事件の始まり
[あらすじ]
同窓会から一週間、未だに来ない圭からの連絡。それを何故か毎日、気にしてしまう佳奈……。そんななか、佳奈は初めて大きな事件を受け持つ。その事件の被害者は……?
警察署の私のディスクの上。作業で疲れた目をほぐしながら、スマホの電源を入れる。大きく映る、10:32の文字。通知バーには何も来ていなかった。
「はあぁ。」
圭くんとLINEを交換してから一週間……何の連絡も来ないなんて。ないわぁ……!トークから“Kei”を開くと、お互いの「よろしくお願いします」の文字とスタンプしかなかった。私が送ったスタンプを不意にタップすると、動くスタンプだったらしく、寂しげに、可愛く、2回動いた。
っていうか、何で私、圭くんからの返信を気にしてるの?圭くん、忙しいのかもしれないし!私のLINEの友達なんか、ほぼほぼやりとりしないから埋もれてきてるし!何で……圭くんだけ……?そろそろ私も男子ばかりひいきするような女になったか、そうなのか!
「おぅい、綾瀬くん、大丈夫かね。死んだか。」
いつの間にか突っ伏していた私に声をかけてくれたのは、課長の磯山さんだった。
「あい、大丈夫でぇーとぅ。」
間延びした声で答える私に、「頑張れよー、新人。」と肩を叩いてくれた。
と、その時緊迫した声が。
「みんな、聞いてくれ!一丁目のビルで飛び降り事件発生!状況を見に行くぞ。浅野、田中、……綾瀬、お前も経験のためだ。行くか?」
突然呼ばれた私の名前にびっくりして、一瞬何も言えなかったが、初めての大きな仕事だった。
「はい!行きます!」
「おう。車に乗れ。」
さっきのおかしくなりかけた気持ちを押し殺し、スマホをバッグにしまった。
「うわあ、古いですねぇ。」
事件現場は、朽ちかけた廃ビルだった。立ち入り禁止の黄色いテープをくぐり、足を踏み入れる。
「遺体だけ、見ときますか?……こちらっす。」
キャップのつばを後ろにかぶった、チャラ男の鑑識さんは、ブルーシートのテントを開けてくれた。
「ありがとうございます。」
そう言って、シートのかけられた遺体の前にしゃがむ。
「失礼します。」
そう言って浅野さんが遺体の顔のシートを取る。
皆が目を閉じ、手を合わせているとき、私は目を見開いていた。
チャラ男の鑑識さんが、遺体の状況を話している間も遺体から目が離せなかった。
田中さんが私の異変に気づいてくれて、声をかけてくれた時、私の脳はやっと反応してくれた。
「美波……?」
そこにいた皆が私のほうに目を向ける。
「美波……?なんで……?」
「お前、知り合いか?」
「私の高校の同級生です……。」
私は近くに寄って、もう一度確かめる。高校の同窓会でも気づいたほど、私の脳に焼き付いていた童顔の美波は、遺体となって私の前にいるのだ。
「どうして……。ねぇ、どうして!!」
そんな悲痛な叫びは、美波に届くことなく、空へ吸い込まれた。
まだまだ3話目!頑張りますー!
今回、質問コーナーを設けました!
今日は佳奈ちゃんをゲストにお呼びしましたよー!佳奈ちゃーん!!
かな こんにちはー!
のか わあ、きれいな人‼今日はよろしくね!
かな よろしくお願いします!
のか 早速、質問するよ!
佳奈ちゃんは圭くんのこと、本当は、どう思ってるのー?
かな っ………!(顔が真っ赤)特に、何とも……思ってないわよっ……!
のか だいじょーぶ?
かな 実は、その点については自分でもよくわからないの。圭くんのこと、何にも知らないのに、メッセージが来るのを待ってたり、会いたくなったり。自分でもこの気持ちをどう説明すればいいのか……。
のか なるほどねぇ、でもそれって世間一般的に“恋”というものでは?
かな んなわけないでしょっ!こ、恋だなんて……したことないし……!
のか 恋なんてそんなものよー!私だってそうだったわぁ。
かな えっ、のかさんって恋してるの?
のか あ、いや、そのー……なんでもない!今のなし!
かな えっ、なになに、聞きたい!
のか えーと、今日はここまで!また次回!バイバーイ!
かな え、待ってよ!みんな気になってるよ!たぶん!
のか 大丈夫、私の恋より、佳奈ちゃんの恋よ。あなたと物語のつながりをー♪