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第6話『いつもの朝に戻った。』

 6月30日、金曜日。

 今日で6月が終わって、今年も半分が終わる。

 今日は朝食作りとお弁当作りの当番なので、昨日よりも早めに起きて朝食とお弁当作りをしていく。

 朝食とお弁当作りを終えたところで優奈がリビングにやってきた。今日も優奈は元気そうで安心だ。

 今日もいつも通り2人で一緒に朝食を食べる。また、食事中の話題は、


「萌音ちゃん、今日は学校で会えたら嬉しいです」

「そうだな。きっと学校で会えるさ。昨日、お見舞いに行ったときは結構良くなってきていたから」


 と、井上さんのことがメインだった。

 あと、昨日は井上さんが体調を崩したし、以前、俺と優奈がそれぞれ体調を崩したときは一緒に朝食を食べられなかったので、こうして優奈と一緒に食べられることに幸せを感じた。

 朝食を食べ終わり、後片付けを優奈に任せて、俺は自分の部屋に戻る。

 制服に着替え終わったとき、

 ――プルルッ。

 ローテーブルに置いてあるスマホが鳴る。

 もしかしたら、井上さんからメッセージが来たかもしれないと思い、俺はすぐにスマホを確認する。すると、LIMEのいつもの5人がメンバーのグループトークに、井上さんがメッセージを送信したと通知が。その通知をタップすると、トーク画面が開き、


『元気になりました! なので、学校行きます。千尋、一緒に行こうね』


 と、井上さんからのメッセージが表示された。


「良かった」


 井上さん、学校に行けるほどに元気になったか。そのことに安心するし、嬉しい気持ちになる。そう思っていると、


『元気になって良かったよ、萌音! 一緒に学校に行こうね!』


 と、佐伯さんがメッセージを送っていた。佐伯さんの嬉しそうな笑顔がすぐに頭に思い浮かんだ。

 井上さんが元気になったって優奈に伝えないと。

 スマホを持ったまま自分の部屋を出て、俺はキッチンへ向かう。優奈は食器を拭いているところだった。


「優奈。井上さん、元気になったから学校に来るってさ」


 そう言って、俺はグループトークのトーク画面を優奈に見せる。

 優奈は食器を拭く手を止めて、俺のスマホをじっと見る。


「萌音ちゃん、元気になって良かったです! 嬉しいです!」


 優奈はニッコリと嬉しそうな笑顔になる。優奈の今の笑顔を見たのもあって、嬉しい気持ちが膨らむよ。


「そうだな、良かった。じゃあ、部屋に戻るよ」

「はいっ」


 俺は部屋に戻って、


『元気になって良かった。優奈に伝えたら嬉しがってた。学校で会おう』


 とメッセージを送り、忘れ物がないかどうかや髪型が大丈夫かどうかをチェックしていく。

 ――プルルッ。プルルッ。

 チェックしていると、スマホが何度も鳴る。

 確認すると……優奈と西山が5人のグループトークにメッセージを送ったと通知が来ていた。その通知をタップすると、


『和真君から聞きました! 萌音ちゃんが元気になって良かったです! 嬉しいです! 学校で会いましょう!』


『元気になったんだな。良かった。学校で会おう』


 というメッセージが表示された。

 忘れ物も髪型も大丈夫だったので、リビングに行って、優奈が用意してくれたお弁当と水筒をスクールバッグの中に入れた。

 その直後に優奈がスクールバッグを持ってリビングにやってきて、自分のお弁当と水筒をバッグに入れる。井上さんと学校で会えるからなのか上機嫌で。


「では、学校に行きましょうか!」

「そうだな」


 俺達は学校に向かう。今日も雨が降っているので、相合い傘をして。

 今日の優奈はとても元気そうでニコニコとした笑顔だ。いつも以上に可愛くて。こういう笑顔を見られて嬉しい気持ちになる。

 高校に到着して、3年2組の教室がある4階に向かう。

 4階に到着し、後方の扉から3年2組の教室に入る。すると、俺の席の近くで、西山と佐伯さんと井上さんが3人で談笑している姿が見えた。いつもの光景だ。


「おっ、長瀬と有栖川が来たな。おはよう」

「おはよう、優奈、長瀬!」

「2人ともおはよう」


 俺達に気付いた3人は、俺達に向かって朝の挨拶をしてくれた。


「みなさんおはようございます!」

「おはよう、みんな」


 優奈と俺は3人に挨拶をして、自分の席へ向かう。

 自分の席にそれぞれバッグを置いて、3人のところへ向かった。


「さっき千尋と西山君にも言ったけど、優奈、長瀬君……元気になりました。明日の七夕祭りも大丈夫よ。昨日はお見舞いに来てくれてありがとう」


 井上さんはいつもの可愛らしい笑顔で俺達にそう言った。この笑顔をいつも通りに学校で見られることを嬉しく思う。

 優奈と俺は「いえいえ」と声を揃えて言う。


「萌音ちゃんが元気になって、いつも通りに学校で会えて嬉しいです!」

「元気になって良かったよ」


 俺達がそう言うと、優奈は嬉しそうな様子で井上さんのことを抱きしめた。


「元気になって本当に良かったです」

「ありがとう、優奈。……おっぱいを堪能してもいい?」

「もちろんですよ」

「ありがとう」


 井上さんはお礼を言うと、両手を優奈の背中に回して、顔を優奈の胸に埋めた。たまにスリスリして。これもまたいつもの光景だ。


「あぁ……今日も優奈のおっぱいは素晴らしいわ。癒やされる」

「それは良かったです」


 うふふっ、と優奈は嬉しそうに笑って、井上さんの頭を撫でる。


「教室でこうやって優奈のおっぱいを堪能すると、いつもの朝だなぁって思えるわ」

「私もそう思いますね。朝礼前に胸を堪能されていますから」

「優奈の言うこと分かる。あたしもさっき胸を堪能されたときに思った」

「ふふっ、そうですか」

「俺も井上さんが優奈の胸を堪能する姿を見ると、いつも通りの朝だなって思えるよ」

「俺もだぜ」


 堪能しない日は珍しいと言えるくらいに、井上さんは朝礼前のこの時間に優奈の胸を堪能しているからな。俺の言葉に西山が共感してくれて嬉しい。

 それから少しの間、井上さんは優奈の胸を堪能し続けた。


「……ふぅ。優奈のおっぱい、とても良かったわ。ありがとう」

「いえいえ」

「優奈のおっぱいも堪能できたから完治したわ」


 井上さんはニッコリと可愛らしい笑顔でそう言った。


「萌音らしいや!」


 あははっ! 佐伯さんは明るく笑う。ツボにハマったのか大きな声で。佐伯さんにつられて、俺と優奈と西山はもちろん、井上さん本人も声に出して笑った。

 佐伯さんの言う通り、胸を堪能できたから完治したというのは井上さんらしい。昨日のお見舞いでも思ったけど、やっぱり井上さんに一番効く薬は女性の胸なんじゃないか。

 朝礼のチャイムが鳴るまでは、いつも通り5人で雑談した。5人で喋るのは楽しくていいな。日常が戻ってきて嬉しい。


「みんなおはよう。……おっ、萌音ちゃん元気になったんだね。良かったよ」


 教室に来た高橋先生は井上さんに向かって笑顔でそう言った。そのことに、井上さんは笑顔で「元気になりました」と返事していた。

 今日も学校生活が始まる。

 授業中、板書を写すときを中心に井上さんが視界に入る。いつも通りでいいな。優奈も同じようなことを思っているのか、優奈は笑顔で授業を聞いていた。

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