青春謳歌する気はない②
二学期のはじめ、学校祭が始まる。
うちの学校祭はこの町ではかなり有名なものだろう。
なんてったって、もはや伝説とまで言われるほどの演劇があるのだから。
「えー、今年の演劇部員は20名。例年より少ないわ。
だけど、過去の先輩方を超えるような演劇をしなきゃいけないの。わかってる?」
演劇代表は、椎名葵。学年トップレベルの頭を持っているし、
委員長になったりと学校でも有名な優等生だ。皮かぶりまくってるけど・・・
実際は人使いあらいのなんののめんどくさい人だよ。
弱みをつかまれたらもう終わりだろう。
「まあ、今回このメンバーを集めたのは私だから問題ないわ。
この学校にいるさまざまな分野での人たちを集めたからね」
確かに、教室を見渡すとそれなりに学校では有名な奴らがいるな。
それに成績上位者がちらほらと・・・俺ってなんでここにいるの?
「さっそく役割を決めるんだけど、私が考えた役割表があるからこれ見て。」
列ごとに配られたプリントには簡単に、人の名前が書かれている。
俺の名前は・・・・・・・うんうん、台本係に入ってるんですけど!!
「ちょ、椎名。俺の名前の場所間違ってるだろ!俺はほら、裏方をやるとかさ」
しばらく椎名は俺のほうを向いて、中指だけを立たせてきた。
「あんた、私に口答えなんて百年早いのよ!悔しかったら私にテストで勝つことね」
ニヤニヤしながら俺を見下している。あーあー優等生くたばればいい。
「あと、台本は今週中に出してね。夏休みまでにないと困るから。
できないなんて言わないでよね。キレたくなるから」
えー!修羅場じゃねえか俺!!どうやったって無理でしょ~
「時間がないのは、私もわかってるからサポートはつけるわ。
とりあえず西条さん、お願いね。一応わたしもやるから問題ないでしょ。」
「・・・それはそれはありがたいことで。」
あーもう全身が萎えてきたよ。もう、書く気なんかなかったのによ。
ホント、椎名に弱みを握られたら終わりだ。
「じゃあ、あとの人は今週は仕事ないからゆっくり休んでね。解散!!」
俺の休みは一生ないかもしれない。