体育祭1日目~休憩時間~
「待てよっ!」
「待てって言われて待つバカはいない!!」
フィリアがどっかに消えた。レオは伸ばした手を見てから頭を掻く。
「バカだってさー」
ライラがレオに近づいてクフフと笑う。
「まあ、いつか戻ってくるだろ。責任感は一応強い奴だから」
「ふぅん。レオさ、本当にフィリアのこと好きなの?」
「好きだけど何か?」
しれっとレオが答える。
『おおおおおお!!!!』
放送部のうるさい放送。
「だってさ、フィリアに逃げられているじゃん?」
「いや、逃げられては…」
「今のを逃げられたと言わずに何と言う!!」
「いつものことだろ?」
「えー、いつもの事なの?って、あれマデュラじゃん!何でこんなことろに!」
ライラが遠くの方に居る赤茶髪の妖しげな男を見つけて驚く。
「あっちは…フィリアが走って行った方か」
「走って行った方かって何呑気に言っているの!!フィリアが危ないじゃん!」
「いや、あっちにはライさんがいる」
「ライさん?強いの?戦っているのを見たこと無いけど」
「酷いいいようだな。ライは強いぞ」
ファイナがライラの背後にそっと忍び寄って言う。
「うわっ!て、え、ええー!!なんでファイナさんが!!」
ライラが驚いて飛びさする。ファイナはライラに呆れてからレオに礼を言う。
「…レオ、魔物の退治と妹の世話御苦労」
「あ、はい。いや、別にこれくらい」
「いいんだ、で魔物の死骸は何処だ?」
「…何処かに送りましたが、多分消滅していて障気も発生してはいないと思います」
「そうか。で何処に送った?」
「いえ、だから消滅させたと」
「何処に送った?」
「…赤の国の郊外に位置する森に」
レオがファイナに詰め寄られて渋々白状した。
「赤の国?ならいいか。でマデュラがいるとかいうのは?」
「ああ、あそこに…居たと思ったんですが、消えましたね」
レオはマデュラがいたところを指してから居ないのを見て考えた。
「おそらくフィリアのところにでも」
「そうかそうか。じゃ放っておこう。それじゃあな」
ファイナは来た時と同じようにパッと消えた。
「なんで皆フィリアなら大丈夫とか言って行っちゃうんだろう?危ないじゃんフィリア」
「まぁヘタに手を出すと怒られるからな」
レオが困ったように言う。
「フィリアのところに行こう。心配だよ」
ライラがレオを引っ張ってフィリアが走って行った方に行く。
「あ、いた!フィリアー!」
「ん?ライラと…レ、レオ!?や、わー!!」
フィリアが2年生の輪の中に捕まっていたがレオを見て逃げた。
「…逃げられているよ?」
「そうだな」
「あ、ライの可愛い妹さんの友達?!」
「え、はい?」
肘までの長さで薄い水色の髪、蒼い瞳の着物を着ている女子がフィリアを追おうとしたライラの手をつかんで2年の女子の輪に引きずりこむ。
「すまんなレオ」
遠くで見ていたライがレオへわびに来た。
「…誰ですかあのはっちゃけている人」
「ツララ・ブリザードって言う、迷惑な女子だ。非常に迷惑な奴だ」
迷惑を強調して言うライ。
「それは…」
「ラ~イ~、フィリアちゃんは~?かっわいーよねーあの子」
ツララがライにライラの手を握っていない方の手を振った。
「…」
レオが無言でライを見る。
「言うな、分かっているから言うな」
「って、わー!!姉上放して!!」
フィリアがファイナに捕まって強制送還されてきた。
「ダメだぞ。おとなしくレオの隣で座ってろ!」
どさっとフィリアがレオの隣に倒れこむ。
「うう…」
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫だから!!」
レオに顔をのぞきこまれたフィリアが後ずさる。
「?」
「ああ!!見つけたぞ!我がフギャ!」
マデュラがフィリアを発見して走ってきたら何かを踏んでこけた。
「ダサッ」
「何やってんだろ、あいつ」
「さあ?」
「とりあえずマデュラは赤の国に帰すか」
ファイナがマデュラを連れて消えた。




