいいなって思う」
「同じ気持ちで嬉しいです」
ふふっ、と優奈は声に出して笑う。本当に優奈は可愛いな。
「じゃあ……するか」
「はいっ。久しぶりですし、いっぱいしたいです」
「ああ。いっぱいしような」
「ありがとうございますっ」
優奈は嬉しそうにお礼を言うと、俺にキスしてきた。
それからは、主に俺の部屋のベッドや浴室で優奈とたくさんえっちした。
えっちしたいと誘ってくるだけあって、優奈はとても積極的で。いつも以上に激しく動いてくることが何度もあって。普段はお淑やかなのもあり、そのギャップにキュンとさせられる。
優奈が積極的だし、久しぶりにするのもあり、俺も激しく体を動かすことが多くなる。それに、優奈の反応が可愛いし、優奈の温もりや柔らかさや匂いがとてもいいから。
「好き」だとか「気持ちいい」などと気持ちを言葉にしながら、お互いのことをたくさん求め合った。
「今夜も気持ち良かったですね!」
「ああ。気持ち良かったな」
優奈と何度もえっちした後、優奈と俺は全身を洗って一緒に湯船に浸かっている。
ちなみに、俺が優奈を後ろから抱きしめている体勢になっている。向かい合う体勢も好きだけど、今の体勢だと優奈の背中と俺の前面がピッタリとくっつけるので好きだ。
「今夜の優奈はとても積極的で、いつも以上に激しいときがあったな」
「久しぶりのえっちですから、えっちできることの嬉しさと気持ち良さで……気付けば激しくなっちゃいました」
優奈はこちらに顔を向けながらそう言うと、「えへへっ」とはにかむ。本当に可愛いな、俺のお嫁さん。
「それに、和真君もとても積極的で、いつも激しいときがありましたしね。それが気持ち良かったですから」
「そうか。俺も同じ理由でいつも以上に激しく動くときがあったよ。久しぶりにしたのが嬉しいし、えっちするのが気持ち良かったから。それに、優奈が積極的で、激しく動くのも気持ち良かったからな。いつも以上に優奈を求めたよ」
「ふふっ、そうですか。嬉しいです」
今の言葉が心からの言葉だと示すかのように、優奈は嬉しそうな笑顔を向けてくれる。それが嬉しくて。優奈が可愛くて。気付けば、優奈を後ろから抱きしめる力が少し強くなっていた。
「……和真君とえっちしたので、今夜は織姫さんと彦星さんもえっちしているのかもしれないと考えちゃいました。2人は夫婦ですし、一年に一度しか会えませんし……」
「確かに……優奈の言うように、している可能性はあるかもな。一年ぶりに会えるんだもんな。何かしらの形で愛を育んでいるじゃないかな」
「そうでしょうね」
優奈は優しい笑顔で俺を見ながらそう言った。そして、俺の腕の中で、ゆっくりと俺の方に振り返ってくる。そのことで、優奈の柔らかい胸が俺の体の前面に当たる。
「和真君」
「うん?」
「……この前の七夕祭りで短冊に書いたように、私は和真君と一緒に毎日を楽しく過ごしていきたいです。もし、織姫さんと彦星さんのように、一年に一度しか会えなかったらとても寂しくて辛いです。そう思うほどに和真君のことが大好きです」
優奈は俺の目を見つめながらそう言い、可愛らしい笑顔を見せてくれる。
優奈の想いの詰まった言葉が耳からすっと体の中に入り、体の内側から温かくなっていくのが分かる。
「……俺も優奈のことが大好きだよ。短冊に書いたように、優奈と毎日一緒に楽しく過ごしたい」
俺はそう言い、今も抱きしめている優奈のことを自分の方に寄せる。そのことで、優奈とより体が密着する。
「嬉しいです。毎日一緒に楽しく過ごせるように頑張りましょうね!」
優奈はニコッとした笑顔でそう言った。
「そうだな。頑張っていこう」
「はいっ!」
優奈は依然としてニッコリとした笑顔で返事をした。
「優奈。……キスしていいか?」
「もちろんですっ」
そう言うと、優奈はゆっくりと目を瞑り、唇を少し前に出す。
キス待ちの顔も可愛いなと思いながら、俺は優奈にキスをする。
肌を重ねたときにたくさんキスをしたけど……優奈とキスするのはいいな。優奈の唇の柔らかさや温かさがとても心地いいから。優奈の甘い匂いも。それに、キスをすると優奈への好きな気持ちや愛おしい気持ちが膨らんでいくし。
少しして、俺の方から唇を離すと、目の前には頬を中心にほんのりと赤くした優奈の可愛い笑顔があった。
いつでも、今のようにキスができて、優奈の笑顔を見られる日々を送っていきたい。優奈の笑顔を見ながら強く思う。
それからも、優奈のことを抱きしめ続け、たまにキスをしながら、優奈と一緒に入浴を楽しむ。
優奈という大好きなお嫁さんのおかげで、今までで一番甘い七夕の夜を過ごすことができたのであった。
特別編4 おわり
これにて、特別編4は終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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