兄上、あねうえ…
プルルルル~ポルルル~
フィリアの携帯端末が音を立てて振動した。
「うわ…私電源切ったのになんで!」
フィリアはそれを嫌そうに取り、電話に出る。
「もしも…」
『フィリア!!クリスマスよ!クリスマス!!大変、お母さんったら忘れていたわ!!もう、どうして電話してくれなかったのよ!!フィリアの為の可愛いドレスが…(以下エンドラス)』
プチッ
なんだか訳のわからないようなことを叫んでいる青の国の王妃でもありフィリアの母でもある人物から、かかって来た電話をフィリアは遠慮なく切った。
「知らない…私は聞いてないんだ。あんな人が一国の王妃なんて、父上はどうかしている、絶対!!あれは嫌がらせ、きっと誰かの嫌がらせ…」
プルルル…プチ
再びかかって来た電話をフィリアは即切り、携帯端末の電源も再び切った。
隣に居るライラは苦笑している。
「うん。外にいるファイナ姉上の怒っている気配も幻…」
「それは違うでしょ、フィリア!」
ライラがフィリアに突っ込みを入れた時、ファイナが部屋に乱入してきた。
「フィリア~!!お前は、お前は、あの人を!!押し付ける気か!」
「ち、ちが…!!い、いひゃい!」
フィリアはファイナに頬をつままれて涙目になっている。
「は、はへふへ!いひゃいへふ!ふまままいへ~!(あ、姉上!痛いです!つままないで~!)」
「うむ。可愛いから許す。フィリア、お前が母上の電話を途中で切った上に、電源まで切るから母上が半狂乱になって訳のわからない事を叫んでいる。どうしてくれるんだ?苦情の電話がリラン兄さんの元へ殺到して兄さん、死にかけているぞ」
ファイナはフィリアの頬を放すと真面目な顔をして言う。
内容はあれだが。
「それは…」
ライラは困った顔でフィリアを見ている。
「いいですよ…母上の苦情なんて母上が王宮前の広場に出て笑えば収まるじゃないですか。リラン兄さんなんて、殺し…助けてあげるのがファイナ姉上の役目でしょう」
「フィリア…今、殺しとけって言った?何、僕のこと嫌い!?」
問題…のリランが居てフィリアの頬をつまんでいる。
「いひゃい~!!ヒハンはひふへ、ははひへー!(痛い~!!リラン兄上、離してー!)」
プルル~
リランの電話が鳴る。
「はい…はい?父上が…!?あの、クソ親父…ゴホンゴホン。両親揃って僕を殺す気かー!!」
リランは電話してきた人の話を聞くと絶叫して頭を抱えた。
「くそっ…こんなとこで油を売っている暇はない。クリスマスだろうが、今年中に終わらせなければいけない書類が山になっていたら関係が無い。ファイナ、行くぞ」
「…兄さん」
「拒否権はないと思え。フィリアも…」
「ごめんなさい!ごめんなさい!謝るから!それだけは嫌ぁ~!!」
フィリアはリランの言葉におびえ、ライラの後ろに隠れた。
―そんなこんなで、12月25日0時00分―
「行こうか。プレゼント渡しの旅へ!」
「ふぅ、うん。じゃあ…レオのとこから!」
「了解!〝ワープ″」
―12月25日7時30分ごろ―
「何これ~ギャアアアア!」
ライラからのプレゼント㊙を開けたポラルの悲鳴が大陸中に響いたとか…。
「ホワワワ~ン」
同じくライラからのプレゼント㊙を開けたルーピンは幸せそうな声をあげた。
―フィリア達の元には―
「あ、フェカからだ~!」
ライラが枕元に置いてあるフェカからのプレゼントを見つけて若干嬉しそうな声をあげた。
「え、嘘!!見せてっ!アイツがプレゼントなんてっ!!」
フィリアがライラのもとへ這っていってフェカのプレゼントを見ようとする。
「ダメだ」
が、いつの間にか現れていたフェカにフィリアは、はがいじめされた。
「え~見たい~!」
「…くだらないと思ったら燃やせ。思わなかったら早くしまえ!」
フェカはプレゼントをゴソゴソとみているライラに珍しく真剣に言う。
「オーケー」
ボォとライラはプレゼントを燃やす…ふりをした。要するに幻術をかけて燃やしているように見えるようにした。
「あ~!あ~!」
フィリアがフェカに抱かれたまま、悲しそうな声を出した。
「…」
そんなフィリアを見つめるフェカとライラは、幻術だから…と思っている。
意外とフィリアは幻術に弱い、ということが発覚した。




