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番外編短編・雛鳥

 正月休み中、すっかりダメ人間になっていた美月だったが、明日から新学期だ。


 午前中は秋人の家のリビングでダメ人間をやっていたが、午後からは家に帰って勉強する事にした。


 宿題は全部終わらせていたが、受験についても考えていく時期だ。学費の事もあるので、塾を行ったり贅沢はできない。学校の妖怪女子である藤部や丸山を使い倒すのがいいかもなどとドケチな事を考える。


 しばらく勉強した後、今日秋人から貰ったお土産を開けてみた。


 美月が茶殻の料理を作ったことがきっかけで、秋人は色々とドケチレシピを開発していた。


 今日も何か作っているようで、お土産の箱をもらった。


 中身はマフィンだった。普通のマフィンではなく、ちょっとお茶の匂いがする。茶殻入りのマフィンらしい。


 美月は教科書をペラペラと捲りながら、お茶の匂いがするマフィンを齧る。


「わ、けっこう美味しい」


 あっさりとした甘みにパクパクと食べてしまう。


 ふと、頭の中に秋人の笑顔が浮かんだ。ニートバージョンの腑抜けた秋人の笑顔だったが、なぜかキラキラとして見えてしまった。


 おそらく秋人の胃袋をガッツリと掴まれてしまったのだろう。


 雛が親鳥に懐くような感情かもしれないが、やっぱり秋人の事は好きなのかもしれない。


 その感情は驚くほどナチュラルに美月の心に馴染んでしまった。


 恋愛感情なのかもわからない。そもそも美月は異性を好きになった事もないのでわからない。


 ただ、そんな事を考える美月の頬は少し熱くなっていた。


 もうすぐ新学期。時期に三年生にもなり、受験も終えると、もう子供とはいえなくなる。秋人とこんな風に食事をする事も減るだろう。


 美月が雛鳥でいられる時期はあと少しだ。自分の感情はよくわからないが、巣立つの日まで、秋人との時間を大切にしたいと思った。

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