第13話『期末試験』
翌日以降も優奈、井上さん、佐伯さん、西山と一緒に期末試験に向けた勉強会をする。
みんなと一緒に七夕祭りに行って、途中で優奈と一緒にお祭りデートをして気分転換できたのもあり、試験勉強に集中できている。俺と同じなのか、優奈達も集中して勉強に取り組んでいた。
7月4日から期末試験が始まった。試験は7日まで実施される。
みんなと一緒に勉強したおかげもあり、どの科目も手応えがある。これなら、中間試験に続いて、文系クラスの成績上位者一覧に載れるかもしれない。
優奈も手応えがあるとのこと。優奈はずっと学年1位だし、今回も学年1位になれると思う。
西山や井上さんや佐伯さんも手応えがあるとのことで、苦手な科目や不安な科目も赤点の心配はなさそうだという。
みんな手応えがあって良かった。この調子で最後の科目まで駆け抜けたい。
――キーンコーンカーンコーン。
7月7日、金曜日。
期末試験の最終科目・古典の試験時間の終了を知らせるチャイムが鳴った。これで期末試験の全ての科目が終了したからか、
「終わったぜ!」
「やったー!」
といった喜びの声を上げるクラスメイトが男女問わず何人もいた。
4日間の期末試験が終わったから、結構な解放感がある。
試験監督の教師の指示により、各列の一番後ろの生徒が答案用紙を集めて教師に提出することに。俺のいる列は、俺の後ろに座っている西山が担当する。なので、西山に答案用紙を手渡した。
優奈の方を見ると……後ろに座っている井上さんと一緒に楽しそうにお喋りしている。佐伯さんも近くの席の女子生徒と笑顔で喋っている。試験が終わったのもあってか、3人とも笑顔が明るい。
「長瀬、これで期末試験終わったな! おつかれー!」
教師に答案用紙を出し終えた西山は、とても爽やかな笑顔でそう言った。西山は1年の頃から、定期試験が全て終わると毎回こうやって笑顔で俺に「お疲れ!」と言ってくる。だから、こうして労いの言葉を掛けられると試験が終わったんだなぁと実感する。
「期末試験お疲れ、西山」
「おう! 期末試験も終わったから、一気に夏休みが近づいた感じがするぜ!」
「あと2週間くらいあるけど……試験はもうないからな。そう言う気持ちも分かる」
「だよな。それに、今日から部活が再開するから嬉しいぜ! まあ、今日は雨が降っているから室内トレーニングになるけど。それでも嬉しいぜ」
「ははっ、そうか」
西山はサッカー部に入っているから、普段は屋外での活動だ。ただ、今日みたいに雨の日だと、屋内で筋力トレーニングやウェイトトレーニングなどをするらしい。先週の火曜日から部活動が禁止だったので、屋内でも部員達と一緒に体を動かせるのが嬉しいのだろう。
「また今日から部活頑張れよ」
「おう! 長瀬は放課後は有栖川とデートか? それともバイトか?」
「今日の放課後は優奈と一緒にお昼を食べたり、駅周辺のお店に行ったりしてデートするよ。バイトは明日だな」
「そうか。デート楽しめよ。バイトも頑張れ」
「ありがとう」
その後も担任の渡辺先生が教室に来るまでの間、西山と雑談して過ごした。
試験が終わってから5、6分ほどして、渡辺先生が教室にやってきて、終礼が行なわれる。
「みなさん。期末試験お疲れ様でした! 答案は来週の各科目の授業中に返却されます。現代文と古典は次の授業で返却しますからね~。古典はついさっき試験をしたので、今日の放課後に採点を頑張ります。また、今日の放課後から部活動が解禁となります。では、来週の月曜に会いましょう。これで終礼を終わります。委員長、号令をお願いします」
委員長の号令によって終礼が終わり、今週の学校生活が終わった。
掃除当番ではなく部活に入っている生徒を中心に、すぐに教室を出て行く生徒が何人もいる。どの生徒も活き活きとしていた。
優奈と井上さんと佐伯さんはバッグを持って俺と西山のところにやってくる。俺達5人は「試験お疲れ様」とお互いを労った。
「和真君、西山君は今日の科目はどうでしたか?」
「今日あった3科目も結構手応えがあったよ」
「コミュニケーション英語と古典は手応えあったぜ。生物は赤点の心配はしなくていいくらいにはできた」
「それは良かったです」
優奈は持ち前の優しい笑顔でそう言ってくれた。井上さんと佐伯さんは笑顔で小さく頷いている。
あと、西山は生物は苦手な方だけど、赤点の心配はないか。勉強会では俺中心に分からないところを質問していたし、勉強の成果が発揮できたのだろう。
「優奈達はどうだった?」
「3科目とも結構手応えがありました」
「コミュニケーション英語と古典は結構できたわ。生物も手応えあった」
「コミュニケーション英語と古典は手応えがあって、生物は……西山と同じ感じかな。赤点は心配しなくて良さそう」
「そっか。良かったよ」
「良かったぜ」
優奈達3人も今日の科目も順調にできたか。良かった。
「みんなと一緒に勉強したから、期末試験も赤点なしで済みそうだ! ありがとな!」
「あたしも赤点なしで済みそう! ありがとう!」
「みんなと勉強したおかげで調子良かったわ。不安な生物も手応えあったし。ありがとう」
「俺もみんなと勉強したから、どの教科も調子良かったよ。ありがとう」
「みなさんとの勉強会のおかげで理解が深まったので、どの科目も試験もしっかりできました。ありがとうございました」
俺達5人は一緒に試験勉強をしたお礼を言った。期末試験が終わって、あと2週間ほどで夏休みだからかみんな明るい笑顔で。みんな手応え通りの結果になり、赤点なしになることを祈ろう。
みんな掃除当番ではないので、それからすぐに俺達5人は教室から出た。
掃除当番の女子生徒と遊ぶ約束のある井上さんとは教室の前で、部活がある佐伯さんと西山とは昇降口の前で別れた。
2人きりになった俺と優奈は、相合い傘をして学校を後にする。
高野駅の近くにあるファミレスでお昼ご飯を食べたり、高野カクイというショッピングセンターなど駅の周辺にあるお店に行ったりして放課後デートを楽しんだ。