お泊りといえば定番の、アレ
って思うのは私だけでしょうか?
「さて、今日の予定は?」
「ええと、宿泊場所は、野宿ですの!」
えへんと胸を張ってリンゴが言った言葉で、場が白ける。
「なんでまた」
「だって、テントでみんなでお泊り!とか夢じゃないですの?」
「…なんかわかるかも」
フィリア、リンゴに共感。
という訳で、夜。
「男女で分かれますの」
「そりゃそうだろうな」
用意したテントは2つですから。
なんで、一行は男女に分かれて就寝準備を。
「ねぇフィリアさん」
「なんでしょ、リンゴさん」
「夕飯はどうしますの?」
「…作れ、と?」
無言でリンゴにそう伝えられた気がしたフィリアは、パンパンと手を叩き道具を空中から取り出す。
「フィリアー!!何作るのー!?」
すぐさまライラが目をらんらんと輝かせてフィリアに尋ねる。
お泊りと言えば、定番の。
「カレーだけど」
「そっか!手伝う!」
「ありがと。じゃあ、ウサギ狩ってきてよ」
喜色満面でフィリアはライラに言った。
「わかった!…あれ?あれれ?」
「お願いね、ライラ」
「うん!」
何かが違う気がする…とライラは首をひねるが、フィリアにもう一度頼まれたので頷くと風のような速さで山の奥へ駈け出して行った。
それを見送るとフィリアは腕まくりをして、魔法を使い料理ができるような空間をその場に作り上げる。
「フィリア、俺も何が手伝おうか」
「あ、うん。野菜切って」
レオの申し出にフィリアはニッコリ笑って、包丁を指す。
「カレー、だな?」
「そうだよ」
「わかった」
念のため確認してからレオは見事な包丁さばきで、フィリアが取り出した野菜を切っていく。
「さぁって、とー」
ルンルンと歌を歌いだしそうな雰囲気でフィリアはレオが切った野菜を炒めていく。
「エプロンはしないんですの?」
「した方がいいの?」
リンゴの残念そうな声にフィリアは振り返って尋ねてみる。
「やっぱり、お料理のときはエプロンをしないと…ですの」
「そうなの」
リンゴの持論に頷くと、フィリアは青いエプロンドレスを空中からつかみ取って身にまとう。
「ナイスですのっ…!!」
萌える絵柄にリンゴは鼻を押さえてサムズアップする。
「フィリア、切り終わった」
「フィリア、狩ってきたよ!」
レオが野菜を全て切り終わるのと、ライラがウサギをとってきたのはほぼ同時だった。
「ええと…ライラ、ウサギさばける?」
「…ゴメン、それは無理」
ウサギのつぶらな赤い瞳と目を合わせてしまったライラは、ううっと呻いてフィリアの問いに答える。
「レオ、お願いしてもいい?」
「任せろ」
フィリアにお願いされたレオは、ライラの手からウサギを奪い取り森の奥へ消える。
「あ、消えた!?」
フィリアは、レオの気遣いを感じて笑顔になる。
「そりゃ、ちょっとね?」
後ろでワーワー騒いでる男子やら女子やらを見て、ライラはレオがなんで消えたのか察する。
「そりゃそうか…レオとかフィリアとかは平気かもしれないけど、うさぎさん、殺して下処理とかしなきゃいけないんだもんね」
「うさぎさん!?キ、キャラじゃな…」
ライラから漏れた単語にフィリアは眼を丸くする。
「って言うかウサギもっととってくれば、焼き肉できた?」
「解体すんのが面倒だからやめろ」
ジュルリと涎をすすったライラを、ウサギをばらし終わったレオが止める。
「…へい」
納得いかなそうにライラは頷いた。
「カレー…あ、ラックどうした?」
『カレー』が『彼』につながったフィリアは、ライラに尋ねてみる。
「テント張ってるよ」
ライラはラックの居場所を指し示す。
「ああ、本当だ」
「フィリア、野菜を先に痛めていたが、良かったのか?」
「だいじょーぶだいじょーぶ。ウサギ肉は、こっちで焼くから」
手の平に青い炎を表すとフィリアはレオから受け取ったウサギ肉を放り込んでいく。
「フィリアの手より大きい肉が炎から出てこないよ…」
「そういう魔法だもん」
「便利だね…」
何となく釈然としない面持ちでライラは片付ける。
「焼けた」
こんがりと焼き色がづいたウサギ肉をフィリアは鍋の中へ入れていく。
「上手に焼けましたー!」
わーい!とライラははしゃぐ。
「それでー野菜は炒められてるしーだから後は水いれてルーいれてじっくりコトコト煮込むだけ!」
ふふん、とフィリアは軽く胸を張ってえばる。
「かわいいが、白米もな」
レオに言われて初めて気づいたかのようにフィリアは目を丸くする。
「あ…」
「そこ、忘れたの!?」
重要なところを忘れていたフィリアにライラは、ドジっ子だー!と叫びかけてとどまる。
白米炊いて、カレーが完成して。器に盛り終わり。
「「「「「いただっきまーす!!」」」」」
パクパクとカレーライスを一行はたき火を囲んで食べていく。
「うわ、オイし!」
「おいしい!」
「流石フィリア様」
「この肉何の肉?」
「うさぎだよー」
などなど。和気あいあいと会話が交わされるのだった。




