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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第26章 最終的に
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悪巧み

最終章へと突入しました。・・・多分。


「そろそろさ、…なわけだ」

「そうですね」


とある貴人の部屋に呼び寄せられたライラは、頷く。


「だから、頼んだぞ。我らの繁栄のためにも!」

「…そうですか」


ちょっとそれには同意しかねたので、ライラは言葉を濁しておく。


「ところで、学校は楽しいか?行ったことがないんでな」

「あー…ファイナさんが行ったところで面白いとは。まぁ楽しいですけど」


羨ましそうにファイナに尋ねられたライラは肯定する。


「…そういうものか」

「羨ましいですか?」

「いや。どういうものなのだろうかと思ってな。そもそも王族が学校に通う必要はないんだ」

「ですね」

「とにかく、頼んだからな」

「はい」


こうしてライラとファイナの間で密約が交わされた。

















まっすぐに伸びた金髪を弄りながらつまらなさそうに少年は目の前に広がるモニターをその赤い瞳で見つめる。

ふと、視界の隅に映った銀色に彼は惹かれる。

それは、彼が知るモノの中で一番美しくて強く凛としていて。

どうしようもなく、壊してしまいたくなるのを彼は感じた。


「ねぇ校長」

「なんでしょう?」


校長室にある監視カメラ確認モニターに映る少女を見て、彼は校長に話しかける。


「彼女を貰ってもいい?」

「それは叶えられないと思います。いくらあなたでも」

「なぜ」


校長に否定されたのが不服な彼は、機嫌を悪くする。


「彼女の隣に立つ方は、定まっております故」

「それは誰」

「ご自分の目で確かめるとよろしいかと」

「そうだね。そすることにするよ」


カツ。と足音を響かせて、彼は校長室から退室する。














「フィリア、髪を切ろう」

「ん?いいよ。ちょっと邪魔だったし」


授業が退屈すぎて遊び始めたレオに突然言われたフィリアは快く承諾する。


「どのくらいまで切ろうか」

「そうだね…肩甲骨あたりまでバッサリ切っちゃおっかな」


フィリアは少し考えてから、切る位置を指す。


「それはもったいない。せっかく腰まで伸びてるんだから」

「…レオの満足する長さで良いよ」

「ああ」


はさみを取り出したレオは、フィリアの髪を切っていく。


「ちょ、そこ授業中!?」


ユメに小声で叫ばれ、レオはヤレヤレとあきれる。


「俺は学校に通う必要なんかないって主張した。こんな授業聞いていても何の得にもならないだろう?」

「とかいって。言ってる内容は全部頭ん中入ってるんでしょう」


レオに髪を弄らせているフィリアは、笑いながら言った。


「…そうだな」

「ほんっとレオはフィリアにだけは甘いよね」


付き合いきれないっという風にユメはレオに言って後ろに体重をかける。


「大きな貸しがあるからな」

「それがなかったら?」


ちょっと浮かんだ疑問をユメは素直に口に出す。


「……どうだろうか」

「えっ」


レオは考えたこともなかったのか即答しない。


「フィリア、聞いた?大きな貸しがなかったらこんな関係になってたかもわからないんだって」

「んー…フフ。そうだね。大きな貸しがなかったら、会わなかっただろうし?でもね、ユメ。実際は大きな貸しがあるんだからいいんだよ」


余裕たっぷりの笑顔を浮かべ、フィリアはレオの肩に手をかける。


「そっか。もし、もの話だもんね」

「ところで、お前。クライトは?」


風\あまり触れられたくないのかレオは早々に話題を変えようとユメに恋人の話を振る。


「ああ、レオに仕事押し付けられたーって泣いてたよ」

「そうか」


そういえばそんなこともしたようなしなかったような…とレオは遠くへ思いをはせる。はせつつもフィリアの髪を切って整えていく手は止めない。


「切った髪はどこに消えてるの?」

「俺が魔法で消滅させてっている」

「あ、そ。ね、フィリア体調崩したって聞いたけど、大丈夫だった?」


サラッと流すとユメはレオに身をゆだねきっているフィリアに話を振った。


「今更、それを聞いてくるの?うん、まぁ大丈夫だったよ」

「で、ライラは?」


実はこの話に持っていきたくてユメはウズウズしていた。


「ファナ姉様によばれてたよ。午後からは来るんじゃないかな」

「来なくていいんだがな」


フィリアの髪を整えたレオは、弄りだす。


「わっ?くすぐったいよ、レオ!」


髪を結ばれていくのがくすぐったいのかフィリアは身をよじってレオの膝の上から逃げようとする。


「…猫みたいだよね、フィリアって」

「そうだな」


逃げられないようにフィリアをしっかりと捕まえたレオはユメのつぶやきに答える。


「え、そうかな」


キョトンとフィリアが首をかしげようとしたのを察知したレオは、曲げられないように首へ手をあてる。


「傾けるな。髪が結べない」

「あ、はい」


器用にもレオはフィリアの髪の毛を編みこんでいって胸の前に垂らす。


「手先器用だねぇ」

「そういう血筋だ」

「あ、そうやってぶった切っちゃう」

「そうさせてもらう」




「そこ授業中ですよっ!?さっきから見てれば…わかってるんですか!!」


ルーピンに怒られた。


「わかってる、わかってる」


適当な返事をユメは返した。


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