ええっと、天使ですか、神様ですか
ライラがレオを必死で止めようとしていると、フェカの隣にいわゆる天使の格好をした女性が現れた。
「まぁこれはこれで圧巻だよね、フェカ」
「やっぱり来たか」
「まーねー。そろそろ戻ってもらわないと困るし」
「ふざけんな」
「ウフ、フフフフフフフフフフフフフフ」
フェカとその隣にいる女性に気付いたレオが、ポラル退治を中断し、ライラを女性にぶつける。
「ちょ…お、レオさん!?」
ギリギリで止まったライラが驚きの声を上げる。
「くたばりやがれ」
「女性にひどいことするのねぇ、レオ君」
「…悪寒が…」
「レオに同意」
「ちょ、フェカまで!?」
「だってさ…」
「ああ」
「コイツムカつく」
「フィリアの敵」
2人はライラへ同時に応じる。
「レオ君のは勘違いでしょ!?何言ってるの!?」
「フェカが居なくなったらフィリアが悲しむし、フィリアの魔力を制御できるのはフェカだけ。だから、フェカを奪うお前は俺の敵」
「ウンウン」
「事情が良く分からないよ!?とりあえず、誰?」
「私は、ティア。赫陽祭で決められる天神の座にいる者です」
「神…様?天使の格好をしているのに?」
「ああ。正真正銘、神様だ」
「え、でも天使だよ?」
「こいつの趣味だろ、どうせ」
「趣味だよ~」
「ほらな。変態だから」
「変態じゃないよ!?フェカの方が変態よ!」
「失礼だな」
「…で。本題に戻るんだけど、神界に帰ってきて、フェカ。あなたの力が必要よ、やっぱり」
コホンと咳をして、真面目な話をティアはしだす。
「嫌だね」
「即答!?ってか、神界って?」
「聞いててわからないのか?…バカだから仕方ないか。フェカは、炎焔神フェカっていうのが、本当の姿で、今の状態は…まぁ、色々と事情がかぶってな。ティアは、陰陽のバランスが崩れたから戻してほしいって頼んできてるところか、もしくはフェカの悪友が騒ぎ出して止められないから止めてくれって頼みに来たところ」
クエスチョンマークが頭上に浮かんだライラへレオが説明をする。
「ははぁ…。つまりフェカが神さまで、ティアは情けないことを頼みに来た、と」
「そういうこと」
「違うわよ!?べ、別にそうじゃなくて…確かにフェカの悪友が騒ぎ出して止めてもらいたいんだけど、そろそろ神界へ帰ってきてくれないと、寂しいっていうか、天神の座が面倒くさくなったっていうか…」
「もっと問題だな…。とにかく、俺は帰らないから。じゃ、ティアさよーなら」
フェカがティアの額を強く押すと、ティアの姿が光って消えた。
「…なんだったの?」
「他人に頼らず、自分で済ませましょってこと。さってとぉ~、久しぶりに表へ出れたしこのままでいよっかな」
「好きにすればいい。…疲れたし、ブタも見失っちまったし、寝るか」
「そだねえ」




