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廃墟の遊園地と少女  作者: 門林はみめ
第1章 全ての始まり編
5/8

矛盾

「なんか、ごめん。」


 ユウマは頭を下げた。こういう事を出来るのも大人っぽいな。でも、こんな事してもらう様な事はしていない。


「ううん、私が勝手に泣いただけだもん。ユウマは謝る必要無い。」


「そうやって、自分を責めるから辛いんじゃ無いか? もっと気楽にいこうよ。」


「良いな。ユウマは私よりずっと大人っぽい。」


「ん?子供っぽくないか?俺」


 ユウマは自分を指差してキョロキョロしていた。動揺の仕方はどこか幼さを残していた。

 可愛い


「やっと、笑った。」


 ユウマに言われて気がついた。私は笑っていた。笑ったのは久々だろうか。人ともずっと接していなかった気もする。


「ユウマのお陰。ありがと。」


 最後の方は少し小さい声になってしまった。


「ああ。どういたしまして?」


 ユウマは優しく微笑んだ。

 私は、なんだか恥ずかしくなって俯いた。


 ん?私は思い出すべきではない気がするものが脳裏に過ぎった。


「健君?」


 もしかすると。もしかするかもしれない。私の鼓動は早くなり、ここから逃げたいという衝動に駆られた。


「やっと分かったか。加那」


 私の心臓は、破裂するのではないかというぐらい波打った。私にとって脳では処理しかねる様な大きな事だった。


「なんで、ちゃんと言ってくれなかったの?」


 彼氏が誰か分からなかった。それは、私にとって最高の屈辱であり、分かって良かったと思えたのだった。


「言わずに気づいて欲しかった。加那が何であろうと。」


「健君のバカァ。」


 そう言うと私は泣き出した。健君のかっこいいセリフなんて私死んじゃうよ。

 健君は私を抱きしめた。



「お前、高校になってここ来たの覚えてる?」


 しばらくの間があってから健君は、日の出を迎えそうな空を見上げて言った。


「忘れるわけないじゃん。」


 そう、忘れるわけが無い。あんなに楽しかった事。


「それは…いつだ。」


 まさか、健君は忘れたわけじゃないだろうか。そんなこと、私は思いたくはない。その一心だった。


「………五年前。」


「やっぱりか。お前今、幾つだ。」


 私の誕生日まで忘れるなんて。そんな事。


「17だよっ!!誕生日まで忘れたの!?」


 泣き出しそうになるのを抑えながら私は叫んだ。


「考えてみろ。おかしいことが多いと思わないか?」



 ……気づいていたよ。私だって。



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