ナイスコントロール!
「どーしよ…」
「フィリアが先に逃げる。次、ライラをぶち殺す。最後、放送部の奴に死の宣告を届ける」
「レオ、黒い」
「ん?このくらい当たり前だ。やっと、やっと、父さんが帰って来て平和な生活が送れると思ったのに…!」
「ああ…」
何処からかチョコが飛んできた。
「へ…?」
丁度フィリアが喋ろうとしていたところで見事命中。
「さすが、ライさん!」
ライが投げたのは手にしていた媚薬チョコ。
「ふ、う…!?」
フィリアが最初に見たのは近くに居たレオ。
だんだん、顔が赤くなっていくフィリアにレオがため息をつく。
「…バーカ。あ、でもライさんだからしょうがないよな、うん。写真、撮りまくってるし?」
レオはフィリアをお姫様抱っこするとワープする。
「じゃ、な」
「あ、待て!ライさん!行っちゃいましたよ、いいんですか!」
「写真は撮ったから良い。それにフィリアが可哀想だろう」
さすがフィリアのお兄さん。と感心してしまったライラ。
「じゃなくて!くっそぉ!フィリアとレオがラブラブの写真は結構高く売れるんだよ?!撮り損なったぁ!」
言葉使いが悪くなったライラにライも苦笑するしかない。
「次は、ライ君よ!何気なく混ざっているもの!」
「次はライのバカ野郎だな!女子にモテやがって!俺は彼女なんていないのに!告られた事なんて無いのに!クッソォー!こくられても断りやがって!!あのフィリアちゃんの兄だし!!恨む、マジ!!」
女子と男子の狙いがライへ変更された。
「ちっ…逃げるか。じゃあ、元気でライラ」
ライは集団の中を全速力で駆けてあっという間に逃げた。
「早…!じゃなくてフィリア探し」
―フィリア達はー
「フィリア、しっかり…?」
「フフフ、なんか気持ちいー」
「…ファイナさん、悪趣味すぎる。なんで媚薬なんて持ってんだ?!驚きだね」
レオは膝の上にフィリアを乗せて髪を撫でながら呟いた。
ちなみに逃げやすい屋上に居る。
「ん~…」
フィリアは気持ちよさそうに目を細めた。
「さ~てと。ライラ、こそこそと見てんのはどうなんだ。出て来いよ」
レオが屋上の扉に隠れてカメラを連写しているライラに向かって話しかけた。
「な、なんで!分かったの!!」
「俺が気配に気がつかないと思ったか。ライラの気配は分かりやすいんだよ」
「むぅう…で、フィリアどう?」
「まだチョコの効果は出ていないな。それで?」
「いやぁ、聞いてみただけだよん!」
ライラはそそくさと屋上から消えた。
「なんだ…。ちょっと殺ろうかと思ったのにな」
レオが恐ろしい事をボソッと呟く。
「レオ~…好き」
「ん。ありがたく頂きます」
「大好き」
「ん」
フィリアが媚薬チョコの影響が出たのか、顔を赤くしてレオの正面に回りニコニコと笑う。
「あのね…」
「どうした?」
「えっと…」
フィリアはうつむいてぼそぼそと何かをレオに言う。
「…それはダメだろ」
「いいのぉ~!!」
レオが却下するとフィリアは駄々をこねた。
「さすがにそれは…」
「いーから!ね!」
レオは困った。
「いやさ、普段なら嬉しいけどね、媚薬チョコのせいだろ、それ。俺嫌だし…」
『再び!!『モテル奴に地獄を味わってもらおうゼ、イエェー!!』のコーナーだ!!えーと№3のフィリアが媚薬チョコを食べちったぜ!写真撮るなら今がチャンス!!屋上でレオと二人っきりだぜぇ!!うっひょー!!
№1のライは王宮に避難しやがった!!あいつズリィ!!!ルーピンの行方はわかんねぇ!!結界とか…ハッ!!』
「…良いタイミングで。今回は感謝をするとしよう」
レオが放送に感謝した。
「ん?なんで~」
「内緒だ。よっと」
レオはフィリアをお姫様抱っこすると屋上のフェンスを乗り越えて飛び降りた。
「ひゃあ」
「さー、逃げるぞ!」
「おー!!」
薬のせいでテンションが上がっているフィリア。




