圭くんの想い
「彼の優しさ」の圭くんside。
圭くんの佳奈ちゃんへの想いは…………?
買い物終わりの19:00。スマホを見ながら自分の家に帰る。歩きスマホだけど、神様、許して。許しを乞いながら開いているのは、佳奈さんのLINE。同窓会から一週間。何のお誘いも出来ない俺。
「情けないな………。」
毎日、時間があれば佳奈さんのトークを開いているのに、スマホを握りしめ、悶々とするだけの俺には、自分でもあきれる。
明日から、土日。どこかに誘って………、距離、詰めたいなぁ。
ぼんやりそんなことを考えていると、どこからか、叫び声が聞こえた。
「や、やめてくださいっ!誰かっ、助けてっ!」
「うるせえ!黙れ!」
まさか。と思い、聞こえた方向に足を進める。目に入ったのは、今この瞬間考えていた人が、絡まれているところ。
「た、すけ、て」
その声が聞こえたとき、買い物袋を置いて、俺の体は勝手に動いた。
…………汚い手で触るな。俺が言える立場ではないが。その子には、手を出すな。あの日のようにあの子に向かっていく。
「え、圭く…………!」
「……………何してんだよ。」
俺は、若者を睨みつける。
「お前には関係ねえだろっ!」
若者たちが俺に掴みかかろうとしたので、構えた。けっして、彼女には怪我をさせないように。彼女を、彼らの目に、二度と入れないように。
「佳奈は、俺の、彼女だ。」
文節に力を込めて。
「彼氏いんのかよ、それなら早く言えばいいだろっ!!」
彼らはあっけなく怯んだ。良かった。走り去った彼らの背中を見えなくなるまで睨みつける。
後ろで、ドサッという音が聞こえ、ビクッと驚いてしまう。
「佳奈さん?」
振り返ると、佳奈さんは、その場にしゃがみこんでいた。
「…………………った。」
彼女は、うつむいて、何かを呟いた。
「え?」
「…………こ、怖かったあ~!」
顔をパッと上げ、俺に見せたのは、ぐしゃぐしゃになった泣き顔。いつものはきはきする佳奈さんと違い、ギャップでかわいいな、と、こんな状況でも思ってしまう。
そこで思いだしたのは、若者の腕を掴んだ時に見えた、白い肌に映える赤くなった傷。
「佳奈さん、腕、見せて。」
力の入っていない腕を持ち上げ、どれくらいの傷か確かめる。これくらいだったら、うちでも対処できるな。
「佳奈さん、俺んち近いから、けがの手当てしちゃお。ほら、立って。」
彼女の腕を引っ張り、立ち上がらせようとする。しかし、
「う、うわああん~~!!」
「ちょ、佳奈さんっっ!?」
彼女は、急に立ち上がって………………
……………………僕に抱きついた。
「え……………」
「こ、わかった。」
「う、ん。」
「来てくれて、ありが、とう。」
途切れ途切れの言葉が紡がれるたびに、俺の心が飛び跳ねる。ギャ、ギャップ萌え…………!!
その瞬間、彼女は何も言わず、俺の胸のなかで動かなくなった。
「……………佳奈さ」
「…………zzz」
まさかここで寝るとは。俺の想像の佳奈さんと違う面が見れて笑いそうになる。でも、一回起こす。
「佳奈さん佳奈さん、家までおぶってくので。寝るならとりあえず背中に乗ってください。」
「ふぇ……………。ぅん…………………………。」
素直な君が、かわいすぎる。ズルすぎ、反則。
背負った温かさがあまりにも軽くて。こんな体で仕事、頑張ってるんだな。
すーすーと耳元にかかる息が、こんなにも心地よいのかと思うほどだった。
「ねえ、佳奈…………?」
今言っても聞いてないだろうから。
「佳奈、」
その後に呟いた言葉は、俺だけの秘密だ。
こーんにちわー!!
第7部分まで、きました!!
私はもともと、第10部分くらいで終わるかなぁくらいに思ってたのですが、まだ3分の1くらいしか終わってないです……………!
まだまだ頑張りますよお( ^ω^ )
これからも応援よろしくねっ!
あなたと物語のつながりを……………!