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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第9章 チョコと幻術かけるライラさんとお返しっ!?
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ホワイトデー

―ホワイトデー3月14日―


この日は男子が好きな女子に萌えな恰好をさせる日。…ではなくって。(それもあるけど)

女子が男子にバレンタインデーの恨みをはらす日。……でもなくって。(それもあるけど)

男子と女子の恋愛的な急接近が見える日。………でもな(以下略)


普通の人なら、バレンタインデーのお返しをする日です。


普通はね。普通の人の話です。例外がこの学校には沢山居るんですけど。


「さー、誰からくるかなぁ」

「はい、どうぞ」


フィリアがライラの目の前にクッキーを置く。


「今日はホワイトデーです。そんなのは分かってると思いますが、もう一度。今日はホワイトデーなんです。だからクッキーをあげたんだからね。ってか、どうして今日も学校が休みなの?もう良くない?バレンタインデーとやってること変わらないじゃん」

「そういう事を言うな――――!!女の子の…違った。男子が頑張る日なんだよ、今日は!!…いい、校長は…男だよ?!」

「あ…そういうこと」


校長はエロジジ…ごほん。女の子が好きなちょっと悪いお爺さんです。なのでこういう日は逃したりしないのです。


「で。クッキーありがとフィリア!」

「うん」


「よっし、教室に行くぞ!!」

「…」


元気いっぱいのライラにフィリアは着いて行く。


「行きたくない…」

「まーまー、そう言わずに!ほら、誰が居るかな!?」


ライラが教室を開けると誰もいなかった。


「おおおお!!」

「同じパターンですか…」



「いや、窓があいているよ!あれはきっと、レオだよ!戻って来たんだよ!!で、女子が怖かったから逃げたんだ!!」

「こういうときだけ鋭いんだな、ライラ」


レオがいつの間にか窓枠に腰掛けていて、呆れたようにライラへ言った。


「ふふん、それは最高の褒め言葉だよ、レオ!」

「…」



「ところでライラ。後ろに沢山居るクソ気持ち悪い男はなんだ」


レオがライラへ聞いた。


「へ?…」


ライラが何のことか確かめるために後ろを向く。


「…」


後ろを向いたライラは目をごしごしと擦ってからもう一度見直す。


「ライラ…現実だから、逃げないで」


フィリアが教室の扉から遠ざかりながらライラに言う。


「フィ、フィリア!どうしよっ!変な宇宙物体が沢山居る!」

「知らないよ…それにそいつら全員1年の男子だから。大方、バレンタインデーにかけた幻術を真に受けてきたバカたちじゃないの?ほら、ライラ失敗してたじゃん」

「はっ!!!そ、そういえば…そんなこともあったような!!驚きだね!?」


今まですっかり忘れていたライラ。


「逃げよ…ここに居てろくな事はない」


フィリアは窓から下りて逃げた。


「あ、ず、ずるい!フィリアだけ、逃げたー!!」


「お前が原因なんだからどうにかしろよな」


レオも窓から下りて行方をくらます。


残されたライラは途方に暮れて教室の中央に移動した。



そしてスゥと息を吸い叫んだ。





「よし…そこにいる男ども!!お礼の品はポラルにキス出来たら、貰ってやる!!」


「お、おおおおおお―――――!!」


バカな男子はポラルにキスするため教室の前から居なくなった。


「お?なんか上手く行っちゃった。ラッキーラッキー!」


ライラはスキップしながら先に逃げたフィリア達を捜しに校庭へ飛び降りた。



『ピンポンパンポン!!口で言ってもしょうがないけど…。

イエス!!今日は天気が良いね、女子の皆さん!今日はホワイトデー!!ホワイトデーは、女子が追いかけられる番!!まあ一部の人は違うけど。さあさあ、女子は何処に居るのかな!!

№1のフィリアはレオと校庭を横切って、旧校舎へ逃げようとしているよ!2のライラはフィリア達を追う形で校庭を全力疾走!3の…』


以下延々と続きましたので省略させていただきます。


「む、旧校舎か」

「追いかける」

「追いかけるに決まってる」


男子の会話を一部抜擢しました。


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