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南方第七区赤衣隊隊長日誌  作者: アラック
南方第七区赤衣隊隊長日誌
4/22

4話:休日の過ごし方

 秋の入り、今日は特には涼しく心地よい風が吹く日だ。こういった日に休みとなれば外へ出てお茶でもという気分になるのは、自分がいいところの家の出だからだろうか。そうでなくとも、外に出て陽の光を浴びる事ができるのは幸せなもので、こうして隊宿舎の庭に設けられたテーブルと椅子についているだけで、何をするでもなく幸せな気持ちになって来る。

 自分はこうして日光浴を楽しめる体になったのだ。まだ服薬しなければ症状がぶり返してしまうと主治医にきつく言われているが、こうして幸せな時間を過ごすときくらい、その事を脇に置いても許されるだろう。


「隊長もここでしたか。ご一緒させて頂きますよ?」


 ハンナの声だ。意識を目の前に戻すと、テーブルの向かい側の椅子を引いた姿勢でハンナが固まっていた。彼女の俺を見る表情は驚いたものに変わっていて、はてどうしたものかと目で聞けば、ハンナは「いえ」と小さく呟くように言って椅子に座った。

 簡素な長袖のシャツとレーダーホーゼンに長靴下という姿は、見ようによっては線の細い男性とも取れる。問題であった尻尾は、先の失敗を受けて考案した新しい覆いを身に着けてもらっている。今のところ窮屈そうな動きを見せていない事から概ね成功だったと俺は判断する。


「隊長の顔があまりにも穏やかだったものですから、その……。少々不安になってしまいまして……」


 言いづらそうにしているのは、うたたねしている俺の顔を見てしまったからのようだ。


「その、隊長が息を引き取ってしまわれたように思えてしまい……。たいへん、失礼な事を考えておりました」

「いや、構わないよ。実際子供の頃は、眠るのが怖くてたまらない時期が長く続いたんだ。でも、今はこうしてお昼寝ができる事が幸せでたまらない」


 笑顔で言うと、ハンナは少しほっとしたように息を吐き、それでもまだ気掛かりがあるのか、俺の顔を見たままだ。


「朝食と夕食の時に薬を服用されていますが、まだお体の具合が?」

「うん、薬の服用さえ忘れなければ、大した事にはならないのだけどね。士官学校時代に一度服用を忘れた事があったのだけど、その時はたいへんだったよ」

「……ど、どのような事に?」

「ご飯がおいしく食べられなくなったんだ。いやあ、たいへんだったよ」

「……はあ?」


 俺が笑顔で言うものだから、ハンナは呆れたように嘆息してそっぽを向いてしまう。だが、嘘はついていない。その時の俺は体の内側を削り取られるかのような激痛に苛まれていて、食事どころの話ではなかったのだ。その後三日三晩寝込む事になったという話も伏せておいた方が良いだろう。あまり病気の事に触れられて心配させるのはよろしくない。


「おーひーさーまー。ですのー」


 頭上からそんな声が聞こえ、見上げてみれば、隊宿舎の屋根にクラリッサが座っていた。休日だというのに赤外套を纏った姿で、降り注ぐ陽光の両手をかざし微笑んでいる。その姿はまるで、太陽を信仰する部族のようでもある。その隣にはフランツィスカも腰を落ち着けていて、彼女もクラリッサ同様に赤外套を纏い、緩んだ表情で日光浴の真っ最中だ。


「ハンナ、隊長。飲み物などいかがですか?」


 スカート丈の長いディアンドル姿のマルグリットが、水筒の入ったバスケットを持って俺たちのところへやってくる。ハンナには珈琲、そして俺には紅茶の入った水筒を手渡してくる。いい仕事だ。

 バスケットを置いて自らもテーブルに着いたマルグリットは、腰に巻いたベルトから差していた刀を鞘ごと抜き取り、その反対側着けていた手入れ道具と思われるポーチも取り外してテーブルに置く。どうやらここで刀の手入れを行うようだ。


「隊長? ハンナ? ……あら、微笑ましい光景」


 手際よく道具を並べていたマルグリットが、俺とハンナの視線を追って屋根の上を見る。微笑む彼女の視線の先は屋根のふたりで、クラリッサが隣のフランツィスカに頬ずりを始めたところだった。

 俺はてっきり、フランツィスカはクラリッサの成すがままになっているものかと思ったが、なんと彼女も負けじと頬ずり仕返して張り合い始めたではないか。互いに一歩も引かぬという意気込みが見て取れ、このままではふたりの頬が擦り切れてしまわないかと心配になる。

 その様子をテーブルの俺たちが暖かく見守る視線の中、マルグリットがふと気付いたように声を上げる。


「そういえば不思議なものですよね。人狼は陽の光を嫌うというのに、わたしたち半人狼はそんな事がないのですから」

「……一説には、人の血と混じった事で日光に対する耐性を得た、という考えがあるらしい。まるで自分たちがあちら側の存在であるかのような言い草に腹が立ちます」


 憤慨したハンナが、持ってきていた本の表紙を見せる。人狼と半人狼に関する研究論文、最近発行されたばかりのもので、この著者の論文は現状もっとも有力とされている説を載せているものだった。彼女たちにとっては心中複雑を通り越して不快な内容も数多く記載されているものだ。

 それをわざわざ眉をしかめながらも読み進めるのは、自分たちの心身について少しでも情報が欲しいからだろう。実のところ半人狼という種に関してはわからない事の方が多く、明日には常識を覆すような新発見があるかもしれないのだ。


「しかし、今回の論文は特に内容が下劣な気がします。たとえば、男性の半人狼は去勢すれば獣性を低下させる事ができる、とか。実験でもしたというのでしょうか?」


 ハンナが何気なく言い放った言葉に、思わず股間が竦んでしまう。そんな俺の心中を鋭く察したマルグリットが、意地悪そうににやにやと笑っているのがどうにもやるせない。その考えまで見通したとでも言うように、マルグリットは俺の隣まで椅子を寄せてくる。憤慨しながら論文を読みふけるハンナに気付かれないような静けさと素早さで俺に接近し、顔を寄せ耳元で囁きかける。


「隊長さん、最近ご無沙汰では? 今夜あたりわたしなぞいかがでしょう?」


 下から覗き込むように見上げて来るものだから、俺の視線も自然と下を向いてしまう。するとどうだ、マルグリットの顔がそこにあるだけでも心拍数が上がるというのに、胸元の大きく開いた襟からその中がのぞけてしまい、非常によろしくない。


「俺をからかっているのかい、マルグリット?」


 恥ずかしさを紛らわすために視線を逸らしてそう聞けば、彼女は少し残念そうな声で答えを返してきた。


「……やはり、人間の男性が半人狼種を性的な目で見る事は難しいのでしょうか」


 その言葉を、俺は重く受け止める。半人狼種を人間として見ていないという話は以前どこかでしたと思う。人として見ていないという事は、女として見ていないという事でもある。その昔は半人狼と肉体関係を持つと人狼になってしまうという話まであったほどだ。今では根も葉もない噂としてその説は否定されているが、教育を受けられない階級の人間にとっては未だにそう信じられているのだ。

 マルグリットの生家は娼館を営んでいると言っていたが、おそらく彼女が娼婦として客を取った事はないだろうと断言できる。都市区をはじめとする中央区には、半人狼は風俗関係の仕事には付けないという法がある。昔からの因習が法律という形で今も残っているのだ。もしマルグリットが家業を継いでいるとすれば、客足が遠のくどころかいずれ摘発される運命にあるだろう。

 そうだとすれば、マルグリットは子供の頃から相当肩身の狭い思いをしてきたはずだ。彼女がこうして身を寄せて誘惑するような態度を取るのも、そういった背景があったからだろう。俺が彼女たち半人狼を同じ人間として、女性として扱うのを見て、自分は「どう」なのだと、試したいという思いに駆られているのだ。……すべて、俺のくだらない想像上での話だが。


「マルグリット。キミはとても魅力的な女性に見えるよ」

「ありがとうございます。すみません、ちょっと悪戯してみたくなっただけですので、お気になさらずに」


 そうは言うものの、マルグリットが身を離す気配はなく、むしろ先ほどよりも体を密着させて来るではないか。向かい側に座るハンナに救いを求めるが、彼女はマルグリットが持ってきた水筒の中身を口にしながら、ぶつぶつ文句を言い論文を読みふけっている。俺の救いを求める思念にまったく気が付かない。

 ならばと、屋根の上のふたりに視線を向けるのだが、なんという事か。フランツィスカとクラリッサはお互い赤くなった片頬を押さえてうずくまっていた。やはり頬ずりしすぎだったのだ。言わんこっちゃない。

 さて。こうなればこの状況を何とかできるのは自分だけという事になる。しかし、こういった誘いを今まで受けた事がなかったもので、いったいどうしたらいいものか。俺のそういった態度もお見通しだと、マルグリットはここぞとばかりに悪乗りを増長させる。


「ご安心ください。わたし、隊長が考えているよりかは、だいぶ手馴れていますので。……練習も欠かしておりませんし」


 マルグリットが瞳を潤ませ舌なめずりして言うものだから、体の熱が急激に上がって来てしまう。というか、待て。待ってくれ。いったいなんの話をしているんだい? 手馴れているとは? 練習って何の事だい! やはり俺はからかわれているのだろうか……。


「……仲がーよろしいですのねー。ふたりともー」


 その声は果たして天使の救いか、悪魔の微笑みか。俺がマルグリットと同時に背後に振り向くと、リーゼロッテがヴィオラのケースを手に立っていた。彼女は笑顔だった。その笑顔がなぜか恐ろしいものに感じられる。具体的には死に隣接したかのような焦燥感を胸に抱く程だ。今までマルグリットの虜となっていたものが、一瞬でリーゼロッテ一色に塗り替えられてしまった。

 彼女の着ている服はマルグリットと同様にディアンドルだったが、生地の素材が良質なものであったり、胸元の開きが控えめであったりと異なる点が多い。元々労働階級の者が着る服なのだが、それを彼女なりにアレンジしたものなのだろう。どこかちぐはぐな気もするが、服飾をかじった身としては興味深いものがある。


「な、なんですの隊長。わたくしの方をじっと見て……」

「ああ、いや。興味深いなと」

「何に対して興味深いと言いましたの今!?」


 真っ赤になるリーゼロッテに服装の事だよと告げたら、ぴたりと動きを止めて顔の赤みが若干増したような気がした。そして平静を装ったような顔で「あ、そうですの」と短く言うと、すたすたと歩いてテーブルの空いている椅子に腰を落ち着けた。機嫌を損ねてしまったのだろうか。

 ケースを開けてヴィオラを取り出すところを見ると、これから練習だろうか。軽く弾いて音を確かめている最中、はたと動きを止めて俺の方を見た。


「すみません隊長。弾いてもよろしいですの?」

「ああ、構わないよ。リーゼロッテの演奏は一度聞いてみたいと思っていたんだ」


 今度は気を良くしてくれたようで、リーゼロッテは鼻歌と共に演奏開始と相成る。曲目は俺も聞いた事のある有名なものだが、リーゼロッテの演奏するテンポが異常に速い。ゆったりとした伸びのある曲だったはずが、小人が跳ね回るような勢いを持って疾走する曲に変貌する。


「上手いものだね」

「ふふ、そうですね。でもリゼったら、機嫌がいいと無意識に演奏が速弾きになるんですよ?」


 マルグリットが耳打ちしてくる通り、リーゼロッテの演奏はだんだん速度を増して、ついには元の曲が何かわからないような領域に達してしまう。これには論文を読みふけっていたハンナも何事かと顔を上げ、屋根の上で転がっていたふたりもむくりと身を起こした。

 やがて、リーゼロッテが演奏を終えると、俺たちからのまばらな拍手送られる。奏者である彼女はやりきったような顔をして額の汗を拭うが、自分が速弾きをしていた事など気付かない様子で、すぐさま次の曲を奏で始める。


 リーゼロッテが自分の世界に入ってしまった事で、みんなもそれぞれの趣味に戻り始めた。論文に再び視線を戻すハンナや刀を分解し始めるマルグリットを見て、自分も何かないだろうか考える。しかし、俺には趣味らしい趣味が裁縫くらいしかない。修繕道具はベルトに着けて持ち歩いているものの、肝心の縫うものがない。

 だが、部屋に戻って素材を探すまでもないだろう。今日は彼女たちを見ながら緩やかなひと時を過ごすのも悪くない。そう考え軽く背伸びをして眠る体勢に入ろうとすると、服の脇腹のあたりが小さく引っ張られた。いつの間にか地上に降りて来ていたクラリッサだ。


「ハインツー。縫いもの教えてほしいですのー」


 そう告げたクラリッサは、自分の赤外套の裾を持ち上げて見せた。先ほど屋根の上でフランツィスカとじゃれ合っていた時にやってしまったのだろう、赤外套の裾あたりが十数センチ程裂けてしまっている。


「怪我はしなかった?」

「だいじょうぶですのー」

「よしわかった。じゃあ、ここに座って」


 俺は自分の座っていた椅子にクラリッサを乗せると、芝の上に膝を付いて赤外套の裾を持ち上げた。腰の修繕道具を取り出していざ作業開始というところで、クラリッサから待ったがかかる。そういえば彼女は縫ってくれではなく、縫いものを教えてほしいと告げていた。最初から自分の手で衣装を修復する気でいたのだ。


「やってみる?」

「はいですのー!」


 手を挙げての元気な返事に、俺は立ち上がって彼女の後ろに回り込む。椅子の上でうずうずと落ち着きのないクラリッサの背後からから手を伸ばして、針や糸、道具類をテーブルに並べてゆく。そしてその姿勢のまま、彼女に裁縫のやり方を教え始める。

 クラリッサという娘は物覚えが良く手先が器用で、俺がひとつ、ふたつと教えるとすぐにそれを実践して自分のものにしてしまう。内心では怪我しないものかと心配だったが、瞬く間に外套の修繕を終えてしまった。


「すごいね、クラリッサ。誰かから裁縫を教わった事があるのかい?」

「アグネスさんと、マルグリットのー。見てましたのー」


 なるほど。彼女たちの手先を見てはいたものの、実際に自分の手で縫うのは今日が初めてという事か。もしクラリッサが本格的に修繕を学ぶ事になれば、俺などすぐに追い抜かれてしまうだろう。それだけの潜在能力を彼女は秘めている気がする。

 実際、対人狼戦においても扱いの難しいワイヤーを用いての戦闘支援を行う彼女だ。今は戦闘支援という役割に納まっているが、膂力ならばフランツィスカに、器用さなら刀を使いこなすマルグリットにも匹敵するかもしれない。その器用さは工作兵としても有能だろう。


「……いや。何を考えているんだろうね、俺は」


 俺はそこで考えるのを止めた。自己嫌悪を振り払うように頭を振る。いったい何を考えているのだろう、俺はそんなにも彼女を戦いの渦中に置きたいのだろうか。背後の俺を覗き込もうと、椅子の背にもたれかかって逆さの視界となるクラリッサ。彼女の澄んだ空色の瞳が、俺の内面を鏡のように映し出してしまいそうで、思わずどきりとさせられる。


 ハンナの話によると、クラリッサには狂乱の前科がある。だが、どういった経緯で彼女が理性を失い乱れ狂ったのかまでは、結局わからずじまいだ。クラリッサの経歴を納めた書類には黒く塗りつぶされた部分が多く、上層部も彼女の過去を何らかの理由で隠ぺいしたいのだろうという事だけは理解できた。

 狂乱の前科がある半人狼は都市区を追放される。軍紀や法律がこの先変わる事がなければ、クラリッサは永久にこのハンブルク城と黒森とを行き来し、人狼と戦って生涯を終える事となってしまう。まだ12の少女に、その仕打ちはあまりに酷だ。


「ハインツ、アリスはだいじょうぶですのよ-?」

「!?」


 なんと感の鋭い娘だろう。そんな言葉をかけてくるのは、俺の内心を読み取ったからだろうか。それとも俺の考えすぎ、ただの偶然なのか。どちらだとしても、俺が彼女の幸せを願う事に変わりはない。


「クラリッサはいいお嫁さんになれるね。俺が保証するよ」


 そう告げてクラリッサのおでこを撫でれば、すぐに表情を笑顔に変えてくれる。彼女が軍属とならなくても生きてゆけるような環境を、果たして俺は与えてやれるのだろうか。それには残された時間があまりにも少ない。彼女が笑顔を失わないような、その下地だけでもつくる事ができればいいのだが……。


 ふいに、リーゼロッテの演奏の音が止まった。俺とクラリッサが同時にそちらを見れば、リーゼロッテもこちらを見ていて、そして固まっていた。そして何を思ったのか、いそいそとヴィオラをケースにしまい始めたかと思うと、椅子ごと俺たちの方へ向き直り咳払いをするではないか。


「た、隊長? わたくしにも、お裁縫を教えてくださいます?」


 何を言うのかと思えば。てっきりリーゼロッテは縫いものなどできると思っていたので、その申し出にちょっと面喰ってしまう。俺が構わないよと告げると、リーゼロッテはヴィオラのケースを持って立ち上がり、急いで隊宿舎の方へ駆けて行った。

 その背中をクラリッサと共に見送っていると、ぱたんと本を閉じる音が。ハンナが論文の本を閉じてテーブルに置き、リーゼロッテの時と同じように体ごとこちらに向き直ってきたのだ。まさか。


「隊長。自分にもお願いできますか?」


 やっぱりだ。睨むようにじっとこちらを見てくるハンナは、俺がうんと頷くまで視線を外さないかのような意気込みだ。もちろん了解すると、ハンナも本を小脇に抱えて急いで隊宿舎へ戻って行った。その背中を見送った俺とクラリッサは、顔を見合わせ首を傾げた。


「ふふ。ふたりとも、アリスに負けたくないのでしょうねえ」

「裁縫の事でクラリッサに対抗心を抱いたという事か。なるほど、いくら手先が器用なクラリッサとはいえ、年下に負けるわけにはいかないという気概だね」

「いえ。いいお嫁さんの部分なのでしょうけれどね」


 その後、ハンナとリーゼロッテにも裁縫を教える事になったのだが、このふたりの不器用さは俺の想像以上のものだった。終いにはクラリッサまでがあれこれと指摘し始め、それが俺よりもはるかに彼女たちに合った教え方というものを心得ていたものだから、ひと通りの作業が終わる頃には、俺も教えを乞うたふたりも意気消沈してテーブルに突っ伏してしまった。

 自分が何かまずい事をしでかしてしまったとのではと思い込んだのか、しょんぼりするクラリッサの頭を撫でながら慰める。すると、そんな俺の事を心配し案じたものか、クラリッサに頭を撫で返されてしまい悲しくなった。隣のマルグリットは苦笑い、そして屋根の上で寝転がっていたフランツィスカは俺たちを見て笑い転げているのだった。




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