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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第26章 最終的に
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ドッジボール(も)、再び!

「は、はじめっ!!」


引っ張られて審判をやらされることとなったライラは、ひきつった声をだして開始の合図を出す。


「投げるぞ」


宣言をしてからライはレオめがけて思い切り投げつける。


「…」


サッとレオは上体を逸らしてボールを避ける。


「見っ、見えねぇ!!」

「今、投げたっ!?」

「って言うか、それを避けられるレオ君って…」

「凄いですねぇ」


遠巻きに見ていた生徒たちは思い思い話し出す。

ボールはそのまままっすぐに飛んで行って、後ろの外野(ポラル)に当たった。


「ライさん、ヒトにあてないでください。外野は一応味方です。人が死にます、強制整形されてしまいます」


後ろ向きにたおれて起きあがってこないポラルを見たレオはライへ言ってみる。


「そうか。気を付ける」





気を取り直して2球目。

ライが投げたボールをフィリアは何とか受け止めた。


「と、止められた…手、しびれてる!兄様!!ドッジボールは無謀!やめよう!!」


やっぱり無理だよ!とフィリアは泣き言をいう。


「いや、楽しいからいいだろ。ボールかせ」


乗ってきたレオがフィリアからボールを貰って、外野の場所を移動していたポラルへパスという名の剛球を投げつけた。


顔面直撃。

沈黙が落ちる。


「あ、明らかに狙ってましたね」

「ですね」


コソコソとライラとユメがこれ見よがしに囁き合う。


「あー…すまん。手元が狂った。本当は頭を狙ったんだが…ま、いいか」

「手元狂ったのそっちかよ!?」


クライトがレオのつぶやきにつっこみをいれる。


「ドッジボールってさ、ヒトにボールあてても怒られないんだもんね。考え出した人相当あざといよね」




3回戦目。間違えた。3球目。


「行くぞ」

「はい」


ボールが超特急でレオとライの間を行き来する。


「ね、ライラ」

「なんでしょ、フィリア」

「ナルシス君は?」

「あそこにいるよ」


皆に無視されているアレクサをライラは指し示す。


「おお。レーオー!!」

「なんだ、フィリア」

「ボール頂戴!」

「はい」


軽くレオはボールをフィリアに向かって放る。

キャッチするなりフィリアはアレクサめがけて振りかぶった。


「銀の君!愛のボールですねっ!」


嬉々として当たりに行ったアレクサを見て、ライラは一言。


「ちょーポジティブー」



「ですねー」

「気持ちわるっ」

「リアル残念な美形…」

「レオアレフラグ!?」


なんにでも腐要素を見つけ出すのが腐女子の皆様。

例のごとく、ワクワクと腐った視線をレオへ向けます。


「フィリア、なんだか悪寒がする」

「…そうだろうね」


レオにすがられたフィリアは腐女子が集まる方を見て頷く。


「こ、これはこれで…」

「「「いい!!」」」


いい絵が見られたので、腐女子の方へグッジョブ!と数人が親指を立てる。


「フフ」

「ウフフ」

「ウフフフ」

「イヒヒヒヒ」


クスクスと腐女子の方々は妄想の世界へ沈んでいく。


「……。…お前のクラス、大丈夫か」

「多分、もう遅いと思います」


フィリアは明後日の方向を見て答えた。



収拾がつかなくなったところでドッジボール、終了。


「2限目は、魔法歴史学だ」

「え、ええ…ええ?」


フィリア、思いがけない運動をして息切れ中。


「なさけないな、フィリア」

「兄様みたいに体力宇宙じゃないんで」


パタパタと体操着で仰ぎ、フィリアは汗をぬぐう。


「フィリア様!!」


聞き覚えがあるような気がしなくもない声がして、フィリアへ真っ白なタオルが降ってきた。


「今の声って」

「セイロウ、なにをして…いや、いい」


ライは、知らなかったことにするみたい。


「ありがと、セイロウ。あとで遊んであげる」

「フィリア、誤解を招く」

「あ、ワンコの姿ね」


虚空へと手を大きく振るとフィリアは新品に見えるタオルで汗をぬぐった。


教室で、休憩中。

「あつー・・・とろけちゃう」

「はい、冷たい水だ」


ぐったりとするフィリアの額にレオはペットボトルを当てる。


「ひゃ、冷たー。ありがとレオ」


フィリアが一口飲んだのを見て、レオはにやりと笑う。


「なに?」

「いや、それ俺も飲んだから?」

「ぶっ!?ゲ、ゲホッ・・・ゴホゴホ・・・む、むせた。い、いきなり何を!」

「間接キスだね」

「ライラはちょっと黙って!」


とかいうやりとりがあった。


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