ファイナ参上!
授業中にフィリアが先生に指名されて黒板へ問題の答えを書いていると…
「そーいやお前。蒼月祭、明後日だよな」
「だな」
という、男子生徒のやり取りが耳に入った。
「蒼月祭…」
カツカツ順調に書いていたフィリアの手からチョークが落ち、割れた。
「フィリアさん?体調でも悪いんですか?」
動きを止めたことを不審に思った先生の問いかけにフィリアは考えるそぶりをする。
―フィリアの脳内―
蒼月祭→王家の人が舞う→今年は私→昨日まで振り返る→ピピピピピピピーン→練習時間、30秒…→まずい→リナ姉様に泣かれる→もうすぐしたらファナ姉様が来ると思う→待ってよう
―終―
「…ちょっと、まずいかも」
「へ?」
ガッシャーン!!と、教室の窓が割れる。
「何事!?」
「フィーリーアーちゃーん?なにさぼってんのかなぁあー?」
赤髪をなびかせてファイナが割れた窓から教室の中へ入ってくる。
「…」
忘れてだなんて口が裂けても言えない。
というフィリアの表情。
「さー、練習、しなくちゃなー?」
窓の外に待機していた羽の生えた巨大な赤蛇の上に、硬直したフィリアを投げ飛ばすとファイナは、にっこりと笑顔を作って先生の方を向く。
「あのー、い、一応、その…授業中でして…」
オズオズと先生は、口に出してからすごく後悔した表情に。
「すいませんねぇ、末姫がご迷惑をおかけして…。ですが、これはこの国の存続問題にも関わることなので引き取らせていただきます」
ニコニコと若干ひきつったようにも見えなくはない笑みを浮かべ、ファイナは蛇の上に飛び移り、窓を修理して 去ろうとする。
「あー、どこ行くの、フィリア?」
「…練習場…あそこは、地獄。ついてこないで…」
シュンとうなだれてフィリアは、興味本位で訪ねてきたライラへ諭す。
「いやいや、見てるだけなら天国だから。見ているだけなら、な」
「じゃ、いこっかな」
「やめて!!…やめてくださいおねがいします」
「まー、本番のお楽しみ、みたいな?」
適当にごまかしてフィリアとファイナは、いきなりの出来事で呆気にとられている教室を去る。




