説明されました
続きです。
私はゆったりとした動きの変化にそっと目を開けた。
「姫様、大丈夫ですか?」
私は、彼の声に顔を上げた。
「すみません。いくら急いで逃げるからといって姫様への配慮が足りませんでした。そうでなくてもお父上とお母上を目の前で亡くされて今はさぞつらいでしょうに申し訳ありません。しかし、今は憎き織田信長を倒すためにも何処かに身を一旦寄せましょう。」
私は、いきなりそんなことを言われたため頭がついていかずついこんなことを口走ってしまった。
「あなたは誰ですか?」
と。
お分かりの方はいますでしょうか?
城は燃えた、両親は他界、敵 の相手はいる。
こんな状況じゃ記憶喪失だと思われてもおかしくない。
わたしは、確かにここはどこかはわからないし彼のことも知らない。
だから、目の前にいる彼が大きく目を開いて私を見ていたっておかしくない訳で。
「ああ、姫様なんと嘆かわしい限りか。良いですか姫様!あなた様は、龍ヶ峰家 の一人娘なのです。」
うん、ごめんなさい半分しかわかりません。
しかし、声に出すと大変になるなと思った私は、なにも言わずに彼を見つめた。
半分しかわからないと言うのは、確かに私は龍ヶ峰家の人間だ。
つまり私は、先祖様に憑依したってこと?!
えっあり得ない…。 まだ、壮大なお芝居です!と言われた方がましだ。
「姫様?」
おっと、彼を無視してしまった。
「なんとか大丈夫です。助けて頂きありがとうございました。ところで、失礼ですが貴方様の名前は?」
うん。自分でそれなりにお姫様みたいに言ったけどヤバすぎる。
なんか本当すみません…。
「すみません。姫様お初にお目にかかります。私は、名取信介 と申します。姫様に仕える忍びにございますね。まあ、簡単に言えば護衛役にございます。」
彼は、少し慌てながら私にそう言った。
うん。イケメンさんだね。
それはそうと
「織田信長公が、敵にございますか?」
だってさ、信長ってかっこいいだよ?みんな知ってた?
「姫様は、よくなついていらっしゃいましたから信じられないのでございますね。
信長公は、姫様を自分の伴侶にとおっしゃいました。
しかし、姫様のお気持ちは姫様に聞いてみないことにはわかりません。ですから姫様の両親は信長公に姫様のお心次第と言い聞かせました。しかし、彼は…。」
そこで、彼は一旦口を閉じ一呼吸おいてから言った。
「「ならば、姫の回りを壊してしまえば良い」と。そして、今に至るのでございます…。」
彼は、少し言いにくそうに言葉を紡いだ。
ワォ、ヤ・ン・デ・レ!!
すまん、正直現実味が無いだがしかし!
信長公はヤンデレのようだ。これがゲームなら最高なんだが…。
うーん困ったぞ好かれるのは嬉しいが、ヤンデレちと困る。
だって扱いにくいじゃんゲームだとしても!←何気にひどい!!
私は、少し考えたフリをしながら彼を観察した。
嘘では、ないのだろう。なにせ、彼は少し震えていた。
私と(鏡はないが見える範囲で判断した。)あまり変わらないであろうその容姿はまさに美少年だ。
お初にお目にかかりますということは、初対面なのか?それとも記憶喪失だとでも思っているのか?または何となく気がついているのだろうか?
あんまり期待しないでおこう。そして、結構マジで憑依してるっぽい何故ならば、体に染みついている彼女の仕草などが自然と出ているのだ。
実は、言葉使いもスラスラ言えたのはそのせいである。
いや、このテンションとの差がヤバイのは認めるけどね!
てか、信長になついてたんだ。年齢とかいくつなんだろう。
などと考えながら、次にどうしようかと彼に視線を向けてみた。
名取信介side
姫様は、今年17になるそれに合わせて信長公は姫様に結婚しようとおっしゃいました。
ちなみに、立ち聞きしてたわけではありません。
姫様の護衛役なので、あくまでも仕事です。たぶん
あまり、胸をはって言えないのはきっと
私が彼女に惹かれているから…
だから、堂々と言える信長公が羨ましかった。
だからといって、姫様の両親を殺したのは許せない。
だけど、やっぱり羨ましかった。
この身分が恨めしかった。
ああ、こんなにも私は貴女に恋い焦がれているのに
あなたは姫であり、私はただの護衛役
姫様が誰かのところになんて許せない。
しかし、こんな想いを抱く自分も許せない。
これは、純粋な恋心ではないことを私自身が知っているから。
姫様は、私がこんなにも狂った感情を持っていることを知らないのでしょうね。
しかし、それで良いのです。
気づいたのなら覚悟をしてください。
私が貴女を
たくさん愛して差し上げますから。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想などありましたらよろしくお願いいたします!




