ライラ激昂
「はっ!!いっ!!うわ~ん!!」
ライラが覚醒して一瞬前のことを思い出し叫ぶ。
「な、泣かないの。フェカはいないから!!」
フェカはライラが起きたのを見るとフィリアの中に戻った。
「フィリアさっきまでフェカとラブラブしてたぁ!!見えたよ、フェカに押し倒されて笑ってた。うわ~」
「え、ちょ!ま、そ、それは!!」
「へへ~ん。フィリア、私も大好きだからね!!フェカになんか負けないほど大好きなんだから!!」
ライラがマデュラを見つつフィリアに叫ぶ。
「は…?あ、はい。どーも…」
喜んでいいのか分からなかった人。
「オイそこの…名前なんだっけ?」
「マデュラ」
「うるせー。知ってるよ、そんくれー!!」
ライラぶち切れている。何に怒っているのかは謎。
「…ライラ、落ち着こう?」
「落ち着いてるし!!ってか何、寿命が後10年しかないって!!なんな訳!!」
ライラが切れていたのはフィリアの寿命の件でした。
「しょうがないよ…色々と問題がある体だからさ」
「しょうがなくない!!しかもさっきの魔力の暴走で縮まったかもだって?!ふざけてんの!!」
「それは…だって…」
「いい訳をするなー!!」
「俺を無視するなー!!」
マデュラが怒鳴る。
「うっせー!!狐!テメーの幻術解いたる!!お父さんっ!!お母さん見っけたけど幻術にかかってんの!!助けて!!」
ライラがフェルオールを召喚する。
「ま、ちょ、こんな狭い所で喚んだら…」
フィリアが止めようとする。
「え、いーよ。全部壊したる!あははは!!」
フィリアが止めようとしたのも空しく、フェルオールがのんきにやって来た。
「娘よ、プリラを守っておいてくれ。後は全て我がやる」
「私もやる~。お母さんはここに居るし…居ろよーしばっとこー」
ライラが縄を取り出しフウラを縛った。
「母親にそんなことするか?」
「…フォルティナール!お母さん頼んだ」
フォルティナールもいました。
「承知~」
「…あ~あ」
城がバキバキ不吉な音を立てているのを見てフィリアは額に手を当ててため息をついた。
「おいっ!!城が壊れるだろっ!!」
マデュラの抗議を聞いてライラがズイっと近寄った。
「幻術かけたのあんただよね」
「それがどうしたっ!!」
「うちの学校も?」
「それが何だ」
「幻術ってさー幻を見せる術だと思うんだよね、多分」
ライラが拳を握って力説し出す。
「だからなんだ!」
「幻と現実って別だろってことでさぁ、術を現実に出さないでくれる?しかも、赤、赤、赤!!」
フィリアが結局何が言いたいんだろ?って感じで聞いてる。
「ぜーんぶ真っ赤かー!!気色悪い…とっとと解くか、死んでくれない?あ、ちなみに私としては後者をおすすめするよ?」
「…やっぱそうなるのか」
フィリアはライラの力説に凄く納得した面持ちで言う。
「そういう訳にはいかないのでね」
普通はそうですがライラには通用しなかった。
「こっちはそーゆーわけにはいかないんだよっ!!」
「…当たり前だよね。困るしね、私が。私が困るしね」
私がのところを強調したフィリア。
「ま、目的さっさと達成して帰ろー」
「おー!!」
拳を振り上げて叫ぶライラとなんとなく流れで叫んだフィリアでした。
「白!待機!」
ライラが宙に叫ぶ。
「は?何してんの?」
「ん?逃げる準備」
ライ達もセノーテを救出しだし、合流。
「…聞くまでもなさそうだが一応聞いておく。大丈夫か?」
一目見てライは疲れ気味にフィリアに聞いた。
「はい!というか兄上どうしてここが…?」
「どうしてもくそもない!壊れているところに来たんだ。うん、その通りだったしな」
「壊れっ!?…壊してるのはライラですよ?私は壊してなんかないです…」
「まぁ、リラン兄さんも言ってたぞ。フィリアを探すのは簡単だって」
「え…?ど、どういうことですか?」
恐る恐るフィリアはライに尋ねた。
「厄介事があるところの中心に居るから…と」
「ひ、ひど…いですね、兄上!私だって、私だって!呼びたくて呼んでる訳じゃ!」
ほのぼの兄妹会話に突入したフィリアとライにセノーテとレンが声をかける。
「あのぉ…ご迷惑おかけしましたっ!!」
「そんなことより、あの人たち止めた方が…」
レンはライラが破壊している城を心配している。
「おー来たかー」
ライラが城というか塔の破壊を中断させ会話に加わる。
「大丈夫なの?」
「任せなさいっ!!と、その前に赤の国の第一王子…名前忘れたけどノックアウトしてからじゃないと。お母さんにかかっている操り魔法解かないと」
わざとらしくマデュラの名前を言わないライラ。
「だからっ!!マデュラ・ファンカレイラだってーのっ!!」
「どーでもええ!〝眠れ、イリュージョン!!月読″!!」
ライラが幻術をマデュラにかけた。
パタとマデュラが倒れた。
「うわー、むな!倒れ方…」
「そぉ?」
「だってもっとこー…血ぃドバァって噴出させた方がカッコ良くない?」
真顔でサラッと恐ろしいことを言ったフィリア。
「…そういう問題の前に増援来るぞ。逃げないのか?」
ライがワーワーギャアギャア騒いでいる二人に言った。
「そーそー、ね、フィリア。手段問わないから屋根吹っ飛ばして」
ライラがフィリアに頼む。
「え、あ、はぁ、えーと…〝ド派手に爆発″!!」
ドッカ~ン!!!
屋根が石造りなのにもかかわらず粉っ派微塵に砕けた。
「おー、さすがー!!」
「屋根壊して…どうするのさ!!余計に場所が…」
レンが真面目な意見を言う。
「んー?逃げるためだよー、ギレン、ペレネン、ヒューヤ出てきて!!」
ライラが宙に叫ぶ。
パーっと空からペガサスが3匹来た。
「お久しぶりーライラ」
一匹だけ黒いペガサスがライラに話しかけた。
「紹介するね。この黒いのがギレン、左がペレネンで右がヒューヤ。皆ペガサス。ギレンが私とフィリア、ペレネンは体が大きいからライさんとお母さん、ヒューヤはレンとセノーテを乗せて。OK?」
「分かった、乗るんだ!!」
パタパタと一行はペガサスに乗せてもらって赤の王宮を後にした。
フェルオールとフォルティナールはライラが乗る前に帰した。
道中フィリアはギレンに聞いてみる。
「え~と、ギレンさん。黒いのって染めてるからですか?」
「おぅとも!俺の黒いのは染ってからさ!」
「…へぇ。驚いた。ペガサスは純白なのを誇りにしてるって聞くのに」
一瞬フィリアは目を見張ったが何事もなっかたかのように聞き返す。
「あー…そーいうのは古くせー長老たちだけだな~。若い奴は黄色かったり色々だ」
「ふぅん。あ、そこを突っ切ると近いですよ、雲の上」
「おー!」
―で、緑の国―
「今日はありがとー」
「おうよ!」
元気にあいさつを返して消えたのはペレネンとヒューヤ。
「あれれー、あなたはギレン?私のかわいい娘を預けた…」
いつの間にかフウラが目を覚ましていた。
「そーですよ。こいつなら立派に育ちましたよ」
「こいつ呼ばわりされたー!!」
ギレンも帰った。
フィリアがしみじみと呟く。
「そういえばライラ良く魔力持ったね。そんなに魔力ある訳じゃないのに。ってかペガサス呼ぶの龍の次に大変だよね?」
「ははっ、そのとーり。ってか龍2体で精いっぱいだから〝白待機″って言ったでしょ。あれは自分で来てって意味」
「オー、いいなそれ」
「今度リィにもやってもらえば?」
「…やめとく。後が恐い」
「ハハハ。だろーね」
のほほんとした会話をしつつ、銑川家に到着。
「ラキー、お姉ちゃん帰って来たわよ!!」
フウラが待っていたラキに言う。
「え?」
「…ちょっとこっちにおいで」
ライラが戸惑っているラキを見て説明する。
「お、お姉ちゃん帰って来たんだー、お帰りー!!」
説明してもらっても戸惑いを隠せないラキ。
レオもいた。
「お、フィリアお帰りー」
「え。な、何でここに!?」
「んー、視察?」
最もらしいことを言うレオ。
「…と言う名のサボりだね。分かったよ」
「な、ヒド…」
ライラは二人を見ていて口には出さなかったがお似合いじゃんと思い舌打ちをする。
赤の第一王子の目論見はとりあえず潰えた。




