来たぜ、緑の国!
―緑の国の王都―
「故郷~!」
緑の国の住人と紛れるため和服(着物)を着る3人。
「2人とも行動が早くて良いですね」
感心しているフォルティナール。
「…あ」
「どうしたの、フィリア?」
「ねぇ、レンにさまた明日っていったよね」
「あ…」
「怒ってるかな?」
「多分」
「どうする?」
「連絡しよ」
実はライラ、銑川家の秘伝技を少し使える。
銑川家は他人に余り知られていない技を受け継いでいるが、王家の秘伝技とほぼ全部かぶっています。
その1つがテレパシー。
「いくよー《OK?フィリア》」
頭の中で話しているんで、フォルティナールには聞こえていません。
「《うん》」
「《おーい、レン!》」
ライラがレンに話しかけます。
―その頃レンは―
「…あれ?いない…」
真面目に食堂でフィリア達を探していました。
「《~い、レン!》」
「な、ななな!!」
凄い驚きかた。
「秘伝のテレパシー術…《も、もしもし。フィ、フィリアさん?ライラさん?》」
レンもテレパシーが使える。
「《私達、原因追ってちょっと、外出しているから。ま、任せてね!》」
言うだけ言ってフィリアはテレパシーを切った。
「…僕は何もするなと」
レンは食堂をとぼとぼ出て行った。
―その頃2人は―
「うける、レン君!」
「ふふ、ま否定はしないけど」
街中を歩くだけでも目立つ二人。銀髪と金髪だからです。
そこに黒い着物を着たいわゆる警察みたいな人が来た。
「すいません、そこの3人の方。私は第一班の班長銑川剣一と申します」
フィリアは剣一と名のった男をじろじろと観察している。
「あなた方はなにをしに?」
「観光です!」
「いや、銑川フウラって人を探しています」
フィリアが剣一の観察をやめて超上から目線で言った。
「…分かりました、お教えいたしましょう。しかし、今日はもう夜です。宿を用意します。泊まって下さい」
「有難うございます」
「わーお泊りー!!」
テンションアップなライラ。
「はっ!…兄上に、怒られる…」
フィリアがそんなライラを楽しそうに眺めてから、ふと思い出し悲しそうな声を出した。
「巻き添えにされる…」
「ま、いっか」
2人は顔を見合わせて笑った。
―某ホテルの一室―
「広~い!」
何故かベッドが3つ。
「何で3つあるの?」
「そ、それは…」
言いにくそうなフィリア。
「フェカが、俺も混ぜろって…」
「…え」
硬直するライラにフィリアも苦笑い。
ポンとお約束な音を立てて、フェカが実体化する。
実体化したフェカは、跳ねまくってる銀髪に赤いつり目の、美少年というくくりには余裕で入るがフィリアに似ているような、似ていないような微妙な姿。
「つーことでよろしく」
「フェカ、久しぶり!」
「ああ、あ、ああ、あああ、フ、フェ、フェ、フェカ…」
「なんだ?うるさいな~俺とキ」
「あー!!」
フェカがキスしたって言おうとするのを遮るライラ。
「ん?えーと、どうしたの?フェカ、キ…?何?」
フィリアだけが分かっていない。そんなもんだからしばらく考えた。
「あ、ああ!フェカとキ」
「だ、だめぇー!〝バインド″!」
バインドとは拘束魔法の中級。相手に光線を当てて動けないようにする魔法のこと。
「お、よせ!」
でもなぜかフィリアじゃなくてフェカ。
「〝アレスト″!」
アレストとは拘束魔法の上級。
「おー!!わかった、やめろ。殺す気かー!」
「ラ、ライラ!!もうその辺にして!」
フィリアが慌ててライラを止める。
「…てかさ、ここに居る3人が皆知ってるんだから、隠す必要無くない?」
フィリアがついでにボソッと呟いた。
「!!…そういえば」
「気づいてなかったんかい!!」
「アホだな~、アホ」
驚いたライラをフェカがカラカラと笑う。
「フフフフフフフフフフフフ…イイヨネ、フィリア。サンダープ」
「ヤーメテー!怖いって」
不気味な笑い声を立ててウォータープリズムの雷版を落とそうとしたライラをフィリアが止めて、フェカが頭をクシャッと撫でた。




