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料理王子の謎解きレシピ  作者: 地野千塩


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料理王子vs自然派ママ(9)

 美月、秋人、抹茶は、病院にあるカフェテリアで食事をすますと、車に乗り県道沿いにある和菓子屋の向かった。


 料理コンテストがこんな風に台無しになってしまった為、謝罪行脚をする為だ。抹茶が菓子折りと一緒に謝罪した方がいいとアドバイスした結果だった。


 とりあえず、商店街の会長、コンテスト参加者の原田、白子に謝罪する事になり、秋人と抹茶は和菓子屋で菓子折りを選んでいた。


 和菓子屋は団子やかしわ餅といった生物の菓子ばかりでなく、カステラやモナカや饅頭など比較的日持ちのする菓子折りも販売されていた。


「美月ちー、菓子折りどれがいいかね?」


 秋人は、首を傾げながら菓子折りを選んでいた。


「秋人さんが手作りのクッキーでも配っても良くないですか?」


 ふと、頭に思い付いた提案をしてみたが、抹茶は首を振っていた。


「謝罪するときには手作りお菓子は辞めた方はいいです」

「そうだよ、美月ちー。ま、会長と原田さんはモナカセットでいいかな?」


 会長と原田へ送る菓子折りはすぐに決まったが、自然派ママである原田への菓子折りはなかなか決まらない。こう言ったお菓子は入った添加物が入ったものが多いから、秋人も抹茶も頭を悩ませていた。ちなみに明日香には、さっき秋人がカフェテリアに奢ったお金でチャラになっている。


「白子さんには、逆に手作りのケーキでも送った方がいいんじゃないですか?」


 中泣きらない二人の様子を見ながら、美月はだんだんとイライラしてくる。確かに添加物入りのお菓子など受け取る感じはしないが、そこは大人として譲歩すべきじゃないか。そんな白子に気を遣う秋人や抹茶の行動も意味がわからない。


「いや、俺のガチの手作りオーガニック素材のケーキなんて持って行ったら嫌味になっちゃうよ」

「あはは。秋人さんは以外とブラックだなぁ」


 抹茶は意地悪そうに笑っていて、二人のブラックな冗談に美月の顔は引き攣っていた。抹茶もだが、秋人もなかなか良い性格をしている。単なるイケメン料理王子では無いようだ。


 結局和菓子屋の店員のおすすめで、白子にはカステラを送る事になった。店員いわくカステラは添加物が入っているにが少ないという。この店で取る扱っているカステラは、無添加だとおススメされた。


 こうして車に乗り込み、鈴蘭商店街に向かう。商店街会長のいるお茶屋に直行し、秋人の謝罪行脚が始まった。コンテスト会場は、まだ片付けは終わっていないようだったが、もう人だかりは消えて閑散としていた。


 会長は意外と全く怒ってなく、かえって段取りが悪かった事や計画的ではなかった事を謝罪してきた。


 帰りにお茶のお土産も貰ってしまうぐらいで、秋人も抹茶も恐縮していた。


 お茶屋からの帰りがけ、美月は少し気になる事を会長から聞いてみた。


「ところで、白子さんって何で秋人さんを嫌っているんですか?」


 会長は白子の名前を聞くと、さっき待っで笑っていた表情が暗くなる。


「白子さんはねぇ。悪い人ではないんですが、自己顕示欲が激しいところもあってねぇ。まあ、息子さんの件があるから仕方ないが」

「会長、白子さんって息子がいたの?」


 秋人は目を丸くしていた。確か白子には子供はいないと聞いていたが。


「まあ、噂ですし、科学的根拠は無いんですが……」


 会長は、白子の息子の事を教えてくれた。その話が本当だとしたら、同情できる点もある。秋人をあんな風に一方的に嫌っていいかはわからないが、事情は分かった。

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