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作者: 広幡桐樹

全く、たまったもんじゃないよ。高校のは面倒くさそうだから委員になんて絶対ならねえって思ってたのに、この有様。しかもよりによって体育委員が残っちまってやがる。もう既に役職を決めた奴らからの「もうこれ決めたら終わりなんだよ。」っていう見えない圧を感じるね。何だよ、結局側から見ればお前らは体育委員になりたくなくて逃げたんじゃねえのかい。最も、俺がそれをしてればこんな羽目にはなってなかったんだけど。

にしても話し合いなんて時間の無駄はもう止しましょうよ、先生。委員なんて重要な役職を、我慢比べに負けた奴がなっていいってことはないでしょう。体力だけならむしろ一番いるんじゃねえのかな。とか言い出すと文化部の奴らが調子に乗り出すんだな、これが。体育委員は運動部がなるべきだとか何とか、なら広報は?図書は?整美は?あっ、まあ整美はどっちでもいいか。とにかくこういう役職に向いてるのはと聞かれたらほとんどは文化部に軍配があがるんじゃねえのかい。運動が運動部の仕事なら、物書きは文化部の仕事だろ?うちの野球部のエースが広報委員に内定した事実を少しは直視したらどうなんだい?

あらら、とうとう先生も痺れを切らしちゃったみたいだ。ん?アミダ籤だって?こりゃまた懐かしい響きだな。安易にジャンケンに走らなかった所が及第点、俺は落第点ばっか取ってるけど。まあそれは置いといて、アミダ籤なら皆公平だからね。後から線を付け加えたりすることもできるけど、先生も流石に衆人環視の中では改竄なんてできやしないさ。それに、仕組まれてまで俺が委員をやらされる謂れも無いし。

結局、俺は八つあった開始位置の一番左端を選んだ。あ、そうそう。この八っていうのは残ってる男子の数で、女子は早々に決まっちゃったんだよ。こういう時の女子の手際良さはこちらも感心するぐらいだ。けど女子が決まっても終わらないのは、体育委員は男女いた方が都合がいいから、つまり女子二人では駄目なんだそうだ。そういうわけで、残りの男子を今決めているという訳。男勝りなんて言葉もあるっていうのにな。

巻き戻るけど、籤の位置を左端にしたのは選ぶとこがなかったんじゃなくて、意図的なもの。皆は端を嫌がってたけど、案外こういう一見危険そうなのが安全だったりするんだよね。ある意味心理戦。心理戦と言えばジャンケンだってそうか。数学の考えだと勝つ確率は皆同じらしいけど、実際は違う違う。まず思いっきり体からやる気が滲み出てる奴、こいつはほぼグー。だって力んじゃってるんだもんね。それから何か無駄に神妙な顔の奴、こいつはチョキだね。けどもうそういう癖は読み取られることが知れ渡っちゃったのか、神妙な顔してグーを出す奴とかもいたりする。こいつは策士だね、全く。とどのつまり、ジャンケンで相手の手なんてもう読めないってこと。元から読めるもんじゃないけど。

とか言ううちにとうとう決まったみたいだ。やけに時間がかかってるから百本ぐらい横線を引いたのかと思ってたけど、どうやら誤発表をしたらいけないからって三回も線をなぞってたらしい。当たったら死ぬ訳でもないのに、ご苦労なこった。

そんでもってお楽しみの体育委員はあんだけ嫌がってた文化部の奴に決まった。顔を見たら本当に死にそうになってやがる。きっと幸せな人生を送ってたんだろう、可哀想に。まあかくいう俺も中学の時、同じ目に遭った身なんだよな。おかげで何やるか関係無く、体育っていう教科自体が嫌いになっちまった。全く、運動できないって辛いことだよ。あっ、ちなみに自分は文化部です。

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