表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/31

綾尉の兄捜索大作戦

風が、少女の頬をなでる。

竹箒を握りしめ、中庭を掃いていた少女はその手を止めた。

「一月中旬にしては妙に温かい風だったわね・・・」

少女、百合は天を仰ぐ。

と、そこに一人、飛んで来た者がいた。

「ゆゆゆゆゆゆ百合様、なにやってんですぅぅぅぅ!!」

百合の女中、夢津美だ。

「なにって・・・中庭の掃除だけど・・・?

夢津美の問いかけに、百合はきょとんとした顔で答えた。

「そんなことは女中の私がやるからいいんですよ!?」

「だって・・・ヒマなんですもん。」

そう。城に来てから、百合はやることがなくてヒマだった。

以前なら、父上におつかいを頼まれたりと色々やる事があったのだが。


「とにかく、百合様はこちらに・・・」

「あ、ちょっ、私の竹箒取らないでー!」

二人でごちゃごちゃとやっていると、頭上から声が降って来る。

「百合?」

「ハッ、綾尉!?」

次期将軍の綾尉は、百合の夫である。

「そんなにヒマなら、頼みごとがあるのだが・・・」

「何?」

百合は、先をうながす。

「実はな、今日は私の兄上にあたる綾伽りょうかが久しぶりにこの城へ帰ってくるらしいのだ。」

「まあ、綾伽様が。いったいどのようなご用件で?」

気がつくと、隣には夢津美がいる。

「うむ。なにやら嫁を迎えたそうな・・・それで一緒に城へ来るらしい。」

「へぇ〜」

百合と夢津美は同時に言った。

「だが、一つ困った事があってな・・・」

綾尉は額を抑える。

「兄上はもんのすんごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい方向オンチなのだぁぁぁ!!!」

「・・・は?」

百合と夢津美、二人の目が点になった。

「幼いころからそうだった! 右といえば左に行く!! 東と言ったら南の方向を向く!!

 あげくのはてに自分の家でも迷っていた!!」

「・・・・・・。」

あ、雀が鳴いているなあ・・・(ド無視)

「兄上の家から城までの距離といったら恐ろしい!絶対たどりつけぬ!!」

「で、でも、護衛をつけるんじゃないんですか?」

夢津美がおずおずと口をはさんだ。

「分かってないな・・・兄上の恐ろしさを・・・」

綾尉、そんなに顔を近づけないで・・・

「兄上はなあ、一秒でも目をはなすと視界から消えるのだ!!」

「そ、そんなに――!?」

「そこでだ、百合。」

綾尉がわざとらしい咳ばらいをする。

「なんとか兄上を城にたどりつけるようにしてくれ。」

「で、でもその綾伽様の家って遠いんでしょ?」

「ここから一里(四キロ)ほど先にある。」

近っ! 綾伽様の家、近っ!!

「兄上にとっては遠いのだ。」

「お、おそろしい・・・」

ふいに、綾尉が百合の手首をつかむ。

「百合、お願いだ。兄上を見つけ、城まで一緒に来てくれ。」

その眼差しは、真剣そのもの。

百合は、ハアッとため息をついた。


「分かったわよ。」

そう言って、百合は綾伽を迎えに行くハメとなった。綾伽捜索大作戦スタートだ。

だが、考えてみたらあそこで断っておけばよかったと、百合は後から後悔することになる。
























新キャラ登場です。

ただでさえキャラをよく間違えているので大変なことになります。

綾尉と綾伽、名前がソックリなので・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ