第7章 神無月(かんなづき) の章
---いなはの日記
---10月×日
---今日はみなさんに重大発表をします。
---いなはの日記は、ちょっとした理由で
---しばらくお休みすることにしました。
---見に来てくれるみなさん、ごめんなさい。
---でも今、いなははかなり幸せもので、
---その幸せのためにも日記に時間を割くのが
---大変になりました。
---本当にごめんなさい。
---でも、落ち着いたら必ず復活します。
---その時には、またいなはの拙い日記を読みに
---来てください。
---毎日が天国のいなはより
いなはさんへ・・・メール送信 From 涙
---えぇぇぇぇぇ 日記がお休みになっている
---率直な 俺の感想です・・・・そのくらい驚いた
---いなはさんが 決めちゃったのですから 仕方ないですね
---なんか 相談受けると 学校の先生になった気分です
---今までより なぜか身がしまるおもいです
---アイスクリームですか?
---俺・・・・実は・・・アイス大好きです・・男なのに
---俺のこだわりは 絶対アイスクリームという事
---脂肪分の8%以下のアイスミルクでもラクトアイスでもなく
---本当のアイスクリームが好みです
---トッピングは アーモンドとチョップ−ドチョコ
---これだけは 譲れません
---なんで アイスのことでメールがいっぱいに・・・・Σ( ̄ロ ̄;)
---また メールします
涙さんへ・・・メール送信 From いなは
---今、いなはは毎日がとっても充実して楽しい日々の中で暮らしています。(^o^)
---学校ではアイとの楽しい時間。
---帰ってきたら涙君のメールを見て、返信を考えたりする時間。
---ああっ、とっても幸せです。
---そうそう、可笑しいんですよ。
---涙さんの メール読んでて
---思わず笑ってしまいました。
---前に アイさんと アイスクリーム食べたと書きましたよね
---そしたら アイさんが言ってたこととおんなじ風に
---涙君 書いたんだもの (^-^*)
---そうそう、今度チャットしてみませんか?
---一度、リアルで涙君と話がしてみたいです。
---いなはの お・ね・が・い。
いなはさんへ・・・メール送信 From 涙
---チャットですか??
---チャットは勘弁して〜
---なんて 言うのも失礼だし・・・・・
---俺 いなはさんと違って 多分 メール書くのも考えて考えて
---書いているので チャットだと しょうも無いこと書くかもしれないです
---でも 俺との時間が いなはさんの元気が出る時間と思えて
---いただけるのは とても光栄です
---多分 お互い学生なので時間帯は問題ないと思いますが・・・・
---アイさんと 俺が同じ話をってΣ(○O○|||)
---俺以外にも アイスマニアがいたことのほうが 驚きです
---よろしければ 次回のメールでチャット場所アドレス
---教えてくれるとありがたいです
---会話ついていく練習しないと いけないと思った涙です By コピー いなは
---でわでわ 次回はチャットか ハァァァァ←ため息のつもり !! またね
体調不良
学校中がお祭り騒ぎに浮かれている中、夕陽だけはその盛り上がりに付いて行けなかった。
柊 「コスプレ喫茶、かぁ…」
青井「お、夕陽。何だまた委員長の雑用か? 委員長は、なんで女の子に物事簡単に頼むのかな。一発ガッツーンといってやんないと、だめっぽ」
柊 「夕菜ちゃん。雑用って言うか、文化祭の実行委員だよ」
青井「でも何だか、むっちゃ顔色わるいよ?」
柊 「心配しないで。ただ少し気分が悪いだけだから。」
青井「保健室いこうよ!いま夕陽に体調わるくされたら、私の楽しみの文化祭が…絶対に保健室に連れて行く!…あっ、なんか私も具合悪くなってきた…嘘」
柊 「実行委員で張り切りすぎちゃったのよ〜。ホントにそんな大げさにしなくていいからさぁ。夕菜ちゃんって、案外心配性ね」
保健室
ハアハアハア…夕菜は勢いよく保健室の扉を開けて中に入った。
青井「先生〜お願いします〜!」
校医「あら、青井さん。まーた居眠りに来たの?」
青井「違いますよ〜。負傷兵を一名、輸送してきました!」
校医「負傷兵って……まあいいわ。とにかくここに座って、クラスと名前を教えてちょうだい」
柊 「1年H組、柊 夕陽です」
校医「1-Hで、ひい…らぎ…ゆうひ、と」
校医は来室記録に夕陽の名を記すと、手早く健康診断の記録の中から彼女のページを探し当てた。後ろからコソッと夕菜が覗き見…。
校医「青井さん、覗いちゃダメっていつも言ってるでしょ!」
青井「それって、全校生徒の〇〇がいくつかとか載っている、わたしにとって、ひじょーに興味深い資料ですよね?」
校医「そうです。だから生徒には一切見せられません」
青井「一ページだけでもダメですか?」
校医「ダメです!…それより柊さん、ずいぶん顔色が悪いわね。いつごろから?」
柊 「この一週間ぐらいです。文化祭の実行委員で頑張りすぎちゃったみたいで…」
青井「うちの委員長が夕陽に雑用ばっかりやらせたからです!」
校医「青井さん…そこのベッドで寝てていいから、少し静かにしてくれる?」
青井「はーーーーい」
夕菜は怒られたことも分かってないとみえて、奥に並んだベッドに横になり校医と夕陽の会話を聞いていた。
校医「はい、体温計。……少し熱があるようね。健康診断では貧血気味とあるけど、他に変わったことはあるかしら?」
柊 「少し、身体がだるい感じがあります」
校医「風邪かしらねぇ…。担任の先生には私の方から伝えておくから、しばらく横になって楽になったら今日は早退するといいわね」
柊 「先生、青井さんは…」
青井「zzzzzzz」
夕菜はいつの間にか寝てしまったようだ。
校医「やっぱり寝ちゃったみたいね。いつものことだから、そのままにしておきましょう。柊さんも一人では心配だし、帰るときは青井さんを起こして一緒に帰りなさい」
柊 「わかりました。ありがとうございます」
夕陽は夕菜の隣のベッドに入ると目を閉じた。
柊 「夕菜ちゃん起きて。……夕菜ちゃん、帰ろうよ」
青井「…??おはよう、夕陽」
柊 「噂には聞いてたけど、本当にいつも保健室で寝てるんだね」
青井「何かここって、気持ちいいんだよね〜。そのために保健委員になったんだもの」
夕菜は目をゴシゴシと擦りながら起き上がると、アクビをしながら大きく伸びをした。
青井「体調はどう?もう大丈夫なの??」
柊 「うん、少し寝たらずいぶん楽になったよ。先生が、一緒に早退していいから夕菜ちゃんに送ってもらって帰るようにって」
青井「おおお!ラッキー!!」
柊 「ごめんね。せっかく楽しみにしてた文化祭なのに…」
青井「それは構わないよ。文化祭は来年もあるし、見たいのはもう見ちゃったし。それより学校公認で帰れるのは嬉しい」
柊 「夕菜ちゃん、皆が心配するといけないから、今日のことは皆や…輝くんには内緒にしておいてね」
青井「うんうん、とくーーーーに!輝にはでしょ!」
柊 「!!!」
青井「はははは!! このごろ夕陽と話していると度々、輝の話が出てくるんだもの。いくら鈍感な夕菜でも解るよ」
顔を真っ赤にした夕陽は「いや…あの……」と口ごもりながら、まだ言いたそうにしている夕菜を急き立てて保健室を後にした。
10-7 (生澤ストーリー) 涙さんへ・・・メール送信 From いなは
---チャットのアドレスです。
---待ち合わせは11月×日の20時でいいですか?
---都合が悪いようでしたら、メールください。
---なんだか、今からドキドキ
---楽しいチャットをしようね。
第7章までお読みいただきありがとうございます
お手数ですが 評価をいただけると幸いです