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まずはお嫁さんからお願いします。  作者: 桜庭かなめ
特別編3

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第9話『一緒に水着を買いましょう-後編-』

 優奈の水着を買えたため、優奈と井上さんと一緒に、男性向けの水着売り場へと向かう。

 水着を買うのは2年ぶりだ。それでも、火曜日は女性向けの下着売り場、さっきは女性向けの水着売り場に行ったので、何だか安心感がある。売り場の中にいるお客さんが男性メインだからなのも理由の一つだ。

 女性向けの売り場のように様々な色の水着が陳列されている。ただ、男性向けなのもあってか、青系の色や黒、緑系の色の水着が多い。


「カクイの男性向けの水着売り場に来るのは初めてです。こんな感じなんですね」

「私は小さい頃にお父さんの水着を買うために家族で行ったことがあるけど、雰囲気は変わらない……かも」

「ははっ。……今のところ、優奈はどんな水着がいいなって思ってる?」

「昨日、見せてもらった写真に写っていたような水着がいいですね。似合っていましたから。黒だけでなく青も似合いそうだなって思います」

「分かった。写真に写っていたような水着ってことはトランクスタイプだな。デザインは無地のシンプルなものか。そういったものが陳列されているところに行こう」


 俺が先導して、男性用の水着売り場の中に入っていく。

 優奈はここに来るのは初めてで、井上さんは小さい頃以来だからか、売り場の中をキョロキョロと見ていて可愛らしい。

 あと、売り場の中にいる男性客のうちの何人かがこちらを見ている。優奈も井上さんも可愛らしい女の子だからかな。


「ここだな」


 トランクスタイプの水着が陳列されているところに到着した。ハンガーラックには様々な色の水着が掛けられており、優奈が希望している黒と青もある。


「色々な色がありますね」

「ほんと、いっぱいあるわね」

「そうだな。これまでも、こういう無地のトランクスタイプをよく買ったよ」

「そうなんですね。えっと、黒に……青もありました。良かったです」


 優奈はハンガーラックを見ながら嬉しそうに言った。


「黒と青だな。その2つは試着するよ。それ以外の色は何かあるか?」

「そうですね……水色と緑も似合いそうな気がします。それもお願いできますか?」

「了解だ。じゃあ、その4色を試着しよう。さっきの俺みたいに、試着室の前で待って試着した姿を直接見るか?」

「はいっ、見ます!」


 優奈は元気良く返事をする。もしかしたら、試着した俺の姿を見るのを楽しみにしているのかもしれない。井上さんも同じようなことを思ったのか、優奈のことを見ながらクスッと笑う。


「私も優奈と一緒に見るわ」

「了解。じゃあ、水着を持って試着室まで行くか」


 その後、優奈が候補に挙げた黒、青、水色、緑の水着を手に取る。幸い、どの色も俺に合いそうなサイズのものがあった。

 水着を持って試着室の前まで向かう。

 女性向けの水着売り場と同じく、試着室は3つあり、どれも空いている。さっきの優奈のように、向かって一番右の試着室を使うことに。


「じゃあ、試着してくるよ。優奈と井上さんは待っていてくれ」

「分かりました。試着した和真君、楽しみです!」

「何だか、自分の水着を買うときに以上に楽しそうね。優奈と待っているわ」


 俺は向かって右側の試着室の中に入る。

 ハンガーラックに水着を掛けて、俺は服を脱いでいく。上半身は裸になった方が、水着が似合っているかどうか優奈も判断しやすいと思うので、上は全て脱ぐことに。


「まずはどの色から着るでしょうねっ」

「どれかしらね。楽しみね」

「ええ、楽しみですっ」


 優奈と井上さんの話し声が聞こえてくる。優奈の声が弾んでいて。楽しみにしているのがよく伝わってくるよ。 

 最初に黒と青を候補に挙げてくれたし……まずはそのどっちかだな。去年の黒い水着姿の写真を見て、トランクスの水着がいいと言ってくれたから黒にするか。

 パンツ一丁になり、黒いトランクスの水着を穿くことに。小さい頃に、


『試着するときは下着の上から穿くんだよ』


 と、父さんに教えてもらったときのことを思い出しながら。なぜか、大きくなっても、水着を試着するときには毎回思い出すんだよなぁ。


「……うん、大丈夫だな」


 パンツの上からだけど、問題なく穿けた。特にキツさもない。紐でウエストの調整ができるから、サイズもこれで大丈夫だろう。水着の丈も膝上くらいだし。あと、黒は大人っぽく、落ち着いた感じがしていいなぁ。


「1着目、試着したよ。開けていいか?」

「はいっ、いいですよ」

「どうぞ~」


 優奈と井上さんの返事が聞こえた。なので、俺は試着室の扉を開ける。

 優奈は水着姿を生で見られるのは初めてだし、井上さんにいたっては写真すら見せたこともない。だから、2人がどんな反応をするのかちょっと緊張する。さっき、優奈がピンクのビキニを試着したときもこんな気持ちだったのだろうか。


「とても素敵です、和真君! 写真で見たときにも黒い水着姿が似合っていると思いましたが、実際に見るともっと似合っているなって思います。大人っぽい雰囲気があってかっこいいですっ!」


 優奈は輝かせた目で俺を見つめながらそう言ってくれる。生で水着姿を見るのは初めてだからか、優奈は恍惚とした笑みを浮かべていて。大好きなお嫁さんに水着姿を褒めてもらえて凄く嬉しい。


「似合ってるじゃない、長瀬君。黒は落ち着いていていいわね」


 井上さんは微笑みながらそう言ってくれる。お嫁さんだけでなく、友人からも似合っていると言われるのもいいものだ。


「2人ともありがとう、嬉しいよ」

「素敵ですよ。あと、和真君の水着姿を直接見るのは初めてなのでドキドキします」


 そう言い、優奈は俺を見つめながらはにかむ。そんな優奈がとても可愛くて。


「優奈可愛いわ」

「俺も思った」

「ふふっ。……あと、長瀬君ってそれなりに筋肉あるのね」

「ありますよ。触ったり、抱きしめたりすると固さを感じますし、男の子の体ってこんな感じなんだって思いますねっ」


 弾んだ声でそう言う優奈。優奈はニコッとした笑顔になっていて。可愛いな。井上さんも同じようなことを思っているのか、微笑みながら「ふふっ」と笑う。

 まさか、水着姿だけでなく体つきについてもコメントされるとは。まあ、上半身と膝から下は肌を晒しているからなぁ。


「高1から続けているバイトは立ち仕事だからかな。中学時代よりも体力が付いたし……バイトのおかげで筋肉も付いたのかも。あとは、最近だけど、お風呂上がりに優奈がしているストレッチをベースに、俺もストレッチをやり始めたのもあるかな」

「しっかりとストレッチしていますもんね」

「なるほどねぇ」

「体も素敵ですよ、和真君」

「ありがとう」


 優奈にいい体だと思ってもらえるように、今の体型を維持していきたい。


「ところで、サイズの方は大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ」

「良かったです」

「キツくても緩くても大変だものね」

「ですね。……和真君。見比べるためにも写真を撮らせてください」

「分かった」


 優奈はスマホで黒い水着姿の俺の写真を撮る。その際、俺はさっきの優奈に倣ってピースサインした。


「ありがとうございます」

「いえいえ。じゃあ、次の色の水着を試着するよ」

「分かりました」


 俺は試着室の扉を閉めて、黒い水着を脱ぐ。

 次に着るのは……青にしようかな。最初に候補を挙げてくれた色は黒と青だったし。


「次はどの色でしょうね。私は青かなって思うのですが」

「私も青かなぁ。優奈が最初にいいって言った色が黒と青だったし」

「なるほどです」


 2人とも、理由までご名答。思わず笑いそうになってしまったけど、答えを言ってしまうのと一緒な気がしたので堪えた。

 俺は青い水着を下着の上から穿く。まあ、黒い水着と同じサイズをハンガーラックから手に取っているから当たり前なんだけど、サイズもちょうど良くて一安心。

 青は落ち着いた感じもあるけど、涼しげな雰囲気もある。これからより暑くなってくるし、青も個人的にはなかなかいい感じ。


「2着目、着たよ」

「はーい」


 優奈の返事が聞こえたので、俺は試着室の扉を開ける。


「次は青い水着を試着したよ。どうかな?」

「私の予想通り、青い水着姿も素敵ですね! 似合っています。濃い色合いなので落ち着いた雰囲気もありますが、青色なので黒よりも爽やかさや涼しさも感じられて。青もいいですね!」


 優奈はニコニコとした笑顔で感想を言ってくれる。青色なのもあって、優奈も涼しさや爽やかさを感じてくれるか。似合っていると言ってくれたので嬉しい。


「青も似合ってるわね。これからの季節には青系の色も良さそうね」


 井上さんは可愛い笑顔でそう言ってくれる。友人からもお褒めの言葉をいただけて何よりだ。


「2人ともありがとう。似合っているって言ってくれて嬉しいよ。青いから涼しい感じがするなって思ったよ」

「そうですか。青もいいですよ! では、写真を撮らせてください」

「分かった」


 優奈は青い水着姿の俺のことをスマホで撮影した。

 その後も水色、緑の順番で水着を試着していく。

 水色は黒や青よりも落ち着いた感じではなくなるけど、爽やかさと涼しげな雰囲気は4色の中で一番だ。緑は黒ほどではないけど、結構落ち着いた雰囲気がある。

 水色も緑も、優奈と井上さんには高評価だった。


「これで、優奈が候補に挙げた4色全部試着したけど……4色から選ぶ? それとも、他にも試着してほしい色がある?」


 4着目の緑色の水着を試着したとき、優奈にそう問いかける。


「4色ともとても良かったので、この4色の中から選びたいと思います」

「了解。じゃあ、俺は制服を着るよ」

「分かりました」


 俺は試着室の扉を閉め、制服に着替えていく。


「どれもいいですね。迷います……」

「優奈らしい」


 試着室の外からそんな会話が聞こえてくる。

 優奈はいいものがいくつもあると迷いやすい性格だからな。俺のバイト先のマスタードーナッツに来ると、どのドーナッツを買おうか迷うことが何度もあるし。

 黒、青、水色、緑。優奈はこの4色からどの色を選ぶのだろうか。そのことに楽しみな気持ちを抱きつつ、制服へ着替えていった。

 制服に着替え終わり、試着した水着をちゃんとハンガーに取り付けて、俺は試着室の扉を開ける。


「着替え終わったよ。……優奈、どの色の水着がいいか決まった?」

「はいっ。迷いましたが、決まりました」

「決まったか。どの色に決めた?」

「青です。よく似合っていたのはもちろんですが、落ち着いた雰囲気があって涼しげな感じもしたのが良かったです」

「そうか。じゃあ、この青い水着を買おう」


 優奈に選んでもらったのもあり、青い水着が輝いて見えてくる。


「いい水着を選んでもらえて良かったわね、長瀬君」

「ああ。優奈、選んでくれてありがとう。井上さんも付き合ってくれてありがとな」

「いえいえ! 楽しかったですよ! 水着姿も見られましたし」

「同級生の男子の水着を選ぶのが初めてだったから、新鮮で良かったわ」


 優奈と井上さんはいつも通りの可愛らしい笑顔でそう言ってくれた。2人にとっていい時間になったようで良かった。

 その後、黒、水色、緑の水着を陳列されていた元の場所に戻し、青い水着を購入した。


「これで、俺も新しい水着を買えた。明日はこの水着でプールデートを楽しむぞ」

「一緒に楽しみましょうね!」

「ああ」

「2人とも楽しんでおいで」

「はいっ! ありがとうございます!」

「ありがとう。楽しんでくるよ」


 俺達がそう言うと、井上さんは俺達に優しく微笑みかけてくれた。

 優奈が選んでくれた水着を買えたので、明日のプールデートが本当に楽しみだ。明日がとても待ち遠しい。

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