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11『開かない』


月にほえる千年少女かぐや(改訂版)・11『開かない』


大橋むつお


※ 本作は自由に上演していただいて構いません、詳細は本作の最後に記しておきます


時   ある日ある時

所   あるところ

人物  赤ずきん マッチ売りの少女 かぐや姫



マッチ: うん、行こ行こ(^▽^)/。夕焼けもきれえだし(窓から夕陽がさしこんでいる)あ、大きな鳥……

赤ずきん: 白鳥……鶴だな……(鶴の鳴き声)

かぐや: 鶴の恩返しの鶴さんです。

マッチ: ツルノオンガエシ?

赤ずきん: 何にも知らないんだな。助けられたお礼に、鶴が男の女房になって、自分の羽根で、ビンテージもんの布を織ってやる。織ってるところを見ちゃいけないっていうのを、男はスケベー根性おさえきれずにのぞいて、悲しんだ鶴が家を出てっちゃう……

マッチ: ああ、思い出したあ。

かぐや: お家をとびだしてから、ああして飛び続けていらしゃるの……

赤ずきん: 降りてこないの?

かぐや: ええ、対人恐怖症でしょうね……

マッチ: ……かわいそう……

赤ずきん: 疲れて落ちてしまうでしょうに……

かぐや: 銀河鉄道さんがね……

マッチ: 銀河鉄道?

赤ずきん: 宮沢賢治の?

かぐや: カムパネルラとジョバンニがいっしょに乗って走ってもらっているの。落ちたときにクッションになってもらえるように……


轟音をたてて銀河鉄道が通過する。それぞれの姿勢で見送る三人。


マッチ: ほんとだ……銀河鉄道さ~ん、ごくろうさま!

赤ずきん: あ、カムパネルラとジョバンニが手をふった!


     三人手をふる。


かぐや: さ、まいりましょうか。

赤ずきん: ようし、ゴーアヘッド!

マッチ: え、なにそれ?

赤ずきん: なにって「さあ、いくぞ!」って意味だ、軍隊じゃ「前進!」って号令に使うんだ。

マッチ: レッツゴーじゃないの?

赤ずきん: レッツゴーって、ダセーなあ、おまえ昭和かよ。

マッチ: そんな、掛け声一つで差別しないでよお!

赤ずきん: て、言い出したのはおまえだろが!

かぐや: ……あら……ドアが開かない。

マッチ: 押すんじゃないの?

かぐや: ホホ、そうだったかしら……押しても開かない。

赤ずきん: ちょっと(かわる)ほんとだ開かない。

マッチ: なんだか暗くなってきたよ。窓の外まっくら。

かぐや: え……?

赤ずきん: くそ、ほんとに開かないよ。どうなってんだ!? くそ! くそ!!



     ドア、急に開く。そのいきおいで、赤ずきん、外へとびだしてしまう。






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