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第12話 買い物

なんとか風邪も落ち着いてきたので投稿ペース上げて頑張ります!

 俺が投資で稼ぎまくっている事をどこで聞きつけたのか知らないが、俺の目の前に座って居る男を見れば、個人情報保護なんてものは建前でしかないというのがよくわかる。


「個人的な資産の運用をお任せする予定だということで、社長が直接会ってお願いしたいと言っております。一度わが社の方へ来ていただく訳にはいきませんか?」


「お断りします」


「考え直してくれませんか?」


「お断りします」


 そのあとも異様にしつこく食い下がる社長秘書を名乗る男を追い返す。俺が首を縦に振らないとこの男の立場が悪くなるのかもしれないが、そんなことは知ったことじゃない。


「追い返しちゃってよかったの小太郎? あの人涙目だったよ?」


「いいんだよ。人に頼みごとをするのに使いをよこして呼びつけるなんて、ろくでもない人間に決まっている。会うまでもなくお断りだ」


 金の卵を産む鶏だと思っているのだろうが、この手の連中は卵を産まなくなった鶏に対しては、それまで稼がせてもらった恩を忘れて肉にして食ってしまえと考える。こんな話に乗るのは百害あって一利なしだ。


 これは面倒な状況に事になったと考えるべきだろう。今のうちに手を打っておかないと似たような客が増えては困る。これは温めていた計画を前倒しにする必要があるようだ。


「よし! 出かけるか」


「えぇぇぇ……。わかった準備するよ……」


 霞は面倒くさそうに準備を始める。最近しったのだが、霞は出不精というよりは引きこもり気質が強くてあまり外に出たがらない。ちょっとした買い物でも出かけるよりネット通販しようとするほどだ。


「無理についてこなくてもいいんだぞ」


「それはヤダ……。ついてく」


 出不精なくせについて来ようとするのだ。俺は苦笑してスマートフォンで買い物リストを作っていく。霞の着替えが終わるころにはリストは完成していた。


「小太郎あれみて! 美味しそうだよ食べていこ?」


 霞が指さす先にはスィーツを売るキッチンカーが止まっていた。返事も待たずに霞は俺の手をとってぐいぐいと引っ張って歩いていく。


「あれもネットで話題になってる店なのか?」


 霞は悪びれる様子もなく「よくわかったね」と楽しそうに笑う。


 決まった場所に店を出さず限定数を売り切るとすぐに帰ってしまうと有名な店で、出会えるだけでも幸運だと言われているらしい。しかも、開店したばかりでどれでも選び放題な状態だ。霞の幸運パワーが発揮されてるみたいだな。


「えーっと、これとこれ! あーでもこっちも……」


 一人当たりの個数制限があるせいで悩んでいる霞に助け船をだしてやる。


「俺の分も霞が選んでもいいから早く決めろ」


「ほんと? やったあ」


 霞が選び終えて会計を済ませるころにはかなりの人数の行列ができていた。限定数的に今並んでいる人たちの半分も買えずに完売してしまうだろう。


 本来なら部屋に帰ってから、ゆっくりと楽しむべきなのだろう。だが、近くに持ち込み可のカフェがあるのを思い出してそこへ行くことにした。


 珈琲を頼むと何も言っていないのに、小皿とフォークも持ってきてくれた。


「んうう、美味しいい」


「確かに美味い。これも食べてみるか?」


「もちろん食べてみるよ」


 食い意地の張っている霞のために、俺はたっぷりとって食べさせてやる。味わいながらころころ変わる霞の表情を見ているだけで喜んでいるのが伝わってくる。


 今度は「小太郎も食べてみて」と霞に食べさせてもらう。そんなことを繰り返しているうちに全部綺麗に食べ終えてしまった。


「ああっ、写真撮るの忘れてたよ……」


「スィーツの写真なんて撮ってもしかたないだろ」


「フォロワーに自慢したかったのに……」


 出不精で出かける事もほとんどないし、どこに連絡することもないのにスマートフォンをねだって買ったのはそういう事だったらしい。


 そのあとも出かけた以上は楽しまないと損とばかりに、いろんな店へと寄っては二人で楽しむ。ブラック企業勤めだったころには考えられない時間の使い方だ。これも霞のおかげだな。


 はしゃぎすぎて疲れてしまったのか霞はいつもより早く眠ってしまった。

 静かになった部屋で一人ラップトップで書類を作り始める。ネット上にやってみた的なコンテンツが多く掲載されているおかげで思った以上にサクサク進む。


 あと少しで書類が完成する。俺は少し考えたあと決めた内容を打ち込んでいく。今日買ってきたものの他に、この名前の印鑑を作れば完了だ。


――本会社は、合同会社モノノケと称し、英文では、MONONOKE LLC.と表示する。

ついに会社を作った小太郎。

一般的な株式会社ではなく、合同会社なのにもちゃんと理由があるのです。

本筋とはあまり関係ないのですが、機会があればその辺の事も書きたいですね。


ローファンタジージャンルにて、日間5位に入りました!!

ブクマと評価をしてくださった皆様のおかげです!! ありがとうございます!!


十万字迄はなんとか一日二回更新をしていきたいと思います。


いつまで居続けられるかはわかりませんが、

もしよろしければまだの方は、ブクマや評価などで応援して頂ければめっちゃうれしいです……

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人類最強の暗殺者と史上最弱の勇者
今までの作品とは雰囲気が違いますが、楽しんでいただければなあと思います。



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