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7話 ダンジョン戦争

 4人が持ってきてくれた調味料で食べたラッシュマッシュは美味かった。

 英気も養い、これで更に準備に力が入る。

 そして、1カ月後、とうとう準備が整った。

 最低限の守備は残し、俺達は敵のダンジョンに向かう。

 途中で野良のコボルトや敵のダンジョンゴブリンが襲い掛かって来たが、ホムンクルススケルトンメイジにホムンクルススケルトンの敵ではない。

 今回はこのアンデッド軍団で攻略するつもりだ。

 敵のダンジョンの場所は分かっている、真っすぐに進んでいく。


 ダンジョン前には今までの数より多いゴブリンとコボルトが待ち受けていた。

 いよいよ戦争の開始だ。

 

 「全員突撃!」


 俺達はゴブリンとコボルトの群れに突っ込む。

 敵は案の定装備もろくにしていない野良のモンスターと同じだ。

 簡単にダンジョン内部に侵入できた。

 新しいモンスターがいれば吸収する予定だが、中々現れない。

 あっという間に1階層は制圧できた。

 

 「マスター、下に続く階段を見つけました」


 やはり、2階層も存在しているようだ。

 俺達は階段を降りる。

 地上と、1階層に戦力を集中させていたのか2階層でほとんどモンスターに出会わなくなった。

 2階層にはうちのダンジョンと同じように薬草畑と、魔イチゴが植えてあったがそれだけだ。

 特に宝箱があるわけではない。

 財宝はどこにあるんだ?

 2階層をくまなく探したが、見つかりはしなかった。

 

 「マスター更に下に続く階層が見つかりました」


 3階層に続く階段が見つかったようだ。

 そこには、今まで以上のモンスターがいた。

 

 「よくぞここまで、たどり着いたな侵入者よ。だが貴様らの快進撃もここまでだ」


 そうこたえたのは、声からして男だろう。

 すらりとした手足に女かと見間違うほどの顔の整った銀髪の青年だった。

 彼がダンジョンマスターなのだろう。

 だがしかし、揃えているモンスターは、今までのゴブリンやコボルトと同じだ。

 ただ数が多いだけに少しだけ厄介なだけだ。

 敵ではない。


 「召喚 ミノタウルス!」


 と銀髪のダンジョンマスターが突然ミノタウルスを召喚した。


 「グルルァァァ」


 「これが俺の最終兵器だ、行け!」


 と、銀髪のダンジョンマスターが号令をかけると、全てのモンスターが俺達に襲い掛かってくる。


 「怯むな! 敵はもう目の前だ! 全員突撃!」


 ミノタウルスだと!?

 絶対に手に入れなければな!

 俺は真っすぐにミノタウルスに向かって行く。

 剣でミノタウルス腕を斬り飛ばす勢いで攻撃する。


 「ちっ、浅い。筋肉の鎧でも着てるのか!?」


 すかさず、ミノタウルスもこちらに攻撃を仕掛けてくるが遅い。

 俺は盾で奴の拳を受け止める。

 数メートルは後退させられ程の腕力。

 速さはそこそこだが、パワーが段違いに強い。

 配下達は雑魚を順当に倒していっている。

 ここは俺がミノタウルスと対決して、時間はかかるが、引き付けておく必要がある。

 なるべくミノタウルスの攻撃は避けて、攻撃に専念していこう。

 それからは、俺の攻撃がミノタウルスを浅く傷をつけて、ミノタウルスの体力を徐々に減らしていく。

 

 「ファイアーボール」

 

 俺は素早く体だけをホムンクルススケルトンメイジになり、魔法を唱えてミノタウルスにあてる。

 これには、ミノタウルスも予想外だっだのか全身に炎が回る。

 転げまわるミノタウルスにもう一撃魔法を当てる。

 更に魔法を当てたことで、ミノタウルスは隙だらけになっている。

 俺はホムンクルススケルトンに変身し、剣で奴を切りつけ始める、すると手の空いた配下が数体フォローにまわり一気にこちらが有利になった。

 全体をみると敵のダンジョンモンスターのゴブリンもコボルトもほとんど残っていない。

 ちらりと相手のダンジョンマスターを見ると焦った顔でダンジョンコアを呼びだして何か操作していた。

 なにをしているか知らないが、俺は驚愕していた。

 戦いの中で隙を見せるほど俺はビックリしていたんだ。

 気が付けば、配下がミノタウルスに止めを刺していた。

 無機質な声が俺の中に響く。


 『ミノタウルスの魔石を召喚しますか?』


 『ミノタウルスの体を吸収しますか?』


 もちろん、吸収する。


 が、ダンジョンマスターの操作する。

 ダンジョンコアの大きさがボウリングサイズだったのだ。

 俺なんて、野球ボールぐらいの大きさなのに。

 この違いはなんだ?俺も3階層ぐらいになればあれぐらいの大きさになるのだろうか。

 

 「くっ、なんか悔しいぞ」


 すると、ダンジョンコアで操作していた、ダンジョンマスターが、


 「武具生成!銀の剣。さあ来いアンデッドども、この銀の剣で叩き斬ってやる!」


 すでに相手側のモンスターは皆無だ、ダンジョンマスター自身が戦うのだろう。

 

 「囲め」


 俺は配下達に命令する。

 配下達はダンジョンマスターとダンジョンコアを囲む。


 「何!? スケルトンが喋った!?」


 「我々はただのスケルトンではない。ホムンクルススケルトンだ!」


 「馬鹿な!? あれは失敗作でまともに動きもしなかったぞ」


 「という事は、作ったのはお前か?」


 「今は亡き我が主が作ったモンスターだ。そして私こそが唯一成功した、ホムンクルスだ。貴様らも主に作られたホムンクルスなら、私に従え!」


 「まず、貴様の主とやらを知らん。それに我々のダンジョンに最初に攻め入ってきたのは、貴様の方だ。愚か者、もう構わん、やれ」


 すると配下達がダンジョンマスターに襲い掛かる。

 何体かは奴が召喚した銀の剣で斬られたが、四方八方からの剣に対応できずにその命を散らした。


 『ホムンクルスの魔石を吸収しますか?』


 『ホムンクルスの体を吸収しますか?』


 もちろん吸収する。

 そして俺は銀髪のホムンクルスに擬態する。

 やっとこれで人間らしくなった。

 取り敢えず、3階層を家探しする。

 すると金の短剣やら、宝石などが手に入った。

 なるほど、財宝とはこういうものを用意する必用があるのだな。

 そして俺は、ダンジョンコアに近づき手を触れる。

 

 『ダンジョンコアを吸収しますか?』


 どうなるかわからんが、取り敢えず、吸収せずに持って帰って4人と相談しよう。

 これで、邪魔なダンジョンは片付いた。

 我がダンジョンに凱旋だ。


 ダンジョンコアをっ持って、ダンジョンを出ると。

 そこにあったダンジョンが崩れ始めた。

 危なかった。

 あのままあそこで、吸収していたらどうなっていたことやら。

 ん?

 どうして俺は、外に出てもダンジョンが崩れないんだろうか?

 考えてもわからない、きっとこれも女神様のおかけだろう。

 ありがとうございます、女神様と心の中で感謝の気持ちで祈る。

 そうだ、帰ったら女神様の石像を作ってお祀りしようかな。

 そんなことを考えていたら無事にダンジョンに帰って来た。


 「ただいま、みんな」


 すると4人は、一斉に武器を取り臨戦態勢に入る。

 さすが、冒険者だ。

 臨機応変に動ける……。

 

 「って、何故、俺に武器をむけるんだ!? 友達だろ?」


 「あんたみたいな銀髪の知り合いなんていないわ!」


 と、リリアンヌ。


 「ああ、そういう事か」


 俺は、擬態を解いて、本来のコアの姿に戻る。


 「君なのか?」


 と、ジャック。


 「よく考えてくれ、侵入者なら俺の配下達が攻撃している」


 そして俺は、もう一度ホムンクルスに擬態する。


 「敵のダンジョンマスターの姿を頂いただけだ」


 「ばかな!? 人間はダンジョンマスターになれないはずだ」


 「そうなのか?クロム」


 「ああ、間違いない。人間には魔石がないんだ。ダンジョンマスターになれるのは魔石があるものだけなんだよ」


 と、今度は、ドクが教えてくれた。


 「こいつは人間じゃなくて、ホムンクルスだ」


 「「「「はい?」」」」


 おお、久しぶりに4人がハモったな。


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