蒼月祭開催
さて、蒼月祭当日。
会場は王宮前広場。
沢山の屋台が並んでにぎわっている。
「結局、蒼月祭って何するの?」
今更な質問をしたのは、ライラ。
「え、知らないの!?」
「あれ、去年もやってたよ?」
「えへ、去年は宿題やってたぁ」
「悲しい!何それ!!」
フィリアとレオを抜いたいつものメンバー。
あれからフィリアは一度も戻ってこなかった。
「あー、じゃあ説明するよ。蒼月祭ってのは、毎年やる王家主催のお祭りで、国のシールド強化とか、守護中を祀ったり神様祀ったり、水を讃えたり…で王家の人が1人代表で舞う…踊る、の。すっごく綺麗なんだよ!」
ソフィーが嬉々としてライラへ説明しだす。
「へぇ~、詳しいんだね」
「あ、それはね、ソフィーってば蒼月祭の大ファンで、記録取ったり、舞の意味考えたりしてるんだよ~」
「あっ、セノーテ!!それ、内緒って約束じゃない!!」
「いいじゃん?どうせばれるんだし」
レオが王宮の方から歩いてきて、ライラたちを見つける。
「おや、ライラ…とその他か。こんなところで溜まって何しているんだ?」
「あれ、レオ?体験実習からいなかったけど何してたの?」
「…知りたいか?」
屯っていたライラたちの隣まで歩いてきたレオは腕を組んでライラを睨み付ける。
「いえ、結構です」
「あ、あとね!王家の人が踊り終わると、ペアを組んで踊ることになるの。一番最初は、代表で踊った人がパートナー選ぶんだよ。すっごく名誉なことなの。後、最後に踊った人と恋が叶うってジンクスがあるよ」
流れた冷たい空気にソフィーが慌てて続きを説明する。
「ふーん」
「今年は誰踊るのかなー」
「え、今年は…」
あれだけ大々的に連れ去られたフィリアのことをソフィーが気づいていないのは、寝ていたからです。
ライラがそのことを言おうとするとレオが、彼女の口を塞いで囁く。
「はい、はいはいはい」
「??」
「黙っててやれ。結局見られるのにな。黙ってろ、と怒られた。かわいいよな、そういうところ」
「…」
惚気になった後半にライラは押し黙る。
「あ、あそこだよ」
「混んでるなー」
沢山の人に5人は閉口しながらも舞台へ近づく。
「あ、ライラだ!!見に来てくれたの?」
フィリアが猛ダッシュでライラたちのところへ合流してきた。
「フィリア…抜け出してきたの?」
「いやー…アハハ」
後ろから王の衛兵が追いかけてきているのを見て、ライラはフィリアへ尋ねた。
「…わぁ」
「待ってくださいよ、フィリア様!!怒られるのは僕らなんですよ!?」
「ゴメンって、セイロウ。すぐに戻るよ。もうすぐ始まっちゃうでしょ?」
プンプンと怒っている青髪の青年へフィリアは謝る。
「フィリア、急いだ方がいいぞ。ファイナさんがそろそろ怒り出す」
「わぁ!?…じゃね、あわただしくてゴメン。蒼月祭、楽しんでね!!」
レオに促されフィリアは身を翻して、王宮へ走り去った。
30分後。
ようやく蒼月祭は本格的に開始した。
シャランと鈴の音が会場へ響く。
「あ、始まった」
『本日は集まってくれてありがとう。毎年開かれるこの祭りは、この国の結界を強化して、全知全能なつ天神を讃える役目があります。
皆さん、好きな人はいますかー!?蒼月祭のジンクス、本当にしてくださいね!!』
フィリアが舞台へ現れて開始宣言をする。
「うわぁ、かわいい衣装。いいなぁ私も着てみたい…」
淡い蒼色でヒラヒラと風になびく生地を重ねて作られた衣装はフィリアの蒼眼にとてもよく映えていた。
「後で言えば、着させてもらえるだろ」
羨ましげに呟いたソフィーにレオが提案する。
「…そこまで、本気にしなくてもいいよ」
「してない。提案の一つとして受け取っておけ」
「そうする」
フィリアの髪に編みこまれた宝石が、魔力灯の光でキラキラ煌めき舞台に不思議な模様を描く。
彼女が持った鈴がシャランと涼やかな音色を響かせる。
「綺麗~」
「本当、第3王女様、良い方なのかもしれないわね」
「だって、ねぇ…こんなに綺麗な方が悪いことをできるとは思いませんわ」
等の言葉がチラホラと聞こえてくる。
その言葉を聞いたレオが小さくつぶやく。
「…第一段階、成功」
「え、何の話?」
「フィリアについた悪い噂を晴らすための作戦」
「なる」
「キレー」
「綺麗だなー。フィリア美人だもんね…いーなぁ」
「セノーテだってかわいいよ!気にしなくていいってば!」
遠くを見てつぶやいたセノーテをレンが励ます。
「…いちゃいちゃしやがって…ケッ」
「ライラ、言葉遣いが汚い」
「レオに言われたくありませんよぉーだ!」
シャランとひときわ大きくフィリアが鈴の音を鳴らしたところで踊りは終了した。
『さー、お楽しみの王家第3王女に選ばれるのは誰か!!』
フィリアは衛兵の手を借りて舞台から優雅に降りると、レオの方へスタスタと歩み寄る。
「…」
「…」
ジーと睨み付けるようにフィリアはレオを見てから、ニコリと笑って手を差し伸べる。
「踊ってください、愛しい婚約者殿」
ピクピクと頬の筋肉がひきつっているような気がしなくもないが、フィリアは言い切った。
こんなセリフ言いたくねーと思っているのが、4人からは丸わかりだったが。
「喜んで」
こちらも実ににこやかに笑うとレオは、フィリアの手を取り承諾する。
『それでは、皆さんも近くの人と踊ってくださって結構です。楽しい蒼月祭を!』
「言いたくなかった…」
「練習を忘れていたお前が悪いだろ、それは」
「…仕方ないじゃない」
「ま、俺はお前と踊れてよかったけど?かわいかったし」
「っ!?」
レオの言葉にカァと頬を染めフィリアは俯く。
「かわいい」
「う、うるさい!照れるでしょ!」
「うん、知ってる」
さて、もう一人の主人公ライラは。
「ラ、ラララライラさん!ぼ、僕と踊ってください!」
勇気を振り絞ったシベリスに付きまとわれていた。
「え、ヤダ。私忙しい」
「どこがぁ!?」
「おいしいご飯がこんなにおかれてるのに、踊ってるなんてもったいないことできません、以上!!」
うわぁ、ダメだこの人、とシベリスはライラのことを諦めました。
「いや、ライラさん!!一回で良いんです!」
なんてことはなく、彼はしつこくライラに付きまとっていました。




