第10章 睦月(むつき) の章
第10章 睦月 の章
れいみチャット
どうしても会いたいと告げる
会いたいが 涙の反応は冷たいきがする 問い詰めても 答えてくれない
いなは >こんばんは。今日は涙君に提案があります。
涙 >こんばんは……えっ、何?
いなは >せっかくの新年なのだし、二人でOFF会しませんか?
涙 >えっ?オフ会ですか・・・ちゃっとより大変そうだよ〜
いなは >難しく考えないで、ちょっと逢って楽しくお茶しましょうと言ってるだけなんだから。
涙 >う〜ん でもさ・・・都合つけないと いけないこともあるし
いなは >お金の心配とかしているなら大丈夫。いつもお世話になって居るんだし、いなはが払いますから。
涙 >いや お金の事ではないよ・・・・・
いなは >お願いだよ。涙君にひと目逢って見たいの。
涙 >俺 あんま 好きじゃないんだよな そういうの
いなは >そんな事言わないで、よくネットでもオフ会って聞くでしょう。あれと同じだよ…全然変じゃないよ。
涙 >わかんないとおもうけど・・・・色々考え方あるだろ チャットの利用の仕方って チャットで知り合って 会いたいという人たちって・・・・
いなは >そんなの変だよ……涙君の偏見だよ……なら、ちょっとあうだけならどう?
涙 >俺 ちょっと用事ができた ごめんね退室する
いなは >ちょっとまって 涙君……
涙 >おつかれさま
涙はチャット部屋から退室しました(2006-01-XX-XX:XX)
いなは >あっ いっちゃった どうしよう〜?
雪の日の逃避行
夕菜はサマーキャンプで恋人になった 彼氏は別の人と婚約をした 相手からもなんの説明の無いまま 夕菜には もうどうしようもなかった 自分のおろかな行為 間違った人を信じていた事 夕菜は、はじめての失恋をした 夕菜はどうしようもなくなり ひとり 家を出て どこか旅行しようとした・・・・今の気持ちが落ち着くまで 一人でだれにも言わなくて・・・・でも 一人の男が どこで知ったかわからないが 雪の中 夕菜のまえに現れた
逃避行台本 柊の結婚式を笑顔で迎えるため最初にエンディング
雪の降る商店街を 夕菜は一人駅前のバスターミナルに向かった いまの彼女には まちの音もぜんぜん聞こえない 夕菜は自分がこれからどこに向かうかも 考えていないのだろう はじめての恋 はじめての失恋 そんな想いが 次々に彼女の頭に想い浮んでは消えていった 夕菜は か細い独り言を言った
青井[あのとき あんなこと・・・・]
青井 [信じていたのに・・・]
青井 [私 馬鹿だった]
青井 [なんで あの時・・・・・なんで・・・・なんで・・・・・・・]
明るい時の夕菜を知っている人 だったら きっと 今の夕菜を想像できないだろう
バス停には一人も並んでいない・・夕菜がこの世界に一人だけ 取り残されたようだ 長距離バスが クラクションを鳴らし バス乗り場に雪を分けて入ってきた 夕菜の前にとまると 静かにドアが開いた 小さなバックを持ち バスに乗り込もうとしたとき 遠くから夕菜を呼ぶ声が聞こえた
山本[夕菜〜][夕菜〜〜][夕菜〜〜〜行くなよ〜]
だんだんと その声がはっきりして 振り向くと 康介が 夕菜にむかって走ってきた 夕菜は自分は そこにいちゃいけないと思い バスに乗り込もうとするが
山本[夕菜〜いくなよ〜行くな〜]
後10Mもしないところで 康介は 躓いて雪の中にころんでしまった あわてた夕菜は 雄介に駆け寄り
青井[康介どうしたの? 大丈夫・・・・・]
山本 [どうして? 誰にも言わなくて行こうとするんだよ・・]
青井[・・・・]
山本 [どうしてなんだよ・・]
青井[・・・・]
バス運転者 [行くのですか?? そろそろ出発しますよ 急いでください]
運転手がそう言うと 夕菜は 康介の元から立ち上がり バスに乗り込もうとした しかし 康介は夕菜の手をにぎりしめ
山本 [運転手さん出発してください 彼女は行きません]
運転手は バスのドアを閉め 走りだした バス停に残るのは 二人きり 改めて夕菜は 雄介の元にひざまずき・・・
青井[どうして 君がここにいるの??]
山本 [志保から電話あって 夕菜が家に 帰ってないから 俺が知っているかと 電話があったんだよ 学校に行っても居ないし 商店街の向こうで 夕菜の姿が見えたので追いかけてきたんだよ]
夕菜[うんうん]
山本 [すごい心配したよ 夕菜 ・・・俺がいるよ 俺じゃだめか? お前の近くに居るのは・・・・]
雄介のその言葉をきいて 夕菜は 康介の胸に飛び込んでしまった
青井[康介 わたし・・・わたし・・・・わたしね・・・・]
山本 [いわなくていいよ]
夕菜[わたしね・・・・・]
山本 [夕菜 いわなくていいよ みんな知っている]
山本 [俺さ 夕菜のことずっと見ていた 入学式からずっと 文化祭も 体育祭も はじめて彼氏できたときも ずっと ずっと ずっと・・・]
夕菜は思い切り 康介の胸で泣いた・・・もう 雪の後か涙の後か解らない位に泣いた・・・
青井[なんで なんで なんで・・・・いつもそうなんだよ 君は・・・・君ってやつは 一回もそんなそぶり 見せてくれなかったじゃん]
山本 [うん 俺 勇気が無かった 夕菜と友達なら いいやと 自分に嘘をついていた・・・ずっと 言いたかったけど 夕菜幸せならいいと思っていた 夕菜が笑顔見せてくれればそれで いいと思っていた]
-夕菜[なんで・・・なんでなんだよ〜 こんな私の何処がいいんだよ わがままで すきなことやって・・・君の気持ちは少しも感じてなくて・・・こんな わたしの・・・・・]
山本 [そんな 夕菜だから 俺 好きなんだよ・・・見守っていかないと いけないと・・・・]
山本 こんな 夕菜 ほっとく事できないだろ
青井[こんな こんな こんな 私なのに 君に・・・]
山本 [もういいんだ・・・いま 夕菜がここにいるだけで・・・・いつもの 夕菜に戻ろう]
青井[また そんな事いう〜君は〜]
青井[わたしね わたし 気がつかなかったの すごく近くにあって気がつかなかったの 君のことが・・・・]
山本 [うんうん だれもが 自分で自分の背中がみえないよ・・・ もう 帰ろう夕菜]
夕菜が 立ち上がると ちょうど 康介の顔が 夕菜の顔の前にあった
夕菜は それが自然の行為とおもい そっと 目を閉じた・・慶介は 今度こそはと 夕菜のくちびるにそっと 口付けをした・・・
夕菜のくちびるは・・・涙の味がすこしした・・・・・
いつの間にか ふたりを祝福するように雪がやんだ
二人だけの結婚式
神父「今日はどうなさいましたか?」
緑川「はい…実は俺たち、ここで結婚式を挙げたいんです」
神父「あなたたちはまだ学生ではありませんか」
緑川「学生だと結婚式は挙げてもらえないんでしょうか」
柊 「私たち、どうしても結婚式を挙げたいんです」
神父「困りましたね。…何か、わけがあるとお見受けいたしますが?」
緑川「…神父様もご存知だと思いますが、夕陽…彼女は妊娠してるんです」
神父「ああ、例の…」
緑川「どうしても結婚式を挙げたいんです!お願いします!」
柊 「お願いします!」
神父「学校側としては結婚式を挙げることは許可できませんね。ましてや緑川君、きみはまだ入籍可能な年齢ではない」
緑川「…そうです…よね………」
二人は諦めて帰ろうとした。その時、神父が静かに口を開いた。
神父「神の御前ではみな平等と聖書にも書かれています」
訝しげに振り返る二人。
神父「学校としては貴方たちの挙式は認められません」
淡々と言う神父に、夕陽は吹っ切るように小さくため息をついた。
柊 「しょうがないよ、諦めよう……私、この教会好きだけど、神父様をこれ以上困らせちゃいけないよね」
しかしその場の空気を暖めるように優しく、神父は続けた。
神父「ですが……私個人がお二人を祝うということであれば、神もお許しくださるでしょう」
そう言うと神父は夕陽を見つめ、にっこり微笑んだ。
柊 「神父様……」
緑川「…!ありがとうございます!」
神父は二人を祭壇の前まで誘導し、聖書の一節を読み上げた。
神父『たとえ自分の全財産を人に施しても、また自分のからだを焼かれるために渡しても、もし愛がなければ、いっさいは無益である。』
神父「この言葉を、あなたたちに贈りましょう」
二人は顔をあわせて静かにうなずいた。
神父「私の後に続いて、宣誓の言葉を。『私たちは夫婦として順境に会っても逆境にあっても』」
緑川・柊「「私たちは夫婦として順境にあっても逆境にあっても」」
神父「健康のときも病気のときも生涯互いに愛と忠実を尽くすことを誓います」
緑川・柊「「健康のときも病気のときも生涯互いに愛と忠実を尽くすことを誓います」」
神父「では、新郎新婦はお互いの手を重ねてください」
神父は二人の重ねた手の上に、そっと自らの手を添え祝福の言葉を述べた
神父「ここに、新郎…輝さん、新婦…夕陽さんが夫婦になったことを宣言します。賛美歌430番の斉唱を」
妹背をちぎる 家のうちわが主もともに いたまいて父なるかみの 御旨に成れる祝いのむしろ 祝しませ
賛美歌を胸に刻み込むように歌う二人。やがて後ろから二人のものとは違う声が重なっていった。驚いて振り返ると、友人たちが集まっていた。
青井「おめでとう。輝、夕陽」
琴葉「二人だけじゃないよ。私たちもいるよ」
山本「俺たちを忘れるなんて水臭いぞ」
青井「ほら、夕陽。忘れ物だよ♪」
差し出されたのは、急ごしらえであろうブーケだった。夕陽の目から、堪えていた涙が一気に溢れ出した。
柊 「ありがとう、皆……ありがとう…ありがとう……」
愛のいしずえ かたく据え
平和のはしら なおく立て
かみの みめぐみ 常に覆えば
さいわい家に 絶えざらなん
第10章までお付き合いくださいましてありがとうございました