お父さん方登場、の巻
「レオに近づいてこないのはなんでかね?」
「雰囲気が、ね」
俺に近づくんじゃねぇオーラが噴出されているレオ。
「っと、悪いね、メガネちゃん、足が引っかかっちゃたよ」
テーブルをフィリアが回っていると、チャラ男としか表現のしようがない男たちがニヤニヤしながら足を引っ掛けてきた。
「…!?」
適当に回避しようとしたフィリアは見事に足へ引っかかりこけかける。
「オイオイ…」
が、彼女が倒れる前にレオが支えたので大事にはならなかった。
「…ありがと」
「いえいえ?礼を言われるようなことはしてませんけど?執事として、当然のことでしょう、お嬢様?」
「…」
厭味ったらしく言ったレオにキャーと沸く女性客たち。
「…今ののどこにその要素が…」
「フィリア、大丈夫?」
そこへ、絶賛男装中のライラが登場。
さらに沸く教室。
「…はぁ」
「美少年に囲まれて羨ましいわ!!」
「かわってほしいくらいですけどね?」
「え、俺はフィリアじゃないとこんなことしないからな?」
「…バカ」
「あ、わた…じゃなくて僕も~」
ライラは一人称を僕にしているようだ。
キャーキャー騒ぎ出す女性客とレオ、ライラの2人組がチャラ男たち(仮)は気に入らないようで、フィリアをズイと引き寄せる。
「セクハラで訴えますけど?」
「へっ、できるもんならしてみりゃいーじゃねぇか。俺たちはお客様だぜ?」
「…幻」
男たちがあげた下品な笑い声にレオは頭に来たらしく、魔術を使う。
「「「う、わぁ!?」」」
みっともない悲鳴を上げるとチャラ男たち(仮)は気絶する。
「…なにを見せたのレオ」
「俺が体験したことですけど?」
「…そのキャラ気に入ったんだ」
「さぁ?あーあ、下らないことに魔法使わせんじゃねぇよ。父さんにばれちまうだろ。ってか、ばれたわ」
チャラ男たち(仮)を素早く縄で一まとめにしたレオは、ドアが開いたタイミングを見計らってそれを投げつける。
「レオ!?」
「大丈夫、父さんと青王だから」
「それ、大丈夫じゃないよね!?」
長い銀髪、キラッキラの紫眼でリランが大きくなったような姿の青王と、金髪緑眼でレオが大きくなった感じの緑王が教室に入ってくる。
ちなみにレオが投げた男たちは青王が片手でキャッチしている。
「おや、フィリア。メガネをかけているんだ?」
「父様、何しに来たんですか?というか、政務は?」
「まぁそれはほら、リランにおしつ…任せてきた」
青王は窓を全開にして男たちを投げ捨てるとフィリアの問いに答える。
「…そう、ですか」
「待って!!投げ捨てたのは、流しちゃうの!?」
「いちいち父様の行動に驚いていたら心臓が持ちません、以上何か文句ある?」
「「いえ、滅相もございません!!」」
息のそろった生徒の否定言葉。
「父さん、何しに来たの?さっさと帰って政務しててくれないか?溜まった書類を片付けるのは俺なんだろ?」
「…本当にリカルドそっくりだよ、君は。どうしてこうなっちゃったかなぁ?」
「質問に答えるのが先だろ。それに青王に似たのは、父さんが俺を放って旅にでるからで…自分のせいだと思うが?」
「そりゃ大変だ。レザエラが泣いちゃうよ」
「母さんが?いつ?どうやって?」
「……まぁ、色々と?頑張って泣いてもらう」
「はぁ。良いよ、別に。さっさとくたばればいいのになんて、思ってないし」
「「思ってるだろ!?」」
これまた実に息の合った生徒のつっこみ。




