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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第25章 後期だよん
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浮気現場、発見

「レェオ?」


フィリアは激怒していた。


「…な、なんだ?」


冷や汗を垂らしながら、レオはフィリアへ尋ねる。


「ライラに何をしたの」

「誓って言うが、何にもしてない!!」

「へぇ?じゃあ、どうしてそんなに焦ってるの。やっぱりやましいことがあるんじゃないの?」


フィリアはニッコリと笑う。


「…なんでこんなことに」


こんなはずじゃなかった、ぼそりとレオは呟いた。








という訳で、時をさかのぼって見ちゃうこと30分。


「あ、レオ!フィリアがどこ居るか知ってる?」


リランに脅されてフィリア捜索をしていたライラは、緑の王宮へやってきていて、夜風で頭を冷やそうと廊下に出ていたレオを発見し助かったと言わんばかりに尋ねる。


「…いい寝顔で俺の寝台の中に潜り込んでいると思うが」

「ああ、それでうろちょろしてるんだ」


納得が言った風なライラにイラっときたレオは、どう仕返しをするか考える。


「なんだってアイツはあそこまで無防備なんだろうか」

「さぁ…?兄姉の育て方なんじゃない?」


困ったようにライラは肩をすくめて答える。


「そうか…」


その時、レオに名案が思い浮かんだ。

フィリアにばれれば怒られること間違いなしだが、今はぐっすりと寝ているから大丈夫だろうと踏んだレオは実行に移す。


「ねぇレオ?ん、レオ!?」

「ライラ…この際おまえでもいいかな、なんて思ったんだ」


首をかしげて見上げてきたライラをレオは壁に丁寧に押し付け、逃げられないようにする。


「え、ちょ、浮気!?」


驚くライラの考えを一蹴してからレオは人払いの結界を張る。


「まさか。俺が一番好きなのはフィリア。でもな?2番目が居てもいいと思わないか?」

「いや、え?ええ?」


事態が呑み込めないライラは混乱したままレオに抵抗することができずに成す術なくされるがままになる。


「なぁ、どう思う?俺では…いけないか」


結構真剣そうなレオに、ライラはちょっと見惚れる。


「え?や、え?い、いいんじゃない?」


実は押しに弱いライラ、レオに押し負け肯定してしまう。


「そうか…」


案外つまらなかったな、と思ったレオはライラに軽くキスをしてから、後ろの怒気に気付く。


「…ねぇ、何が、いいの?」

「や、あー…あのな、フィリア」


弁解をしてみようかとレオは口を開くが、問答無用で剣を突きつけられて押し黙る。


「まっさか、補佐と浮気されるとは思ってなかった!!」

「いや、ちがう」

「違くない!」


とりあえず、腰が砕けたらしくヘチョリとなっているライラから手を放して床に捨てるとレオはフィリアが突き付けてくる剣を紙一重で避けていく。







で、現在。

レオはなんとかフィリアに剣をおさめさせることには成功したのだった。

激しい殺陣をしたためフィリアの浴衣は乱れていて、それはそれで美しい。

レオの浴衣を借りているのでフィリアには大きい気がするのだが、それはそれでよしとする。

殺気やら魔力やらで髪がうねっているのもかわいい。


「やっぱりフィリアに青色は似合うよな」


現実逃避をしていたレオは、ダンッ!と再び目前に剣を突きつけ得られて口をつぐむ。


「もう一回聞くよ?ライラに何をしたの」


イライラとフィリアはレオに詰問する。


「だから、何もしていないと言っている」

「じゃあ、私が見たのは幻覚だった、とでも言うつもり?」

「…とりあえず、廊下で話すのもなんだから、部屋に入ろう」


その剣については何とも言えないレオは、フィリアに部屋へ入るよう促す。


「そうやって誤魔化す!!」

「いや、マジで頼むから」


ワイワイと人が集まりつつあるのを感じていたレオは、珍しく下手に出て頼みこむ。


「…っ、フンだ!!レオなんか知らないもん!」


すっかりご立腹のフィリアはツンと上を向いてレオの頼みに応じない。


「俺が何をしようと文句は言わないと言ったのはお前の方ではなかったか」

「言ってないよ、そんなこと!!言ってたとしても浮気するなんて最低!!」


フィリアが何に怒っているのか理解できないレオは首をかしげて真顔で言い放つ。


「俺の立場だと、愛妾をとることにもなるんだぞ。浮気なんてものではなく、」

「黙れっ!!」


かねてからわかっていたことを指摘されたフィリアは涙目になり、レオから逃亡する。


「あ、おい!?」


元凶であるレオは何がいけなかったのかしばし考える。

結論が出るのはこれから10分後となるのだった。







で、逃げたフィリアは。


「し、信じらんない!!レオなんか大嫌いだ!!」


泣きながら走っていた。





『御嬢さん』


しばらく無我夢中で走っていて何かに呼び止められたフィリアは、顔を拭って前を向き唖然とする。


「ここ、どこ…」


何時の間にか来たことのない場所へと迷い込んでしまっていた。


『御嬢さん…その体、私に渡しておくれ。緑葉の一族に仇をなそう』

「や、やだよ、誰!?」


必死でフィリアは足をつかんでくる手を振りほどこうとする。


『ヒヒヒヒヒ。ここに迷い込んだらおしまいさ。喰われて、な』


突如現れた老婆に怯え、フィリアは地面に座り込む。


「こ、ないで!《業火よ、焼き払え》」


魔法を使って追い払おうとするが、それも意味をなさず。





『捕まえた』


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