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美波の想い~私のために親友を失う~

 佳奈に秘めた“美波の想い”。

“本当は思っていないよ。”佳奈と美波の絆を絶ちきったのは誰だ……?


 懐かしく、愛しく、8割後悔した、私の、高校生活。



「西浦さん、ちょっといい?」


放課後、荷物を整理し終わり佳奈を呼びに行こうとした時、誰かに声をかけられた。


「え?」


振り向くと、クラスの女子のボスが立っていた。


「どーしたの?」


「あなたに話があるの。こっち来て。」


そう言って彼女は私を手招きした。佳奈が心配そうにこっちを見ていたので、


「先、帰ってて。」


と伝えると、素直にコクンとうなずいてくれた。



 着いたのは、人気ひとけのない体育館裏。


「で、話って?」


そう尋ねると、彼女は気味悪く口角をあげた。


「あなたの友達は、綾瀬佳奈さんね。」


「あ、うん、そうだよ?」


「その子とは、縁を切ってくれない?」


急に切り出された話に、頭が追いつかない。


「あの子、本当に気に入らないんだよねぇ。あんたもそう思ってるんでしょ?」


「え……そんなこと、思ってるわけないじゃん!だって……!」


私は頭に血がのぼり、歯向かおうとしたが、


「あんた、私に逆らっていいの?」


その言葉で私は頭から氷水を被ったかのように、冷えきった。


「私に逆らったら、あんたをいじめの対象にするから。」


その言葉で、私は中学の頃を思い出す。中学の頃、誰にでも仲良くしていたから、“いい子ぶりっ子”と言われ、いじめられていた事。


「っ……!」


「じゃ、よろしくね♪」


彼女は、私の肩をたたき、上機嫌に立ち去る。


「あのっ!」


私はまた、彼女を呼び止める。


「なに?」


親友かなをいじめることなんか出来ない!……私の大切な人なのっ!」


思いっきり叫んだ!この人にも人を大切にする気持ちくらいあるだろう。少しは怯んだだろうか。


そうすると、彼女はゆっくり私に近づき、


「まだ、分かんないのっ!?」


と、ビンタされた。左頬がひきつる。


「うっ……!!」


彼女は今度こそ何も言わずに立ち去った。堪えきれず嗚咽が漏れた体育館裏の私を、誰も助けに来てくれなかった。



 次の日の雨の中。私は佳奈に嘘をついた。


「佳奈の存在が嫌いっ!」


本当は、そんなこと思っていないよ。


「っ……!」 


いつも佳奈は自分に自信を持った目をしているのに、今は目が何も捉えていなかったから。怖くて。逃げて。

 雨の中、走って、走って、走って……!足に水がかかって気持ち悪いけど、止まれなかった。佳奈は予想通り、追って来なかった。


「ごめんなさい……!」



 自分の部屋に駆け込んで、ドアにも鍵をしっかりかける。そしてドアに寄りかかると、涙が止まらなかった。


「ううっ……。あぁぁーーーー!!!」


佳奈、ごめんなさい。ごめん、ごめんね、謝って許される事じゃないけど……。自分に負けた。自分がいじめられる方が、怖かった。


 次の日から、ボスに言われたとおり、佳奈を無視。その次の日は、佳奈を階段から突き落とす。ボスに従って行くうちに、どんどん上の立場になって、クラスの中で、2番目に偉くなった。みんなが私に従うようになり、私の地位は保たれた。


 それでも、やっぱり、佳奈を嫌いになんかなれなかった。



 「あらぁ、久しぶりぃ♥佳奈ちゃん、変わんないねぇ。」


「23才にもなって語尾を伸ばすあんたの方が変わんないわ。」


5年ぶりの再会。同窓会では、ダメもとで話かけてみた。が、残念なことに、こっちをほぼ見てくれなかった。


「……分かってるよ、そんなんで許されないことをしたっていうことくらい……!」


自分を殴りたくなって、持っていたカクテルを煽る。私の潤んだ目で、知らない男性と話す佳奈を見ながら。



 「……や、やめてっ!離してっ!…………………………いやあぁぁっっっ!!!!!」


同窓会から一週間が経った日。憎い()()()に肩を掴まれ、身動きが取れなくなり、そのまま屋上から突き落とされた。アイツのひっぱくした顔が、どんどん遠ざかっていく。

 こんな時まで考えているのは、佳奈の高校時代のことだ。

 ごめん。謝れないまま、私、死んじゃう。たぶんこれは、佳奈をいじめた罰だね。私、地獄へ落ちるから。佳奈は、幸せに、なって……。

 

 ……………遺体の目には涙が、口元には笑みが残されていた。

今年初投稿です!今年もよろしくね!

今回は高校時代の美波の話でした。美波と佳奈の関係は、離れてなかったんですねぇ。

というわけで第2回目の質問コーナーは、(高校時代の)美波ちゃんをお呼びしました!美波ちゃーん!


みなみ はーい!

のか  わ!モデル並みに可愛い!美波ちゃんはモテるんじゃないのー?

みなみ あは、そんなことないよぅ。コクられたこと、ないし。

のか  え!そうなの!私と同じ……。(ボソッ)

みなみ うん!男子経験ゼロ☆……でもね、最近、気になってる人がいるんだぁ。クラスメイトなんだけど、地味で話しかけてくんなオーラが出てる読書と映画好きなんだよねぇ。優しそうだから、彼。目で追っちゃうんだよね。なんか、愛しくて、かわいい。意外な一面があって……

のか  へぇ、止まんないね。気持ちは分かるけど。このコーナー終わったらもっと教えて?美波ちゃんの恋が気になる!

みなみ これってやっぱり恋なのかなぁ?

のか  ぜっったい、恋!というわけで、今回はここまで!あなたと物語のつながりを♪

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもわず美波さんを擁護してあげたくなりますね...。中々面白いと思いますよ! [気になる点] まず背景の色を黒(ブラックモード)にしてると思いますが、なるべくここは標準設定に戻した方が良い…
2021/01/07 17:08 退会済み
管理
[一言] いじめで手を切るように言われてたか。。 ウッ…イヤナオモイデガ… 昔小説書いたことがあったりなかったりするんですが、どうしてもストーリーズがありがちな感じになっちゃうんですよね( ^ω^)…
2021/01/04 07:44 退会済み
管理
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