緑の王宮にて
剣さんが驚いてひざまずこうとするのを彼は止めさせてフィリアの方に向き合った。
「話は聞かせてもらった!お前がそれを言うか?」
「…へ。フ、フフフ《ばらしたら即殺すからな!黙ってろよ!》」
「お前がそれを言うか、と聞いているんだ。答えろ」
「いいじゃないですか。これもそれも全部愛しの第3王女の為なんですから、ね?《演技にも合わせてよ!》」
笑顔のフィリアに同じく笑顔の王子。周囲の人は軽く引いている。
「…王太子殿下?」
「それはやめろ。俺には…いやいいや。フィリア、お前に客だそうだ。さっさと来い」
「む…後ろから誰かがひたひたと、着いてきている…《つーか、いつから聞いてた、このストーカー!!》」
「銑川フウラだろう。さっきばったり会ったもんだから連れてきた《内緒だ内緒。それより後で俺の部屋に来い》」
「あら?王太子様もここに御用でしたか~。ただいまラキ!」
フウラが王子の後ろからヒョコッと顔を出した。
ラキとライラにそっくり。
「お帰りお母さん。何処居たの?」
「うん…娘其の一を白の国に届けに行って…届けに行って…どうしたのかしら?赤の国に寄ったところまでは覚えているのだけど」
「記憶喪失&行方不明だったと。なるほど」
ライが結論を出す。
「そうみたい。うーん…」
悩みだしたフウラをほっといてフィリアは王子に聞く。
「あ、それで王子私に客って…?《いやだ!誰が行くか!!》」
「青の第一王女殿だ。あ~ええと、ライとライラとレンとセノーテも呼んでいた」
ライは当然だなと言う顔をしてセノーテとレンはえ!って顔をした。
「ちょ、ちょっと待って下さいよ、王太子さん!な、なんで僕の名前を知ってるんですか!」
「ん?ああ、それは第3王女から話を聞いているからな。身元とかも調べたし」
普通に言った王子にしばらくレンの思考回路が停止した。
「ま、そういう訳でこの5人借りるぞ、第一班班長」
「は、はい!」
剣さんが神妙な顔でうなずいた。
「あと、フウラさんも行かない?」
フィリアが聞く。
「わ、私は、その…」
「あ~うん、わかった」
「フィリアいいな?」
「はい」
「〝ワープ″」
王子がワープをかけて一行は緑の王宮へ。
「毎回思うけど、凄いよねぇ」
木造建築で凄く和風な王宮。
「こういう家は手入れが辛いんだぞ、フィリア」
ライがフィリアに言う。
「ねー、フィリアはさぁ」
「うん、私がどうかした?」
「…いーや、何でもなーい!」
「いいんだけどさ。そう言われるともっと気になるじゃん!」
聞いておきながら何も言わないライラに焦れるフィリア。
「いやぁ。好きな人いんのかなぁ、なんて思った…はっ!」
うっかり本音を漏らしたライラ。
「……」
「ふっ」
沈黙するフィリア&王子。
「兄上!い、今鼻で笑った…」
「気のせいだ。気のせい」
「しまった…つい本音を。で、どうなのフィリア?」
「い、いるわけが…」
チラッと王子の方を向いてフィリアはうつむいた。
「お?おお!!」
なんか嬉しそうな王子。
「え?も、もしかして…」
「ち、違うぞ!わ、私はレオが好きな訳じゃないからな!!」
顔を赤くしてフィリアが叫んだ。
「…いや」
王子が少し悲しそうな顔をする。
「まだ何も言ってないよ、フィリア~」
「あ!し、しまった…」
フィリアをいじれて嬉しそうなライラ。
セノーテはこれを見るとレンを連れて横道に入った。
「ちょっと、レン君!」
「な、なななな何?」
「フィリアとライさんって何者なの?!」
レンにつかみかかるようにしてセノーテが聞く。
「…何で僕に聞くの?直接聞けばいいじゃないか」
レンはフィリア達の正体を口止めされているのでそっぽを向く。
「…べつにいいじゃない。私の勝手でしょ」
セノーテはセノーテで顔を赤くしてそっぽを向いた。
主人公そっちのけでラブコメっている二人。
「あっ、いけないセノーテ。はぐれたみたいだよ、追いかけないと」
「あ、うん。そうだね、行こ」
―フィリア達は―
王宮の内部辺りまで来た。ついでにセノーテ達も合流。
「何処行ってたの~?」
「ごめん、諸事情」
ライラにセノーテが謝る。
「ププッ、こういう時ってたいがい告ってたりするんだよねぇ…」
後ろを向いて呟くライラ。
「なっ」
「バッ、だ、誰がこいつと!」
「顔が赤いよ…」
レンもセノーテも反応してしまったから、ライラが面白がっていじるのを始める。止める人はいない。
「あ、ここ左だ《無理矢理でも連れて行くから、な?ほら、誕生日プレゼントとか》」
「《はぁ?何いっちゃってんの?この暑さで頭までいかれちゃった?》」
こっちはこっちで誰も止める人がいない。
「そ、そんなことない!」
「ほらぁ~、ヒューヒュー、お似合いだよ~」
息ぴったりで否定するセノーテとレンにますます調子に乗りライラははやし立てる。
「どうでもいいけど、逸れかけているぞ」
ライが3人が離れているのを見て言ってはダメなことトップ10に入りそうなほどの禁句を言った。
「なーもういいよな?」
王子がフィリアに尋ねる。
「え?あ、いんじゃん、別に。セノーテ。ここで起きたことは全て内緒だからね。いい?」
「あ、うん!」
セノーテが頷いたのを見るとフィリアは今までの丁寧な態度を拭い捨てた。
「レオ、何が予想だ!全部合ってんじゃんか、バカ野郎!」
王子もといレオに蹴りをくらわせようとするフィリア。
「え?え、ええ!!ちょ、フィ、フィリア?!な、何やってんの!あ、相手は王子様だよ?」
驚くセノーテ。
フィリアの足はレオによって完全に防がれていた。
「べっつにぃ~関係ないし。ね~レオ!」
「まぁ、そうだな。中学卒業したら結婚だし?」
「!忘れてた~!!や、やだよ!私逃げるからね!せめて高校は行きたいな…」
「俺はいつでもいいんだけど」
「う~ん、父上に頼んでみようかな?高校まで行きたいです!って…」
「好きにしろ。どうせ、俺も巻き添えにされるんだろう」
ライが呟く。
「フィ、フィリアって一体…」
まだ混乱中のセノーテ。
「フィリアは青の第3王女だよ、セノーテ」
レンが説明してみる。
「そ、そうなんだ…」
「ところで、姉上は?」
「そこの部屋だ。待ってるぞ、かれこれ一時間くらい」
レオが部屋の扉を開いてフィリアを先に入れる。
「よぉフィリア。待ってたぞ」
部屋の中央に置かれた椅子に、肘までの明るいストレートで肘までの赤髪、海よりも蒼い瞳の20代女性がふんぞり返って座っていた。




