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料理王子の謎解きレシピ  作者: 地野千塩


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ギルティな謎(3)

 秋人には、「美味しいものをお食べ」などと甘い事を言われた美月であるが、やっぱり乙女としては体重が気になる。このままグータラ寝て食べるのは、恐った。


 という事で、秋人の家からでると少し散歩をする事にした。


 空は綺麗な秋晴れだし、気温もちょうどいい。それにウォーキングアプリで歩けば歩くほどポイントが貯まり、1か月で1000円ぐいのポイントバックもできる。ドケチな美月はこのアプリをスマートフォンの入れていた。


「ついでにペットボトルも拾っていこう」


 美月は歩きながら、道に捨てられているいるペットボトルも拾っていた。


 美月の住む町ではリサイクルも盛んで、あちこちのペットボトルの回収ボックスがあった。ペットボトルをそこの入れると、ポイントがつき、市内のスーパーで利用できたろ、エコバックやマグボトル 、スープジャーと交換できる。


 ドケチな美月は、この話に食いつかないわけがない。さすがにゴミ箱を漁ったりはしないが、道端に落ちているペットボトルは拾って、洗って乾かし、回収ボックスにいれ、ポイントを得ていた。


 こいして散歩もアプリポイント、ペットボトル回収とドケチ街道を邁進中だった。


 まず、秋人の家の周辺の住宅街や商店街、スーパーの方を歩き、少し遠くに方の市立公園まで歩いた。お陰で捨てられたペットボトルも4本回収できた。これで街が綺麗になるわけでも、リサイクルにとっても貢献したわけでは無いが、自分のドケチっぷりも何かの役に立っていると思うと、少し嬉しかった。


 市立公園では、遊んでいる子供や散歩中の犬に癒され、そろそろ帰るところだった。


「あれ?」


 背後に誰かの視線を感じた。


 しかし振り向いても公園にいる子供や老人しかいない。


「見間違いだったか」


 そう思う事にしたが、どうも背中に圧みたいなものを感じた。


 その視線は、家につく直前まで感じた。基本的に神経が太く、お金や節約の事ばかり考えている美月だったが、さすがに怖くなってきた。


 しかも家のポストに変なチラシが入っていた。


 『料理王子に近づくな!」


 チラシには、そんな事が書かれているではないか。手書きではなく、パソコンで出力した活字だと思われたが、怖くなってきた。


 美月は家の戸締まりをしっかりとし、引きこもった。


「何なん、これ」


 チラシは、どう考えても秋人のファンの仕業だろう。自分が秋人の家に出入りしているのが誰かにバレていた?


 やっぱりタダより高いものは、ないのか。


 美月はこんなようなシチュエーションは、どこかで見た記憶があり、自分の部屋の本棚を漁った。美月の好きな少女漫画「トキメキ学園の王子!」でも似たようなシーンがあった。冴えないヒロインが、学園の王子と付き合い始めてから、いじめっ子から嫌がらせを受けるようになっていた。


「やっぱり、秋人さんのファンの仕業?」


 どう考えても犯人は秋人のファンだが、対象が広すぎて誰が犯人かわからない。


 学園ではあの講演会以来、秋人のファンは増えていたし、主婦層の支持は抜群だ。この辺り家族で住んでいる主婦も多い。


 こういう時は、誰かに相談するのが良い。藤部に電話をかけた。


 藤部も弁当箱を盗み見るという褒められない事をやっていたし、何か犯人の心理もわかるんじゃないかと考えた。


「ちょっと、失礼ね。私は、ストーカーみたいな事はやっていないわよ」


 藤部に相談すると、濡れ衣だと怒られた。


「それはわかってますけど、同じ犯罪者としてその心理はわかりませんか? どんな犯人像だと思います?」

「ちょっと、星野さん。同じ犯罪者って案外あなた、失礼ねぇ」


 藤部は呆れながらも、犯人像を推理してくれた。


「そうねぇ。秋人さんのファンである事は確かね。でも星野さんが秋人さんの家に入り浸っている事なんて、知っている人はほとんどいないんじゃない?」

「そうなんですよぉー。クラスでは桜と直恵ぐらいしか知らないはずだし」

「でも近所の人は見てる可能性あるわ。近所の主婦の仕業よ、きっと。秋人さんのファン層にも合うじゃない」


 藤部の推理はもっともだった。ただ、それだと犯人は膨大な数になり、絞り込むのが難しい。


「まあ、自虐ネタだけど、悪い事してる人なんて追い込まれて傷ついているのよ。きっと犯人も嫉妬に嫉妬を重ねてるのね。可哀想」


 実際、褒められた事はしていない藤部に言われると、説得力があった。


「でもあんまり嫌がらせが続くようだったら、学校に報告するのよ」

「え? どういう事?」

「お母様に連絡して、一人暮らしもダメになるかもね」


 電話を切った後、美月は頭を抱えていた。このまま、母が日本に帰ってくるとうのなったら大変だ。


 母の仕事を失ってしまうだろう。あの人は、日本人受けするような人の死なないミステリなどは書けない。よく誤解されているが、コージーミステリは殺人事件がつきもので、日本で人気の人の死なないミステリとは全く違うジャンルだ。


 確かに母は英語ができるが、コロナ渦下で翻訳や通訳の仕事がある保証はない。それに問題になったら、母の数少ないファンも悲しむだろう。


 そうなるとこの問題も解決した方が良い。おそらく、殺意のようなものは無いと思うが、大きな問題になったらたいへだ。


 もしかしたら何かヒントになるかもしれない。美月は本棚を漁り、母が書いたコージーミステリを引っ張り出した。

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