チョコ渡し
―5分後―
「ちっ、甘かった!」
舌打ちをしてチョコを投げて行くライラ。
性格が少しばかり代わっている。
「……」
フィリアが無言なのはライラに引いているんじゃなくて疲れたからです。いいですか。
今、ライラに狙われているのはレンです。
「銑川家秘伝術!!止まれ~!!」
ライラが放った幻術にかかってレンがストップした。
「レン…可哀そうに。ライラを止められなかった、というかライラの考えに気が付かなかった私を許して…いやマジで」
レンが食べさせられたのは『ウサ耳チョコ』。ウサギの耳が生えてくるまんまなチョコ。
「うう…ラ、ライラ!!なななな…!!」
顔が真っ赤なレンを連写して幸せな時間に浸っているライラ。
「…次は?」
フィリアが飽きたのかさっさと終わらせよう的な雰囲気に。
「次は…レオ!丁度あそこの気で休んでるし!」
500m弱離れた木のてっぺんに近い所に居るレオを見つけたライラ。
「…」
フィリアは色々とあり無言をつきとおす事にしたっぽい。
ライラがダッシュしてレオのところへ行く。
フィリアもその後を追う。
「レオ、ごめ…本当にごめんなさい~!」
ライラの餌食になりかけたレオを見てフィリアがちょっと涙ぐむ。
「…フィリア?…ライラ、殺していい?いや本当に…俺、疲れてんだけど」
「ちょっと、それは…私も…その、チョコ、上げるから…!いや、あのね。これは材料が余ったってライラがいうから作った訳で、決してレオの為じゃな…い訳でもないんだけど。で、でも…勘違いはしないでよねっ!」
フィリアの弱ツンデレ発動。レオはうれしそうにフィリアからチョコをもらった。
「ありがと、フィリア」
「…!!うう…」
ライラが顔を真っ赤にしているフィリアと笑顔のレオの写真を撮りまくる。
『ピーンポーンパーンポーン!!って口で言う俺ってどうなの?!
え~本日はお日柄もよく~っと、んなのはどーでもいーわボケぇ!!今日はバレンタインだ、コノヤロー!!俺はもてないから放送委員なんだぜ、コノヤロー!!ちっくしょーーー!!モテル奴なんて全員地獄を見れば良いんだ!!うりゃ――――!!
今日の放送は題して『モテル奴に地獄を味わってもらおうゼ!!イエェー!』なんだゼ★
では、まずターゲット、№1生徒会長ライ!こいつは校舎の上に居るぜぇ!2のレオはムム…№3のフィリアからチョコもらってやがる!!ズリーズリー!!モテル男なんて…!!場所は校舎付近の木の下ダァ!!
4はウサ耳レン!2と3の付近で灰になってるぜ!今がチャンスだ諸君!!
5のルーピンは……………結界張ってやがるし、コノヤロー!!伊達に教師やってねぇってか、コンチクショー!!』
放送部の人による、一部の人にはありがたくて、これまた一部の人には迷惑かつ極まりない放送の一部でした。
「うわぁ!女子と男子がいっぱい来たぁ!!こ、怖い!さっきの放送何なの~!!」
前方から来る生徒の大群に気付いたフィリアが珍しく絶叫した。
「まあ、落ち着け」
「これが落ち着いてなんかいられるか!得体のしれないチョコなんざ、食べたくないもん!ライラも何とか…って居ないし!お前は誰の味方なんだ、ライラ~!!」
「しょうがないな。〝結界″」
レオがやれやれと結界を張り、チョコが飛んで来ないようにする。
「甘い!!〝落雷″!!」
何故か居たライによって結界は破られた。
「あ、兄上!?何故!!」
「…内緒だ」
ライは右手にカメラを構えている。左手にはチョコ。
「…姉上~!!クリスマスパーティのことは謝るからぁ~!!嫌ぁあ~!!」
なんとなくライの行為が何故なのか分かったフィリアが空に叫んだ。
「ライさん、ライさん。そのチョコなんですか!」
ライラも混ざっていてライに聞く。
「…媚薬チョコ」
「うわっ、えげつな!」
「お前こそ何ちゃっかり俺の部屋にチョコを届けているんだ?」
「え、えへへ」
ぼそぼそとライとライラは会話をしつつフィリアを狙う。
「うう~…泣いちゃう。むしろ泣きたい…」
「泣けば?結構な人が鼻血出して倒れるから俺としては楽」
「!レオ…そうなんだけどさ。一応、ね?」
「ああ。そうだな。で、どうするよ」
「どうするって…」
困った2人はこそこそと相談中。
「あ、ソフィー!セノーテ!このチョコあげるよ!大丈夫、普通のチョコだから!」
一方ライラはフィリアがこっちを向かないので暇なのか、通りかかったソフィーとセノーテにチョコを渡していた。
「フフフ…次はルーピンだね!幻術でぇ~〝三倍返しチョコ″!」
この時不手際があり、1年の男子生徒全員にチョコをあげる幻がかかってしまった。
「あらら、失敗」
1―3の男子はまたライラか…って流してその他は真に受けた。




