なんとも、物好きな…
―4月―
フィリアたちは無事に3年生へと進級しました。
上機嫌なライラは歌を歌いながら学校の校舎にフィリアと向かう。
「桜が咲いて散ったころ、君とまた出会えたよ~!」
「何の歌、ライラ」
「自作の歌」
「…あっそう」
ま、と言う訳で。
桜が咲いている4月です。
学年が変わりクラスが変わった奴も居る。
今フィリアとライラはクラスの人の名前が書いてある紙を見ている。
「あ、また同じだね、フィリア」
「いや、成績が落ちない限り同じクラスだから」
「ん、この人見たこと無い名前だな~」
フィリアの突っ込みを流してライラは紙を読み続ける。
「元2の人でしょ。ニコラとデッグが居ないじゃない」
「え、なんでわかんの!?」
「何で分かんないの?」
驚いたライラがフィリアに聞くと彼女は逆に聞き返す。
「もしかして…もしかして、学校全員の名前言えたりとかしちゃう?」
「さあ?」
謎めいた笑みを漏らすフィリア。
「分かんない振りをしてる訳?んでもってポラルの名前はわざと間違えているでしょ!」
「さぁ?」
「…なんかバカにされてるよーな気がしてきたよー!」
「そりゃライラがバカだからなんじゃないか?」
レオが口をはさんだ。
「ひど!」
ライラがレオに抗議をしようと口を開いた時に誰かが声をかけてきた。
「あ、あの!!ライラ・クレイクさんですか?!」
「そだけど?」
「あ、あああの!あのあのあの!!」
前髪で片目を隠していて茶色の髪、眼で少し気の弱そうな感じの男子がライラに話しかけている。
「??」
ライラは彼が何を言いたいのかわからずに困っている。
フィリアは少し悩むとピーンと来たような顔でスススとライラの隣からレオを引きずってセノーテ達のところへ移動した。
「ほ、ほほ放課後っ!え、えええと、中庭に来てくれませんか!!少し話したい事があるんですっ!!」
顔が赤い男子はかなりの勇気を振り絞ってライラに伝えると、ダッとダッシュで廊下を走り去った。
「…これは、やっぱり?」
「そうだな。このお約束すぎるベタな誘い文句は…な。フィリア」
「だよねぇ~。ってかライラってもてるんだぁ」
フィリアとレオは顔を見合わせて含み笑いをした。
「へ?何の話?ってか今のって…」
「やっぱり告白?ってやつじゃない?」
「断るのか?」
「はい?いや絶対違うでしょ!!違うって、きっと違うって!!」
フィリアは面白そうにライラの顔を覗きこむ。
「フフフ、顔が赤いよライラ」
「!そ、そそそうかなぁ?」




