表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

7『そのまんま月の砂漠』


月にほえる千年少女かぐや(改訂版)・7『そのまんま月の砂漠』


大橋むつお


※ 本作は自由に上演していただいて構いません、詳細は本作の最後に記しておきます



時   ある日ある時

所   あるところ

人物  赤ずきん マッチ売りの少女 かぐや姫




かぐや: 先生がまだほんのお子様のころ、お母さまが内職のミシンをふみながらよく歌ってらっしゃったんですって。お母さまが、この歌を口ずさまれるとそれだけでね、六畳一間のお部屋が月の砂漠になったんですって。ほほほ、おわかり?

赤ずきん: わかったような……

マッチ: わからないような……

かぐや: 先生はね、月の光に照らされた砂漠じゃなくて。そのまんま月の砂漠とお思いになったんだって。

赤ずきん: え?

マッチ: ん?

かぐや: で、どうして空気のない月の砂漠を王子さまとお姫さまが、ラクダに乗っていけたんだろうって…… 

二人: あははは……

かぐや: でも、すてきじゃございませんこと……お母さまのお歌一つで六畳のお部屋が月の砂漠になって、畳のへりを、小さな王子さまとお姫さまがラクダにのっていかれるなんて。

赤ずきん: でも、それがどうして鳥取砂丘?

かぐや: 学生のころに鳥取砂丘でラクダのりのアルバイトをなさってたの。それで、月の砂漠はここだってお思いになった。はじめて砂丘をごらんになったとき、ミシンをふむお母さまのお背中と、月の砂漠がパーっとスリーディーの映画のように、よみがえったとおっしゃってました。

マッチ: ふうん……いい話だよね。

赤ずきん: でも、この家は金八郎にがてなんだろ?

かぐや: せっかちのエンジン全開でいらっしゃいますから。

マッチ: だよね。

かぐや: 一時間……いいえ、正味四十八分で、問題を解決しなきゃいけませんでしょ。スポンサーやディレクターのご意見もございます。ムリもございませんわ。

赤ずきん: だろうね…… 

マッチ: 波の音がする……

赤ずきん: ほんとだ。

かぐや: そりゃ海岸ですもの……海と、月と、砂丘と……ぜいたくでしょ、ここ。

マッチ: あ、うさぎさんだ!

赤ずきん: え、どこ?

マッチ: ほら、あそこ。あの砂丘のかげ。

赤ずきん: ……ほんと!

マッチ: おっこっちゃったのかな?

赤ずきん: 月から?

かぐや: ほほほ、わたしもそう思って、思わず月を見上げましたわ(三人月を見上げる)ほら、ちゃんと月ではうさぎさんが、おもちをついていらっしゃるわ。

赤ずきん: ……ということは、ただのうさぎ?

かぐや: いいえ……あの方は由緒正しいうさぎさんなのです。

マッチ: ほんとだ、腰に手をあてて胸をはっている。

赤ずきん: セーラームーンか!?

マッチ: ちょっち古いよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ