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ドケチ娘と料理王子編(4)

 美月が連れて行かれた家は、低層マンションかと思った。三階建ての綺麗なマンションに見えたが、なんと秋人とその秘書が住んでいる家という。裏手には、朝霧家の本邸があり、そこが別邸という扱いらしい。


 美月には想像できないセレブな世界で、冷や汗しか流れない。


「ごめんねぇ。うちのお兄ちゃんが失礼な事したんでしょ」


 別邸の一階にあるリビングは、べらぼうに広く、高そうなツボや絵画が並んでいるので、緊張感しか持てないが、桜に迎えられて思わずホッとしてしまった。


 桜に膝の手当てもやって貰い、膝は痛くなくなったが。


 秋人と桜が二人で並ぶと、さすがに美男美女の兄弟に見えた。今の秋人はメガネを外し、髪も下ろしているので、ニート感が少し消えていた。至近距離で見ると、確かにイケメンだった。顔は整っているし、肌も綺麗だ。


「でも、何であんなに大量にスイーツを捨てていたんですか?」


 頭に思いついた疑問を口にしていた。


「今はスイーツのレシピを開発中でさ。色々作っているうちに、増えちゃって。全部食えんし、捨てた」

「えー? 勿体無い!」


 なぜ捨てているか理由は納得できたが、やっぱり勿体無いので、美月の口から文句が溢れてしまった。


「うちのお兄ちゃんは、ちょっと大雑把なのよねぇ。しかもレシピ開発中は、熱中しちゃって、細かい事スルーしちゃうし」


 桜はこんな兄の様子には、呆れているらしい。深くため息をついていた。


「だったら桜のいる本邸でも、うちで作った料理食ってくれよ」

「いやよ。そんな大量に食べられるわけないでしょ」

「そんなぁ」


 どうやら秋人は、妹の桜に頭が上がらないらしい。というか、秋人が桜を溺愛そちゃってる感じで、少々鬱陶しがられているように見えた。秋人はイケメンだが、少々ヘタレ? 王子風に見えるのは、表の顔だけっぽい。


「可愛い妹よ、そんな冷たくしないでくれよ」

「いやよ。そうだ、これからメイドの幸田ちゃんに勉強教えて貰う予定だから、本邸の方に帰るね!」


 桜は、そう言って本邸の方に帰ってしまった。


「本当の料理研究家だったんですね」


 妹に頭が上がらない様子の秋人を見ていると、イケメン料理王子なのが信じられないので、思わず聞いてしまう。


「そうさ。俺は本当にイケメン料理王子だぞ!」

「見えない……」


 本人がそう主張しているのを見れば見るほど、 美月は信じられない気持ちになった。


「ところで君の名前なんだっけ?」

「星野美月です」

「へー、名前の雰囲気は可愛いね!」


 しかし、秋人は満面の笑顔で美月の名前を誉めた。別に惚れたりはしないが、こんな風に褒められると、彼のファンがキャーキャーいう気持ちも何となくわかるような気もした。


 そこへ、一人の男性がリビングに入ってきた。


 少し禿げた50代ぐらいのおじさんだったが、人の良さそうな顔を浮かべていた。

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