番外編短編・茶渋
正月でだらけている秋人や美月達であったが、ゴミもでるし、洗い物も出る。
浩もすっかりダメ人間になっていたが、美月と一緒に調理室で洗い物をやっていた。
洗い物係がジャンケンで決めたが、秋人が勝ち、美月と浩がやる羽目になっていた。
「めんどくさーい」
「そうねー、だるいわねー」
二人とも文句を言いつつ、紅茶を入れたカップやポット、蜜柑を乗せた皿を洗っていく。
「美月ねぇちゃん。これ、洗っても茶色いところが落ちない」
「あ、これは茶渋ね。普通の洗剤だと落ちないわよ」
浩が持っているカップの内側は、茶渋で真っ黒になっていた。美月は可愛い猫や鳥がデザインされたカップなので、綺麗にしたくなった。
「茶渋は、塩か重曹で落ちるはずよ」
調理室の棚をあさり、塩と重曹を持ってきた。
「どっちが綺麗に落ちるかな?」
「まあ、どっちでも落ちると思うけど、試してみる?」
まず浩は食塩で洗った。
「すっごい! 茶渋落ちたよ!」
「でしょ。重曹も試す?」
美月は重曹をひとつまみカップに入れて浩に渡した。
「あれ? 重曹もすごい。すぐ茶渋が落ちちゃった!」
「でしょー。伊達に貧乏人やってないわよ! 茶渋落としの洗剤は高いし、塩か重曹で十分よ!」
鼻息荒く貧乏人の小ネタを話す美月に、さすがの浩もドン引きだった。
しかし、カップは新品のように綺麗になり、秋人も目を丸くしていた。
ちなみに美月は蜜柑の皮も捨てずに活用していた。
レンジの臭いをとったり、シンクを磨いていた。紅茶や緑茶の茶殻も活用し、ポプリや入浴剤まで作っていた。
「ドケチ娘、怖すぎる……。というか環境には超良いよな……」
結局ほとんどゴミを出していない美月を見て、秋人はぷるっと震えていた。




