生徒会長決め
生徒会長決めの前日。
「兄様!ね?」
「ね?じゃなくてだな。かわいく頼んでも無駄だからな。俺は、絶対に生徒会長なんて、めんどくさいもんはしないぞ」
両手を合わせて上目づかいでかわいく頼むフィリアを見下ろし、ライは言う。
「お願い!!兄様なら生徒会長できるでしょ?王宮で同じようなことしてるんだから!」
「それは、俺に王宮でも、学校でもパシられろと言いたいのか!?」
バンと机をたたいでライはフィリアへ抗議する。
「そうじゃないですよ?」
「明らかにそうだろ?それに、一応俺は受験生で…」
「進学するつもりないくせに」
「ねー、何の話してるの?」
ヒョコとツララが2人の間に顔を出す。
「ツララには関係ない!お前が関わるとめんどくさくなるだろ、もっと!」
「あのですね、生徒会長に兄様がなってくれないんですよ!」
「ライ、生徒会長になるべきだよ!私も手伝うから!」
「待て!!手伝うも何も、お前は受験生で!」
「何言ってんの?中高一貫なんだから、受験必要ないでしょ?それにいいじゃない、面白そうで!」
「ほら!!兄様、決定ね」
フィリアは、言い逃げした。
「だから、待て!!」
「待たないよ!ツララさん、説得お願いします!!」
「了解だよ~」
当日。
「…くそ」
「アハハハハ」
全生徒が集まる講堂の舞台そでには、何やら煮え切らない様子のライと高笑いをするツララがいる。
「なんだって…」
「私だって一緒に副会長するんだからいいでしょ?」
「そうじゃなくてだな?俺は、王宮でも、結局姉上たちにパシられてるんだぞ」
「ドンマイ!がんばれ、応援してるよ!」
「…はぁ。なんで、生徒会長なんかに…」
「ライがかっこいいから!」
「それは答えになってないだろ」
ライの溜息に即答したツララへ彼はツッコみを入れる。
『それでは、生徒会長に立候補したライ君と、副会長に立候補したツララさんです!』
不機嫌そうなライが舞台に立つと、主に女子の黄色い悲鳴があふれる。
「モテモテだねっ!」
「…生徒会長になったら」
ツララの言葉をスルーしてライが渋々マイクを片手に演説を始めると、講堂の屋根が吹き飛んだ。
「…なんだ?」
『我こそが、真の王となるべき人間だったのだ!!それを、リカルドが殺すから!!許さん!』
という声と共に、講堂の電気が消える。
そして、暗闇に人間の形に似ているよな似ていないような、かなり微妙な形の輪郭が2つ浮かび上がる。
『燃え尽きろ!!アレの子孫など、朽ち果てればいいのだ!!』
「…父さんの、兄?」
冷静に、輪郭がなんなのか見極めようとしたライへ、炎が迫る。
「ツララさん!?避けて!!」
フィリアの悲鳴で、ツララが炎の射程に入っていることに気づいたライがとっさに彼女を突き飛ばす。
「ライラかレオ、生徒の避難を。後、フィリアはここに残れ。どうやら、父さんの兄たちの幽霊…のようだ」
ライの的確な指示が飛ぶが、輪郭から雷が生徒に向かって放たれる。
「ライさん、生徒を避難させてもらえそうにないよ!?」
「バカライラ。お前の頭は飾りか?“結”」
ライラの背中を蹴っ飛ばしたレオが炎を結界で防ぐ。
「なる。フィリア、がんばれ~!!ライさんも~」
「俺はおまけか!幽霊は幽霊っぽく、大人しく漂ってりゃいいんだよ!」
「なんの恨みだか知らないけどさぁ、迷惑だよ?叔父さん…に当たるのかな、この人たちって。ヤダなぁ。いい年下大人が逆恨みとか。みっともない」
ハンと2人はそろって鼻で笑うとそれぞれ浄化魔法を展開させる。
「「“お化けはさっさと消え失せろ《ゴースト・クラッシュ》”」」
フィリアとライが放った光が明るく輝き、閃光弾のようになる。
『『うわぁ!!?』』
「…みっともねぇの。やっぱリカルドさんが、この国治めて正解だと思うぞ」
悲鳴を上げて消え去った2つの輪郭を見てレオが肩をすくめた。
「…ハプニングがあったけど、大丈夫?後、ツララさんは?」
「おっと、忘れてた。ツララ?無事か?」
「無事だよぉ~。ライが突き飛ばさなければ」
「…すまない」
「いーえ?気にしてませんから~」
ライに突きとばされた後、ルーピンに保護されたツララはひらひらと手を元気よくふり、無事を示す。
後日。
ライが生徒会長に当選した。
まぁ、当選も何も1人しか立候補していなかったのだが。
「内訳は?」
「うん、有効が367票、無効が198票」
「…無効は、どんな?」
「えーとね、『レオ君カッケー』『フィリア様、マジ神!!』『レオ君ハスハス』『フィリアちゃん、結婚してくれー』『ハァハァ、フィリアたんの巨乳』」
「…最後の奴には精神科を進めておこう。後、俺の妹は売却済みだぞ?」
「いやぁ、人気あるねぇ」
「……変態が多かった気がするが」
「ちなみに今の全部女子」
「オイ!?大丈夫なのか、うちの学校は!」
とかいう、ライとツララのしょうもない会話があったとかなかったとか。




