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プロローグ『七夕祭りのお誘い』

特別編4




 6月24日、土曜日。

 午後9時半過ぎ。

 俺・長瀬和真(ながせかずま)は、妻の優奈(ゆうな)と一緒にお風呂から出て、優奈の部屋に行く。その際、俺は自室から自分のスマホとドライヤーを持って。

 入浴中にメッセージやメールが来ていたかどうかスマホを確認すると、


『優奈、長瀬君、プールデートは楽しかったかしら?』

『今日はプールデートだって言ってたね。楽しかった?』

『俺も気になるな。楽しかったか?』


 俺達のクラスメイトで友人の井上萌音(いのうえもね)さん、佐伯千尋(さえきちひろ)さん、西山颯太(にしやまそうた)から、LIMEというSNSアプリで俺達5人がメンバーのグループトークにそんなメッセージが届いていた。

 今日、優奈と俺はスイムブルー八神(やがみ)という屋内プール施設へプールデートに行ってきた。

 プールで水をかけ合ったり、ウォータースライダーを何度も滑ったり、流れるプールでゆったり流れたり、自販機で買ったジュースを飲んだり、ナンパしてきた女性達から優奈に助けられたりと盛りだくさんで楽しいプールデートだった。優奈もとても楽しそうにしていた。


「みんな、プールデートが楽しかったどうか気になっているんですね」

「プールデートに行くって話したからな。井上さんは水着選びにも付き合ってくれたし」

「そうですね。とても楽しかったと返信しましょう」

「ああ、そうしよう」


 俺と優奈は、


『とても楽しかったよ。色々なプールで遊んだり、ウォータースライダーを滑ったりして。優奈の水着姿も可愛かったし。本当に楽しいプールデートだった。あと、ナンパされたんだけど、優奈に助けてもらえたからいい思い出になった』

『とても楽しいプールデートでした! 色々なプールで遊びましたし、ウォータースライダーを何度も滑りましたから。和真君の水着姿も素敵でしたし。あと、和真君をナンパから助けましたので』


 というメッセージをそれぞれグループトークに送った。

 プールデート中に優奈は笑顔をたくさん見せていたし、帰るときに楽しかったとも言っていた。それでも、こうして『楽しかった』という文言を見ると嬉しい気持ちになる。

 優奈もグループトークを開いているので、俺が送信したメッセージにはすぐに『既読1』とマークが付く。ただ、それから程なくして、既読した人数のカウントが増えていき、最大人数である『既読4』になった。


『楽しいプールデートになって良かったね! あと、長瀬はナンパされたんだ』

『長瀬君はイケメンだし、水着姿も素敵だったものね。ナンパされるのも納得だわ。優奈に助けてもらえて良かったわね。優奈も長瀬君もプールデートを楽しめて良かったわ』

『プールデート楽しめたんだな。良かったぜ』


 佐伯さん、井上さん、西山の順番でそんなメッセージが送られてきた。みんなから「楽しめて良かった」と言ってもらえて嬉しいな。あと、女子2人はナンパについて触れてきたか。

 俺と優奈は『ありがとう』とお礼のメッセージを送った。その直後、


『そういえば、今年ももうすぐ七夕祭りがあるね。一昨年と去年は優奈と萌音と一緒に行っていたけど、今年はみんなで一緒に行く? 優奈と長瀬はもうお祭りデートするって決めてる?』


 と、佐伯さんからメッセージが届いた。

 七夕祭りか。俺が知っている七夕祭りは、俺達が住んでいる高野(たかの)区から電車で数分のところにある笠ヶ谷(かさがや)駅の近くでやっている七夕祭りだけど。佐伯さんはそのお祭りのことを言っているのかな。


「優奈。七夕祭りっていうのは、笠ヶ谷でやっている七夕祭りのことかな」

「そうです。小さい頃から家族や友達と一緒に何度か行ったことがありまして。千尋ちゃんのメッセージ通り、一昨年と去年は千尋ちゃんや萌音ちゃんとも一緒に行きました」

「そうなんだ。俺も家族や友達と一緒に何度か行ったことがあるよ。高校生になってからは西山とか友達と一緒に行ったよ。……そういえば、西山が『浴衣姿の有栖川がいた』って言って、優奈の姿を遠くから見たのを思い出した。確か、白い浴衣だったっけ」

「そうですよ。あの浴衣、お気に入りで何年も着ています。引っ越しのときに持ってきました」

「そっか。記憶通りだったか」


 ちょっと嬉しい。

 あと、当時はおそらく井上さんと佐伯さんは優奈の近くにいたんだと思う。ただ、西山の言葉があって優奈を見たのもあり、井上さんと佐伯さんがどんな浴衣を着ていたのかは覚えていない。


「俺もお祭りでは浴衣を着るから、引っ越しのときに持ってきたよ。黒い浴衣だよ」

「そうなんですね。……もうすぐ笠ヶ谷の七夕祭りがあるんですね。プールデートが楽しみで、お祭りのことは全く考えていませんでした」

「俺もだ。何度も行ったことがあるけど、最近はプールデートが楽しみなのもあって考えてなかった」

「そうですか」


 ふふっ、と優奈は上品に笑う。

 確か、笠ヶ谷の七夕祭りは七夕当日か、七夕直前の土曜日に開催されるんだよな。スマホで七夕祭りの開催日時を調べてみると……今年は7月1日の土曜日か。開催1週間前だし、高校生になってからは優奈と井上さんと一緒に行くから、佐伯さんはお祭りに行こうと誘ったのだろう。


「私はみんなでお祭りに行きたいです。とても楽しそうですし。和真君はどうですか?」

「俺も同じ意見だ。みんなでお祭りに行きたいな」

「そうですかっ。では、その旨をメッセージで送りましょう」

「そうしよう」


 優奈と俺は、


『プールデートという楽しみがあったので、七夕祭りのことは考えていませんでした。なので、お祭りデートの約束もないです。みんなでお祭りに行きたいです!』

『お祭りデートの約束はないよ。みんなで七夕祭りに行きたい』


 というメッセージを送った。

 学校で話すことが多かったり、試験対策の勉強を一緒にしたりするので、一緒にお祭りに行ったら楽しめると思う。

 俺の送ったメッセージの既読数はどんどんカウントが上がり、


『私もみんなで行きたいわ』

『俺もみんなで行くの賛成だぜ』

『みんなそう言ってくれて嬉しいよ! 一緒に行けたら嬉しいなって思っていたし。あと、優奈と長瀬はデートの予定はないんだね』


 井上さん、西山、佐伯さんがそういったメッセージを送る。3人も優奈と俺と同じ気持ちか。


『じゃあ、みんなで一緒に七夕祭りに行こう! 期末試験の前だから、試験勉強の気分転換に!』


 と、佐伯さんがメッセージを送ってくれた。そのことに、俺、優奈、井上さん、西山は了解の旨の返信をした。

 あと、試験勉強の気分転換か。期末試験は再来週にあるから、確かに試験勉強の気分転換にはちょうどいいな。これまでも、日程によっては期末試験の前に七夕祭りが開催されることがあり、試験勉強のいい気分転換になったことを覚えている。


『この5人は決定だけど、他にも誰か誘う? 例えば、陽葵(ひまり)ちゃんとか。全員面識あるし、女子3人は一昨年と去年は一緒にお祭りに行ったから』


 と、佐伯さんからメッセージが送られてくる。誘う人によっては、5人で行く以上にお祭りを楽しめそうな気がする。優奈の妹の陽葵ちゃんはそういう人に該当すると思っている。


「確かに、陽葵は一昨年と去年に女子3人と一緒に行きましたね。和真君と西山君が一緒でも楽しめそうです」

「そう言ってくれて嬉しいな。陽葵ちゃんは前にうちで5人と会って、一緒にアニメを観て楽しい時間を過ごせたから、陽葵ちゃんを誘うのは賛成だ」

「そうですね」

「あとは……真央(まお)姉さんを誘ってみるか。陽葵ちゃんを含めて面識あるし」

「真央さんも一緒だとより楽しめそうですねっ。では、みなさんに提案してみましょう」

「ああ」


 その後、俺と優奈は陽葵ちゃんを誘うことに賛成し、真央姉さんも誘うのはどうだろうかと提案する。

 すると、井上さんと佐伯さんと西山は、陽葵ちゃんだけでなく、真央姉さんを誘うことを賛成するメッセージを送ってくれた。提案した身としてはもちろん、弟としても嬉しく思うよ。

 その後も話し合って、陽葵ちゃんと真央姉さんを誘うことに決めた。そして、陽葵ちゃんには優奈が、真央姉さんには俺がお誘いのメッセージを出すことになった。


『真央姉さん。来週の土曜日にある笠ヶ谷の七夕祭りに一緒に行かないか? 俺、優奈、井上さん、佐伯さん、西山は一緒に行くことが決まってる。陽葵ちゃんにも誘ってるところ』


 というメッセージを真央姉さんに送った。姉さんはゆっくりしているのか、すぐに『既読』のマークが付いた。

 真央姉さん……どうだろうか。バイトのシフトが入っていなければ、一緒に行くって返信してくれる可能性がとても高そうだけど。


『バイトないから行けるよ! お祭り行くね! 誘ってくれて嬉しいよ! 楽しみだな!』


 と、真央姉さんから返信が届いた。予想通り、バイトがないから行くか。姉さんの嬉しそうな笑顔が頭に思い浮かぶよ。


「姉さん、一緒に行くってさ」

「良かったです。……あっ、陽葵から返信来ました。一緒に行くって」


 優奈は嬉しそうな笑顔でそう言った。


「そうか。良かった」


 俺がそう言うと、優奈は「はいっ」と笑顔で頷いた。

 その後、俺と優奈で5人のグループトークに、陽葵ちゃんと真央姉さんが七夕祭りに一緒に行くことになったとメッセージを送った。するとすぐに、井上さんと佐伯さんと西山も喜びのメッセージを送ってくれた。

 今後、待ち合わせ場所を決めるなど、みんなで連絡できた方がいいということで、佐伯さんが七夕祭りに一緒に行く7人がメンバーのグループトークを作った。みんなで「当日は一緒に楽しもう」とメッセージを送る。


「陽葵と真央さんも一緒ですし、とても楽しい七夕祭りになりそうですね。楽しみです」

「俺も楽しみだ。それに、優奈と初めて一緒に行くからな」

「そうですね。和真君と初めて一緒に行く七夕祭り……楽しみですっ」


 優奈はニッコリとした笑顔でそう言った。

 優奈とも一緒に行くから、今年の七夕祭りが一番楽しいお祭りになりそうな気がする。お祭り当日が待ち遠しい。

 お風呂から出てすぐにみんなとメッセージをしたので、髪を乾かしたり、ストレッチしたり、優奈はスキンケアしたりとお風呂上がりにいつもやっていることをまだやっていなかった。なので、俺達はそれらのことをしていく。

 みんなとメッセージをしてから、だいたい15分ほど経ったときだろうか。

 ――プルルッ。プルルッ。

 ローテーブルに置いてある俺のスマホと優奈のスマホが何度も鳴る。なので、俺はストレッチ、優奈はスキンケアを一旦止めて、スマホを確認することに。

 スマホを見ると、七夕祭りに行く人がメンバーのグループトークに、新着メッセージが届いたと通知が。通知をタップするとトークが開き、


『優奈、長瀬君。5人から提案よ。七夕祭りに行っているとき、途中で数十分から1時間くらい2人はお祭りデートをするのはどう?』

『萌音の発案でね。笠ヶ谷の七夕祭りは1年に1回しかないから、2人がデートできる時間があると良さそうだって言ってきて。あたし、凄くいいなって思ってる』

『5人で話し合ったんだ。みんな賛成してるぜ!』

『西山さんの言う通りですね。5人みんな賛成です!』

『もちろん、カズ君と優奈ちゃんの考えを尊重するよ』


 井上さん達5人のメッセージが表示された。

 お祭りの途中で優奈とお祭りデートか。とても魅力的な提案だ。佐伯さんの言う通り、七夕祭りは1年に1回。だから、デートもできたら嬉しい気持ちがある。

 優奈と俺のことを考えて、デートの提案をしてくれるなんて。5人はとても優しいな。


「和真君とのお祭りデートですか」

「そんなことを話していたなんて。俺は……凄く魅力的に思ってる。優奈とデートできたら嬉しいなって。優奈とお祭りデートしたい。優奈はどうかな?」


 優奈を見つめながらそう問いかける。


「私も……和真君とお祭りデートしたいです」


 優奈は嬉しそうな笑顔でそう言ってくれた。優奈も同じ気持ちだと分かって嬉しくなる。


「そうか。分かった。じゃあ、みんなからの提案を受けよう」

「はいっ。こんなに素敵なことを提案してくれて……みなさんとても優しいです」

「俺も同じことを思ったよ。当日はデートも楽しもう」

「はいっ!」


 優奈はニコッとした笑顔で返事をした。

 その後、俺と優奈は、


『みんなありがとう! 優奈と話し合って、みんなからの提案を受け入れることにしたよ』

『素敵な提案をありがとうございます! 当日は和真君とのデートを楽しみますね!』


 というお礼の返信を送った。

 すると、俺の送ったメッセージのカウントはみるみるうちに、最多人数の『既読6』まで上がり、


『分かったわ。当日はデートも楽しんでね!』

『良かったね、萌音。当日はデートも楽しんでね!』

『デート楽しめよ!』

『デート楽しんでくださいね!』

『素敵なデートになるといいな』


 と、みんながメッセージをくれた。そのことに胸がとても温かくなった。

 優奈と初めて一緒に七夕祭りに行けるだけでなく、優奈とお祭りデートもできるなんて。来週の土曜日の七夕祭りがとても楽しみだ。

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