8話 いざ町へ
全員がハモった。
そんなにホムンクルスは珍しいのだろうか?
「そんなんに珍しいのか?」
「珍しいなんてもんじゃないわ。ホムンクルスは伝説上の生き物で存在していることがおかしいのよ。新たな人類を作り出そうとした、昔の賢者でさえ失敗しているわ。それに、神に逆らう行為として、研究自体が神殿から禁止されてるのよ」
「ふむ、魔石があったから、たぶん、ホムンクルスは人類枠じゃなくて、人間に似せたモンスターだと思うぞ」
「それでも、大変な発見だわ」
「そんな事より、お前たち4人はどう報告するんだ?」
「君が言った通りに報告するしかないね、ダンジョン攻略したんでしょ?」
と、ジャック。
「した。ちゃんと財宝もダンジョンコアも回収してきたぞ。それでだ、おれは、特に人間と敵対したいわけじゃない。だから俺も町に連れて行ってくれ」
「危険だ、それになんて説明するつもりだ?」
「嘘はつかない、ありのままを説明するつもりだ」
「どうする?」
「どうするもこうもない!俺を黙って連れいけ。せっかく人間と変わらない姿を手に入れたのだ。人間の町を見てみたい。財宝も手に入れたし、金にもなるだろ?色々と仕入れたいものもあるのだ、行って見たい場所もできた。だから頼む、連れて行ってくれ!」
「まったく、しょうがないな」
「俺達の命の恩人だしな」
「そうだね、しょうがないよ連れていってあげようか」
「あなた達本気でいってるの!? 彼の身に何かあったらどうするのよ!」
と、クロム、ドク、ジャック、リリアンヌ。
「まあまあ、姉さん落ち着いて。まず、町に行って、何を仕入れ、どこに行きたいんだ?」
「そんなものは決まってる、ダンジョンで栽培可能な食べ物を探す。そして教会に行きたい」
「食べ物は君らしいけど、なんで、教会?」
「この世界の神は女神ただ一柱だけか?」
「その通り、天地創造の神テラス様だよ。よく知っているね」
「テラス様といのか?俺がこの世界に来た理由が女神様によるものだからお祈りを捧げたい。それと教会にそのテラス様の石像はあるか?俺の知っている女神様か確かめたい」
「それぐらいなら、構わないんじゃないかな。ただし、僕達の言う事をしっかり守って、勝手に行動しない事。守れる?」
俺は、小学生か!?
いや、確かに知らない町に行くのだ、ここは、信用してもらう為にもしっかりと守ろう。
「分かった、守る。だから連れていってくれ」
「だってさ、姉さん。それにそろそろギルドに顔もださないとね」
「分かったわよ。ちゃんと言う事は聞いてよね」
「もちろんだ」
こうして、俺は、町に行けるようになった。
町まで距離にして約1日かかっった。
道が整備されていない分時間がかかった為だ。
これは、道の整備もしなければならないな。
「ここが、君の望んでいた町だよ」
とジャック。
「じゃあまずは無事に帰還できたことを兼ねて神殿にお祈りをしに行こうか」
と、ジャック。
「おおついに女神さまにあえるのだな」
俺はドキドキしながら神殿に入る。
教会内部は厳かな雰囲気で他に参拝者がいたが、俺は、中央に鎮座している女神像の目が釘付けになった。
間違いなく、暇だからと死んだはずの俺を気まぐれでこの世界に転生させた女神がそこにはいた。
俺は両ひざを着きその場で両手組んでお祈りをする。
女神様、一時はどうなるかと思いましたが、何とかやれています。
これも女神さまのおかげです。
それと、やっぱり、はじめの方は説明書が欲しかったです。
苦労しました。
あと、女神様にお願いがあります。
そろそろ、俺も名前が欲しくなってきました。
名前ください。
んん? 反応がないな、ここは神殿のはず祈りは届くはず。
名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください、名前ください。
すると、俺の体がほのかに光り出した。
『あんたしつこいわね、本来なら私が名付けなんかしないんだから、感謝しなさい。これからは、ガイアと名乗ることを許すわ。さあ、ガイアもう行きなさい、神と交信してるのが、周りにばれてわよ。しっしっ』
と、テラス様との交信が終わった。
すると、体の光も収まった。
「今、光ってなかった?」
「ああ、テラス様から名前をもらった。今日から俺はガイアだ、改めてよろしく頼む」
「なっ、神と交信したのか!? ありえない」
すると教会の関係者の神父とシスターが近くによってきた。
「今、神はなんと、貴方にお告げをくれたのですか!? 是非教えてください」
「テラス様は俺に名前を下さった、これからは、ガイアだよろしく頼む」
「何やってんのよ、早く行くわよ。このままじゃ教会から出られなくなるわ」
と、リリアンヌ。
「それは、困る。テラス様からも早く立ち去れと言われたばかりだ」
「なら、さっさと行くわよ」
俺達は逃げるように、その場をさった。
次に向かったのは、冒険者ギルドだ。
冒険者ギルドには併設して買取所も用意しているらしく、4人が依頼報告をしている間に俺は、換金して待っているところだ。
懐もほくほくだ。
早く買い物に行きたい。
すると、ギルド員が俺に近づいてきた。
「すみません、ガイアさんですか?」
と、ギルドのお姉さん。
「なにかようですか?」
「すいません、ギルド長室に来てもらえますか?」
「何故だ? すまないが、私は友達を待っているし、冒険者でもない。よって行く必要がないと思うんだが? 特に問題も起こしていないし」
「そのあなたの友達も呼んでいるのよ?」
「4人が呼んでいる?」
俺は仕方なくギルド長室に向かう。
コンコンと扉の前でノックするお姉さん。
「ガイアさんをお連れしました」
「よし、通せ」
ガチャと扉を開けて中に入るように催促するギルドのお姉さん。
お姉さんはどうやらここまでのようだ。
俺は開いた扉の中に入る。
すると4人がソファに座って待っていた。
俺は対面に座る。
「呼んでいると聞いて来たぞ。用事はまだ終わらないのか?」
「ああまだ終わってない。ギルド長が俺たちの話しを信じてもらえてなくてな」
「そういえば、そのギルド長とはそこに隠れて私を狙ってるやつの事か?」
「私の隠密スキルを見破ったのか!? 確かに手練れのようだ」
そう言って何もない空間から美しい女のエルフが現れる。
「女のエルフだと!? 何故前もって教えてくれなかった!? 異世界にきてエルフに会うのも俺の楽しみだったのに。いや、こういうサプライズもありか。とにかく、お会いできて光栄だエルフ殿、名前はなんというのですか?」
「フフフ、面白い男だな。私はここのギルド長を務めるシミルだ」
「シミルさんですか、俺は、ダンジョンコアをやっているガイアだ。よろしく頼む」
「4人が言っていた通り、本当に自分をダンジョンコアと呼ぶのだな」
「んん? 4人ともちゃんと正直に話したんだろ?」
「ちゃんとガイアの言う通りに正直に話したわよ」
と、リリアンヌ。
「では、何が問題になっているのですか、シミル殿?」
「全てだよ、ガイア殿」
「全て?」
「ああ、全てだ。まあ、神と交信していたという事は、本当の事らしいがな。それはこちらも教会関係者からも裏付けも取れている。だから、ほぼ全てが信じられない。君は本当にダンジョンコアなのか?」
「ああ、そうだと言っているではないか。何なら本来のコアの姿に戻ろうか?」
「そうだな、ではまず、本来の君の姿を見せてくれ」
俺は、ホムンクルスの擬態を解き、ダンジョンコアの姿になる。
「なっ!? 大分小さいが確かに、これはダンジョンコアの魔力だ。しかし、ダンジョンコアが意識を持つなど聞いたことがない」
「どうだ?信じたか?」
「そのままの状態でも喋る事ができるのか!?」
そのままの状態でも喋るし、後、小さいは余計だ。
結構、失礼だな。
俺は再び、ホムンクルスに擬態する。