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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第10章 あのライラに春が来た!?
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迷路へ挑戦

で、しばらく歩くと森なのに、


「…迷路?」


緑色の迷路が有った。


「迷路だな」

「えー、スルーしてポラルんとこ行こうよ」

「…ポラルの気配はここから」

「仕方ない。迷路…入ろう」

「おおー!!」


グネグネと道が交差している迷路をライラの勘を頼りに進んでいたら。


「…あれ?出口って何処!?」

「はぁ?」

「…それって迷ったってことかな?」

「まあ、そゆこと!」


フィリアの問いに即答したライラをレオが締め上げる。


「殺そうか」

「殺そうかじゃなくて殺しかけてる!」

「…」

「良いよ、レオ。別に…上から出れば良いじゃん?」



「この迷路がただの迷路だと思っているのかよ?」

「と、とにかく!ライラを放して!ってか死にそう!!」

「わかったよ。フィリアがそこまで言うなら…」


フィリアに言われレオは渋々ライラを放す。


「ぜー、ぜー…し、死ぬかと思った!」

「死ねばいいのに」


肩で息をするライラにレオが睨む。


「酷い!レオ、酷い!!」

「ま、まあまあ…仲間割れしている場合じゃないよ?」

「それもそうだな。どうやって帰ろうか…いや。クソブタを殺そうか」

「レオ!」

「んだよ?」

「…先に帰る方法を考えたほうが良いと思う」

「それは迷子になる原因を作ったライラに任せるべきだ」

「え!む、無理!!無理無理!」


ライラが首をブンブン振る。


「しょうがないなぁ…一つ手が無い訳じゃないよ?さっきから五月蠅いし」

「フィリア止せ」


レオがフィリアの肩に手を置き止めようとする。


「だって…ねえ?」

「仕方ないな。ライラが役立たずだから、ライラが役立たずだからフィリアが困っているんだぞ」

「2回言うな!!」

「ん、じゃあ…フェカ、よろしくね?」

「ま…まさか!」


フィリアが目を閉じ、しばらくしてから目を開ける。


「あー…よっ、ちっちぇえのとレオ!」

「う、うわーわーわー!」


ライラの叫びを無視してフェカは深呼吸をすると呪文を詠唱する。


「っつーことで。〝我は神なり。全てを燃やしつくし、その業火の元に灰と化せ!レジェント・クロス″」


フェカの周りに炎が現れ迷路を燃やしだす。


「…すげー…タダの変態じゃないんだ」

「あ?誰が変態だ!」

「だってぇ…ねぇ?」

「誰に同意を求めているんだ。そしてフィリアと同じセリフを吐くな」


ライラの意味ありげなセリフはレオにバッサリと切り捨てられる。


「あれ?」

「フフン」

「なんか腹立つ!!」

「さぁてっと…このまましばらく表にいよっかなぁ」


フェカがニヤリと笑いライラに抱きつく。


「…ぎ、ぎゃあああ!?」

「んだよ、ライラちゃん?」

「ちゃん?こいつにちゃん付けは無いぞ、フェカ!」

「え、そぉ?ちょい反応おもしれーし、いーと思うけど」

「無い、絶対にない!というかいつまで抱きついてんだよ、フェカ」

「え、いつまでも?」


「…はぁ…ライラが気絶してる。意外とメンタル弱いからな」

「え?うわ、マジだ!…ん?つーことはー、フ、フフフフフ」


フェカは気絶したライラから離れると何やら怪しげな笑いを洩らす。


「フィリアの声でそういう笑い声を立てるな」

「ん、気を付ける~」

「そうしてくれ。…お、クソブタ発見」

「燃やすか?やっぱ燃やすよな?な?」


何やら期待したらしくフェカはレオに聞く。


「…いや、さすがにそれは…」

「え、珍しいなー。レオがためらうなんて~」



「…甘すぎるだろ?燃やすだけなんてもったいない。そう思わないか」


「あーそーだなー。そうだよ、レオがためらう訳ないじゃねぇか…」


フェカが納得のいったようで額に手を当ててため息をつく。


「さて、どうやって調理しようかな」

「う~」


ライラが目を覚ました。


「よぉ、おはよーさん」

「げっ、フェカ!?まだ戻って無かったの!?」

「なんだよ~俺がいちゃ悪いかよ?」

「…なんともいえない」

「意味分かんないんだけど?まぁライラだし仕方ねぇか」


ムッとした顔をしたライラをニヤニヤと見るフェカ。


「何さ!私だって本気を出せば出来るんだから!」

「何が?」

「…さぁ?」


レオの問いに首をかしげたライラへフェカが思わずツッコミを入れる。


「オイオイ、それじゃあ何も出来ないのと同じじゃねぇかよ」

「気にしない~」


どことなく和やかな空気が流れる2人の隣は、レオによって、地獄となりつつあった。


「…逃げるな」

「ヒィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!?」


炎がぼうぼうと燃えていて、そこから縛られたポラルがなんとか逃げようとしているのが、高熱で空気が歪む中かろうじて見える。


「消しクズになれ」

「ちょ、レオストップゥ!!」

「…止めるな」

「止めるぞ!?」

「邪魔するな」

「するからね!?何してんの!」

「見てわからないか?」

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