第2話 親父のテレビデビュー
「嘉秋、お前今日の地主会議、参加しなかったんだって?」
「・・・あ、あぁ」
「何でだ?」
「え? いや、だって学校あったし・・・」
「学校だぁ? お前、家と学校どっちが大切だと・・・」
「学校」
即答。
今朝の親父の半爆弾発言。
「許嫁があーだこーだ(後半曖昧)」
それがすごく、めちゃくちゃ気になりつつもこうして俺は自宅へ帰って来た訳だが。
「お前な、今日の地主会議がどれほど大切かつ重要なものか、分かっているのか!?」
帰宅早々、玄関にて待ち構えていた親父に捕まり、半ば理不尽なお説教を頂戴していた。
「いや・・・ってか、俺の本分は高校生な訳で・・・」
「バカ野郎! 大黒柱! おまえは19代目当主!」
「だから、それは親父が勝手に・・・」
「黙れ息子、いや嘉秋!」
「いや、訂正しなくても合ってるから息子で」
「おまえはだーっとれ!」
「えぇー・・・」
「ったく。いいか、今日の会議はなすごく重要な会議だったんだ・・・」
「・・・・・・」
「今日の会議はな、一丁目の苅谷さん家の畑で人の股みたいな先割れをしている大根が取れたから、ナニ〇レ珍百景に投稿するかどうかをみんなで決め・・・」
「そこまで重要じゃねぇ!?」
地主会議しょーもなっ。
「お前、事の重大さを分かってねぇな? いいか、これが採用されればテレビに出られんだぞ?」
「子供かっ」
「天下のテレビ〇日だぞ? 一躍有名人の仲間入りだぞ!?」
「発想が小学1年生!!」
「これでもし珍百景登録にでもなったら・・・みんなからサインとかねだられるかも!」
「ってか、股割れ大根如きで採用されると思うなよ大人が!? テレビ業界なめんなよ!?」
いやホント、今日会議行かなくて良かった。
「で、おまえの許嫁である、門馬家現当主門馬幸村さんの娘、門馬波奈さんだ」
「唐突過ぎるっ!!」
で、あの後半ば強引に親父に引きずられて、こうして客間の前まで連れてこられ・・・
(いや、頑張って抵抗はしたんだよ? したんだけど・・・親父、腕力ゴリラでさぁ・・・)
スパーんっ!!
何の準備(主に心の)もなく、勢いよくふすまオープン!!
ってか、ホントに許嫁いんの!!?
うわああああああああああああああ!!!!??
開けられた客間。
まさに日本和室のその部屋に・・・
「・・・・・・ッ!?」
着物を着た、2人の女性の姿があった。
2人とも突然勢いよく開いたふすまにびっくりしたのか、驚きの表情でこっちを見ていた。
・・・固まってんなぁ。
・・・静寂の空気。
・・・うわ、気まずい。
「お待たせしました門馬さん。こいつがウチの現当主、古梶嘉秋ですわ!!」
そして、その中に響く、親父の場違いなやたら明るい声。
・・・どーすんの、コレ?
お久しぶりです。
結構間が空いてしまい、申し訳ないです。